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『ダーク・ウォーター』
【感想】 ★★★ H18.9.9
 黒木瞳主演のジャパニーズホラー映画「仄暗い水の底から」をハリウッドがリメイクした『ダーク・ウォーター』を観る。オリジナルが何年か前にTV放送され時に、そのあまりにも切な過ぎるラストは強烈な印象があり、どんな風にリメイクされたのか・・・。

 離婚調停中のダリア(ジェニファー・コネリー)は、6歳の娘セシリアの養育権を夫に奪われないためにも、早急に住む場所を探さなければならなかった。そしてルーズベルト島の古びたアパートにやってきたダリアとセシリアは、最初乗り気でなかったセシリアが、屋上で見つけたハローキティのリュックを拾ったことで、引っ越すことになる。しかし引っ越し早々天井に出来た不気味なシミから、黒い水が滴り始めた・・・。

 降り続く雨と、引っ越したアパートの部屋の中で次から次へと見舞われる不運に、観ている方が次第に重い気分になっていく。すっかり不幸な女性が板についてしまったジェニファー・コネリーの、やつれた顔に節くれだった手がさらに気分を重くする。ハリウッドらしからぬじめっと感が日本版同様に効いてて、常にバックで聞こえてくる雨に滴る水音が不気味だ。また丁寧に描かれる母親の娘への愛情は、悲しいほどに切なく、ただのこけおどしのホーラー作品と一線を隔す。なにより血が一滴も出ないのがいい(笑)

ただところどころで発生する怪奇現象が、怖いというより、とにかくじわじわと追い詰められるジェニファー・コネリーを見ているのがつらくなる。怖さを期待して観ると物足りないかも。そして私みたいに既に日本版を見ているものにとって、展開がもどかしいぐらいに遅く感じられ、またさらに暗い気分にさせられてしまう。
そして、救いのない日本版のラストが、リメイクされてもっと違ったものになるのを期待していたのだが・・・。でもやっぱり、こういうラストになってしまうのかなあ。一日中降り注ぐ雨を、部屋の窓から何にも考えずにしばらく眺めているような脱力感と、感動というより、切なさとやりきれなさをしばらく引いてしまう作品だった。