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『ヒドゥン』
【感想】 ★★★★★

ヒドゥン 1988年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭であの『ロボコップ』を押さえ、見事グランプリを獲得した『ヒドゥン』を観る。当時『ロボコップ』は劇場で観たのに、この『ヒドゥン』のことはまったく知らなかったのだ。あ〜、劇場で観たかった。

 白昼銀行に普通に入ってきた男がいきなり警備員にライフルを発砲。ゆっくりと現金の袋を拾い上げ何食わぬ顔で防犯カメラに笑いかける。男はフェラーリに乗り込み急発進、ロックを大音量で聞きながらリズムを取っている。結局待ち構えていた警官たちに銃撃され男は倒れ、フェラーリは大爆発。このオープニングから息もつかせぬパワーとスピード感はラストまで続いていく。すごい!

 最初はアクション刑事ドラマのようだが、突然SF映画へと変身。それでもFBIのカイル・マクラクランが登場し、ロス市警の刑事と反発しながらも事件を追いかけ、やがて友情のようなものが芽生える様は、これぞSFテイストの刑事ドラマ。カイルくんのこのアンドロイドのような顔は、リンチワールドにうってつけなのだが、本作のこの役も彼にぴったりの顔というか設定なのだ。とにかく人間離れしたあの風貌が、この役は彼しかいないって感じ(笑)。

CGも無くかなり低予算で作られたような作品なんだけど、この畳み掛ける力強さはまさしくあの『ターミネーター』を髣髴とさせる。どんなにお金をかけても、どんなにすごいCGが入っててもつまらないSFが多いけど、この作品は歴代のSF映画の中でも傑作と呼べる映画だと思うな。CGなんてかえってシラケるときがあるもんね。おいおい、ラストがCGとの対決かってがっかりした作品のなんと多いことか・・・。タイトルは言わないけど・・・(爆)
監督のジャック・ショルダーはこの作品後というか、この作品以外はまったくぱっとしません。こういう素晴しい映画はなにか突然変異のようにあらわれるんでしょうね〜。

それからDVDの封入特典として、なんかチラシのようなものが入ってたんだけど、そこにこんな記事が。
監督のジャック・ショルダーが撮影中、ロス市警の刑事役のマイケル・ヌーリーが演技指導にまるで耳を貸さず衝突を繰り返していたという話が書いてあった。さらに「彼は自分がこれから素晴しいキャリアを積むと考えてたし、『ヒドゥン』は彼がやりたいものではまったくなかった」なんてコメントもあった。まあ、映画が素晴しかったからいっか(笑)その後マイケル・ヌーリーの活躍を知るものはなかった・・・。(調べたら『フラッシュダンス』に出演してるようです。そういえば出てたような・・・)
やはり人間謙虚でなきゃいかん!そんなことまで考えさせられた作品でした(ウソ)。