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『ヒックとドラゴン』
【感想】 ★★★☆ H26.11.30

 イギリスの同名の児童小説を、ドリーム・ワークスが3Dアニメ化した『ヒックとドラゴン』を観る。2010年に公開された本作は、北米ではアニメーション映画初登場第一位のヒットとなったが、なぜか日本の興行成績は芳しくなかった。ただ実際に観られた方たちのレビューが、総じて高評価であり、私もずっと見たかった作品だった。

 遥か北の海に浮かぶバーグ島。バイキングが住むこの島では、古より様々なドラゴンとの戦いが繰り広げられていた。バイキングの頭ストウィックの一人息子ヒックは、いつもへまばかりして、戦いの最中も表には出してもらえず、この夜も鍛冶屋の手伝いをさせられていた。父親への戦いたいという意志も聞き入れられずにいたが、こっそり作っていた武器で、まだ誰も姿を見たことのない、高速で飛行するドラゴンを偶然打ち落とす・・・。

 まず大空をそして大海原を、ドラゴンにまたがったヒックの目線で映し出される景色と、風をとらえて飛翔するドラゴンの心地よい浮遊感を、美しくもダイナミックに見せてくれるアニメーションが素晴らしい。相変わらずアメリカ製の人間の顔は、日本のアニメを見慣れてるせいで、違和感があるが、豊かに表情を変えるキャラクターたちは魅力的で、ドラゴン達クリーチャーのデザインも可愛らしい。アバターのように劇場で3Dで観てたら感激してただろうなあ、残念。

 相容れないドラゴンを助けたことで芽生える、ヒックとドラゴンの友情を描くストーリーなんだけど、それだけにはとどまらない、いろんなテーマを見せてくれる脚本が素晴らしい。古くからドラゴンを当然のように敵として排除するバイキングたち。ヒックのそんな先入観を捨て、相手をよく知ること、理解することの大切さを示してくれた姿を目の当たりにして、新たにドラゴンとの関係を構築しようとするバイキングたち。他にも親子愛なども描かれているが、やはりラストの、共存することの難しさ、生きていくことの厳しさを突きつけるエピソードが秀逸だ。

今年2014年の6月に続編がすでに全米で公開されているが、日本での公開はまだ未定だそうだ。こういう良質なアニメーション映画が公開されず、タイトルは書かないが、量産されるアイドル頼みのつまらない邦画を次々と公開する、日本の配給会社ってどうなんだろうなあ。