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『ヘアスプレー』
【感想】 ★★★ H20.4.4
 全米でミュージカル映画史上No.1のオープニング記録を樹立した『ヘアスプレー』を観る。おまけにどのサイトでも元気が出るとかハッピーになれるとか、満点に近い高評価。期待は高まるばかりだったが・・・。

 オーソドックスなストーリーだが、全編を通して醸し出されるカラフルな明るさと、若者たちのたぎるパワーがいい。ただ、この若さにあてられたのか、残念なことに私はちょっとノレなかった。まず1000人のオーディションの中から選ばれたトレーシー役のニッキー・ブロンスキーが、オープニングからいきなり歌い出すシーンがあるんだけど、この時彼女を可愛いと思えるかどうかがこの作品の鍵を握る。ニッキーはまさしくトレーシーそのものであり、元気溢れる明るさとポッチャリぶりなど本編のヒロインであるトレーシーとイメージ通りの女優さんだったというところは間違いないところ。演技についてはまあ素人さんなので目をつぶって、歌についてもまずまずだったんじゃないかな。ただ残念なことに、私の目にはオープニングから最後まで、輝いて見えなかった。どうしてもあの腕とお腹の肉を波打たせて踊るという画を、見せられることの意味がわからなかった。ここをクリアできなければもう評価のしようがないんだけど、さらに私を驚かしたのは、ジョン・トラボルタ演じる母親のエドナの、もはやただの着ぐるみと化した容姿。この着ぐるみが歌って踊るのだから、何かの冗談かと思った。マイノリティの悲しさと力強さが本作のコンセプトだと思うけど、悪乗りを通り越してこれではただの悪趣味でしかないのでは。当時の公民権運動というデリケートな部分と、底抜けな明るさのアンバランスさも、この作品のノリについていけなかった要因のひとつかな。ここら辺に違和感を感じなければ、楽しい映画だったんだろうなあ(^^;)

唯一の救いは、本作における美しさのパートを一人で受け持つミシェル・ファイファーの、「恋のゆくえ」以来といえる、ダンスシーンと歌うシーンが見れたこと。この華やかさこそがミュージカル映画の醍醐味ではないのかと画面につぶやく。そしてなんでこんな役にと思わせるクリストファー・ウォーケンの、ぎこちない踊り(当然わざとであろうが)にささやかな安らぎと、そのキャスティングの豪華さにニヤリとしてしまった。

ただねえ〜、私はやはりミュージカル映画は向いてないのかなあ(^^;)