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『ぼくの国、パパの国』
【感想】 ★★★☆ H17.12.10

ぼくの国、パパの国 全英No.1ヒットをはじめ、世界の映画祭で数々の賞に輝いた、ハートフル・コメディ『ぼくの国、パパの国』を観る。このDVDも某家電量販店のワゴンセールで発見。タイトルからして聞いたような聞かないようないかにもミニシアター系のタイトルであり、ジャケット裏の解説にあった”泣いて、笑って・・・世界中が大絶賛!”世界の映画賞20部門受賞!”っていううたい文句に、ジャケットの写真が多少色褪せていたが、半額以下だったこともあり速攻で購入。いろんなDVDが並んでる中から引き抜いて、手にとって初めてこの映画賞受賞って解説も読める訳だから、このタイトルでピ〜ンと来た私の映画好きのカンを自画自賛したい(笑)。映画好きならこんなに映画賞をたくさん受賞してる映画は既に知ってるだろって話もあるけど(爆)

 '’71年のイギリス、マンチェスターの小さな街ソルフィールドに暮らすある家族が巻き起こす大騒動。時代的にはちょうどインドがカシミール地方に侵攻し、パキスタンと戦争状態にあった頃の話。物語の家族はパパがパキスタン人、ママがイギリス人、そして二人の間には6男1女の子供達がいる大家族。でも最近長男がパパが勝手に進めた縁談を嫌って家出中。パパは誇り高いイスラム教徒であり、イギリス生まれの子供達をどうにか立派なイスラム教徒に育てようと、いつも頭ごなしに怒ってばかり。それでも子供達はパパが見てないところでイスラムの教えもそっちのけで楽しんでる。そんなある日、パパが懲りずにまた次男と三男の結婚話を決めてしまう。なにもかも自分の思い通りに進めようとするパパへ、ついに子供達は反乱を始める・・・。

 次男と三男に進められる、縁談の家族と顔合わせをする爆笑シーンなどかなり笑えるところもあるけど、内容はかなりシリアスな展開。厳格な父親をはじめ優しい母親や、たくさんの兄弟が繰り広げる家族の衝突は、時には宗教の教えであったり、人種の問題であったり、世代間のギャップであったりとどれも深刻。それでもなんだか笑ってしまうのはどうしてだろう。それはたぶん私がかなり似たような環境で育ったからだろうなあ(笑)。っていうか、たぶん観てる人はこの家族の誰かに絶対感情移入してしまうと思う。子供を持つ親はパパやママに、そして若い人たちはこの兄弟に自分を移して見てしまうはず。それ程家族ってなんだろうっていう、普遍的テーマがこの作品にあるから。

かなりの壊滅状態になってしまうんだけど、「それでもやっぱり悲しいけど自分達は家族なんだよね」っていうラストが可笑しくもあり切なくて、観終わった後不思議な心の温もりを感じさせてくれた、とってもいい作品でした。