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『ディーバ』
【感想】 ★★★★

 ジャン=ジャック・ベネックス監督の野心溢れる幻のデビュー作にして最高傑作『ディーバ』。デビュー作で最高傑作なら、後の作品はどうなのって思っちゃいますが、DVDのジャケットにそう書いてありました。
デビュー作にして既に独自の映像美学が確立されており、随所にベネックス・ブルーにスタイリッシュな映像が交差する。フランス・ニューシネマのさきがけであり、ベッソンやカラックスと並ぶフランスの異才ですね。


しかしベネックス・ブルーならぬ、初監督の青さのように突っ込みどころ満載の映画なのだ。世界的に有名な歌姫の楽屋に簡単に入れたり、ホテルに突然訪ねても何の問題もなく部屋に入れてしまう都合の良さ。そもそもこのストーリー一本で、3本ぐらい映画が出来るんじゃない?歌姫との純愛に、犯罪巻き込まれ型のサスペンス、そして不思議な東洋人の女と魅力溢れる謎の男との奇妙な出会い。かなり欲張ってしまったせいで、せっかくの魅力的なキャラクターたちが描ききれてない様に思います。女刑事を始めみんなにもっとおいしい場面を用意して欲しかったな。それでも歌姫とのシーンはこの映画の中で際立ってロマンチックであり、音楽も素晴しいです。これら複雑にジャンルが絡み合ったものを、鮮やかにまとめ上げてるとこがベネックスの凄さであり、本作のファンが多い所以でしょうね。

またラストに向かって怒涛のように決着がついていく様は、ある意味圧巻であり、ユーモラスでもありほんとにいろんなものが詰まった映画なのだ(笑
そしてラストの舞台と歌姫のセリフはとてもセンスがよく、フランス映画らしい余韻のある素敵なラストシーンでした。


ベネックスの名を世界中に知らしめた作品であり、『ベティ・ブルー』と並ぶ彼の代表作です。っというか、こんなにベネックスについて語ってるのに、私はこの二本しか観たことがないのだ!(爆)