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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
【感想】 ★★★★ H22.5.29

 今も絶大な人気を誇るテレビアニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」の、新たに劇場版として製作された4部作の2作目にあたる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観る。一応TVシリーズに前の劇場版、そして「新劇場版:序」と全部見てるんだけど、今回の作品が今までで最高に面白いという話を聞き、すぐにブルーレイを予約し、発売日を首を長くして待っていた。やっと届きました(^^)

 カオスな世界の中で、ネガティブなパワーをヒステリックに爆発させるという、今までにない主人公達の戦いが、熱狂的に支持された作品だったが、この新生ヱヴァンゲリヲンはまったく新しい作品に生まれ変わろうとしていた。病的な程に屈折していたキャラクターたちは生気を取り戻し、笑顔を浮かべる。作品の根幹をなすキャラクター設定の変更は、もはやリメイクというより、アナザワールドと言っていいほどの変革をもたらしている。以前からのファンの間でも、その変更点は賛否両論のようだけど、私はあざといまでに複雑に屈折させられていたキャラクターたちが、まるで青春映画のように素直に生き生きと躍動する姿に感激してしまった。見ている間、終始ポカポカした状態。TVシリーズも前半が一番好きだった私にとって、まさしくこういう明るいエヴァが見たかった。

さらにこれぞ劇場版と呼ぶにふさわしい、美しささえ感じさせるこだわりのフォルムで、迫力のアクションを展開するエヴァと、そこまでやるかとため息が出てしまう程の、細部に至るまでこだわり抜いて描きこまれた背景の見事さ。どれも見ごたえ十分であり、文句なしの完成度でみせる。ただ随所に現われるコアなファン向けであろうやらしいシーンには、ただただ苦笑いだったけど・・・。

でもそこはエヴァンゲリオン、そんなただの青春ロボットアニメでは終わらないんだなあ。後半にいくにつれ、難解なキーワードが随所に挿入され、真っ青な空は次第にエロ・グロのシーンに覆われていく。良くも悪くも、気分を逆なでにすることがエヴァなんだと言わんばかりに。ええ〜、やっぱりそっちの方にいっちゃうんだねえ。でもお願いだから救いのないラストはやめて欲しいな(^^;)

このエヴァンゲリオンというアニメ、熱く語れば語るほど、オタクと思われるんじゃないかという不安がどんどん上がってしまうという、面倒くさい作品ではあるけど、やはり見るものを引き付けるこの魅力はさすがである。次回作がいつになるのか分からないけど、絶望の淵に一筋の光を見せてくれたこの新生ヱヴァンゲリヲンの世界、次回作も楽しみだなあ。