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『ディナーラッシュ』
【感想】 ★★★☆ H17.12.29

ディナーラッシュ “息つく暇もないくらいスリリングな料理のフルコース!”
 これまでに3000本以上のテレビCMを手掛け、ペプシのCMなど500以上の賞に輝くテレビCM界の才人、ボブ・ジラルディ監督の『ディナーラッシュ』を観る。この監督の名前はまったく知らなくて、他の作品は14年前に製作された「ウォンテッド・ハイスクール/あぶない転校生」のみで、もちろんこの作品も知らなかったんだけど、あのマイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ『ビート・イット』の監督として知られていた。その作品群はニューヨーク近代美術館に永久保存されているほどの凄い監督だったのだ。

 物語はN.Y.トライベッカにある話題のイタリアレストラン「ジジーノ」で繰り広げられる、一夜の群像劇。本作のほとんどがこのレストランを舞台に繰り広げられ、複数のドラマが入り乱れて展開していく。主人公のレストランオーナーのルイス(ダニー・アイエロ)と、その息子でこのレストランの花形シェフのウード(エドアルド・バレリーニ)との確執をはじめ、レストランで働く若い男女の怒りや葛藤、そこに集まってくるレストラン評論家や嫌味な画廊主にギャングまでも交えて織り成すドラマは、やがて意外な終焉へと向かっていく・・・。

 この映画は観終わった感が最高なのだ。この結末でと思われるかもしれないが、なにかこのレストランで実際に食事をした様な、とってもデリシャスな後味を残す。とにかくこのレストランの厨房や客席がとてもリアルで、ホントのレストランを覗き見しているような錯覚を起こす。このリアリティは凄いなと思っていたら、なんと監督のボブ・ジラルディは、実際にN.Y.に10軒のレストランを持つ本物のオーナーで、撮影に使われたレストランも自身のレストランだとか。どうりで本物だ(笑)。厨房での演出のこだわりもそうだが、客席を映すシーンの撮影については、"リハーサルだ”といってカメラを回し、自然な会話風景を撮ったとのこと。

出演者はオーナー役のダニー・アイエロやシェフ役のエドアルド・バレリーニが、本物のオーナーとシェフだと言ってもいいくらいのはまりっぷり。ダニー・アイエロを「レオン」で知ってるぐらいで、他の出演者はほとんど知らない俳優さんたちだったことが余計リアリティを増し、どの役も違和感がなかった。

レストランの雰囲気に絶妙のキャスティング、そして小気味よいストーリーとどれもが緻密に計算されつくしており、さらにテンポよく映し出されるスタイリッシュな映像から、結構若い監督を想像してたら、メイキングで見た監督は初老のおじいさん(39年生まれ)でビックリ。「会話や人間関係を通して、人生を描きたかった」と監督がメイキングで語っていた。人は外からは見えないがいつも問題や悩みを抱え、日々それを乗り越えようと頑張っている。私的には素敵なレストランに招待してもらい、気持ちのいい時間を過ごさせてもらったっていう感じだった。

どうもご馳走様でした!