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『HOUSE ハウス』
【感想】 ★★★☆ H25.4.21
 「ねらわれた学園」や「時をかける少女」で独自の映像ワールドを見せてくれた大林宣彦監督の、劇場映画デビュー作『HOUSE ハウス』を観る。大林監督と言えば、ノスタルジーを掻き立てるセピア色の青春ドラマをイメージしてしまうんだけど、今なお監督作品の中でも高い評価の本作は、全く違う衝撃の作品だった。

 夏休みを利用して、演劇部の仲良し6人組の女子高生たちは、オシャレ(池上季実子)のおばあちゃま(南田洋子)の別荘に、合宿と称して訪れる。久しぶりに会ったおばあちゃまは、体が弱り車いす姿で現れるが、一人、また一人と仲間の姿が消えていくたびに元気を取り戻していく・・・。

 オープニングから合成丸出しの背景の中で、どこか現実離れした空間で繰り広げられる、学芸会のようなつたない演技で見せるドラマに、いきなりやっちまった感がさく裂してしまう。家が人を襲うっていううっすらした前知識があったので、早く別荘へ行かないかとじれていたところでやっと移動。さあ、ここから見せてくれる。その後の監督作品でも使われる様々な映像テクニックは斬新なんだけど、どこかチープで温かく、しかもちょっと不気味。後半怒涛のように展開されるこの鮮やかでいて実験的な映像美は、圧倒的なパワーで観る者をグイグイと引き込んでいく。確かにチープである。出演者の演技も幼稚で、ストーリーもくだらない。仕舞いには早送りしてさっさとやめようかとも思わせる。まあほとんどの人が見るのを止めるんじゃないかって思うほど(^^;)でも私は不思議と目が離せなかった。そのうちだんだん楽しくなってきて、夢中になって見ていた。なんだか上手くこの作品の良さが伝えきれないんだけど、ただ監督の頭の中に広がるいかにも才気走ったイマジネーションの映像を、観客に媚びることもなくこんなに強烈に見せてくれるカルト作品が、日本にもあったんだと衝撃を受けてしまった。

それから本作は意外なキャスティングが魅力で、若かりし頃の池上季実子や大場久美子、神保美喜などが出演しており、なかでも池上季実子のどうしちゃったのかわからないが、まさかのお宝映像にはびっくり。まさしくカルトムービーだね(^^)