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『ハプニング』
【感想】 ★★★ H20.7.30

“人類は滅びたいのか。”
 待望のマイケル・ナイト・シャマラン監督の最新作『ハプニング』を劇場で観る。今回も激しく想像を掻き立てる予告編が素晴らしく、ちらほら聞こえてくるシャマランまたやっちまったの声はいつものことと、我慢できずに行っちゃいました(笑)

 ニューヨークのセントラルパーク、白昼突然響き渡る女の悲鳴。時が止まったように一斉に立ち尽くす人々。やがてある者は後ろ向きに歩き出し、そして次々と倒れていく人々。またビルの工事現場では、高所から次々と作業員が落下し、地面に叩きつけられていく。悪夢のような怪奇現象は突然発生し、瞬く間に広がっていく・・・。

 予告編で見ていたシーンだったが、オープニングからショッキングなシーンの連続で早くも息苦しい。見終わって思い返すと、このビルからワサワサと飛び降りていくシーンが一番怖かった。そしてB級ホラー(多分制作費もすっごい安上がりだったんでは・・・)のようなこけおどしと、これでもかと見せ付ける生々しい残酷シーンに不快指数がかなり上がってしまった。R指定でもあり、明らかに今までのシャマランと違う、リアリティのある恐怖を感じる。ある意味今までのシャマランの作品の中で一番怖い映画といえるかもしれないけど、ただ自分がシャマランに期待していたものとはちょっと違うんだなあ。そんな悪趣味なリアルシーンは使わなくても、その思わせぶりな演出で恐怖を駆り立ててくれるのがシャマラン・ワールドだったはずなんだよなあ。でもこのシャマラン作品すべてに感じる、登場人物たちのリアリティのないみょ〜な違和感と、思わせぶり感を私は愛します(^^)

ただほんとに怖かった。銃声だけであれだけ怖がらせてくれるとは、さすがシャマランというところか。まったく原因不明で死んでいく人たちと、必死に生き延びようともがく主人公たち。いつ主人公たちに死が訪れるのか、まったく予測不能であり、シャマランならやるんじゃないかという恐怖が、かなり心地いい緊張感と息苦しさを体感させてくれた。ああ〜、今いろんなシーンを思い出して気持ち悪くなっちゃったよ(^^;)
一見環境問題を連想させるけど、私が本作で感じた恐怖は、家族や身近な人たち、そして自分自身にも突然訪れるかもしれない死の恐怖。あまりに突然に、そしてあっけなく奪われる命のはかなさと脆さを感じ恐怖した。

いろんな思いを引きずって家に帰ってふと見た庭の木が、偶然風にざわついた時、背中がゾクゾクッてしてしまい思わず苦笑いだった。そしてその木をぼんやり見ながら思い出した。そういえば今回シャマランはどこに出てたのかなあ・・・。