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『シザーハンズ』
【感想】 ★★★☆ H18.1.6
シザーハンズ 「ビートル・ジュース」「バットマン」と立て続けにヒット作を生み出したティム・バートン監督の、以降最強コラボとなるジョニー・デップを主演に迎えた最初の作品となった『シザーハンズ』を観る。もう何度も観た作品だったので改めてDVDを買う気にもならなかったが、「製作15周年アニバーサリー・エディション」として再販され、おもわず購入してしまう。映像特典など期待していたが、既に発売されていたものと変わらなかったようだけど、封を切り突然現れた、DVDサイズの劇場用パンフレットに感激^^。こういうパンフレットを付けるという特典は、どんどんやってほしいな〜。かなり字が小さくて、読むのが大変だったけどね。

 今日も化粧品のセールスに家々を訪ね歩くペグ(ダイアン・ウィースト)だったが、どこの家でも相手にされなかった。そんなついてないと嘆く彼女の目に、丘の上の古い屋敷が目に入る。手入れの行き届いた庭を抜け、恐る恐ると入った屋敷で、ペグは手がハサミになっている人造人間のエドワード(ジョニー・デップ)と出会う。自分を創り出した博士が死んだ後、ずっと一人でいたと言うエドワードを可哀想に想い、ペグはエドワードをそのまま自分の家へ連れて帰る・・・。

 真っ黒なボディスーツに、フレディばりの手がハサミというサディスティックななりの人造人間という、ファンタジーとは程遠いキャラクターが、バートンの手にかかるとこんなに愛らしいキャラクターに生まれ変わるとは。冒頭からありえない絵のようなカラフルな家並みと青空に、違和感なく現実から離れた寓話の世界へと誘われる。庭の木を熊や恐竜に変える子供っぽさと、人間のエゴや残酷さというダークな部分が融合する、バートンのファンタジーはここから始まる。異形のものが受ける、世間になじめない、受け入れられない悲しさに、気持ちを伝えきれないもどかしさがなんとも切ない。心の奥底に眠っている、この子供の頃のピュアな欠片をくすぐられる、恥ずかしいぐらいのこそばゆさと、心地よさはどうだろう。こういうおとぎ話を映画化して、ジュブナイル作品にならないところが、バートンの凄さなんだなあ。

この作品が撮影されている時、ちょうどデップとウィノナが婚約中だったんだよね。デップの腕には「ウィノナ・フォーエバー」と刺青が彫られていたとか(笑)。それにしても今ではすっかりご無沙汰のウィノナ・ライダーのこの透明感は、ゴシップまみれの今の彼女から程遠いほどの輝きを放つ。また第一線に帰ってきてほしい女優さんですよね。