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『コープスブライド』
【感想】 ★★★☆ H18.11.5

 奇才ティム・バートンが創り出した、大人のためのパペット・アニメーションの名作「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」に続く、ダーク・ファンタジー作品『コープスブライド』を観る。最新の撮影技術で、生き生きと動き回る人形達に息を吹き込む、ジョニー・デップをはじめとする声優陣たちが超豪華で、公開時も話題になった。ちなみに私は日本語吹き替えで観たけど(笑)。こういう作品は、俳優のイメージが無いから大抵日本語吹き替えで観てる。

 今日は上流階級の生活にあこがれる魚売りの成金バン・ドート家の息子ビクター(声:ジョニー・デップ)と、貴族だが財産がなくなってしまったエバーグロット家の娘ビクトリア(声:エミリー・ワトソン)との、結婚式のリハーサルの日。政略結婚のため、この日初めて出会う二人だったが、すぐにお互いに好意を抱く。しかし、リハーサルでビクターが誓いの言葉を覚えられないことで、怒り出した神父に結婚式の延期を言い渡される。誓いの言葉を練習するうちに、森の奥へ入り込んだビクターは、あろうことかコープスブライド(死体の花嫁)のエミリー(声:ヘレナ・ボナム=カーター)に結婚を誓い、指輪をはめてしまう・・・。

 生者の世界と死者の世界を行き来するんだけど、なぜか生者の世界はセピアがかった暗い世界で、死者の世界の方がカラフルで、音楽までも鳴り響く生き生きとした世界に。そこに住むそれぞれの住人たちも、どっちが死んでるのかわからない程。このダークで独創的な世界観と映像のセンス、まさしくバートン・ワールドだ。ダークなんだけどキュートでロマンティック。この世界観に浸れる喜びを感じたいために、バートンの作品を見てるんだと見るたびに実感する。そしていつものように、バートンの日の当たらないものへと向けられる優しい眼差しが心を癒す。やっぱりバートン・ワールド、好きだなあ〜。

それから本作はどうしても「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」と比べられてしまうんだけど、大半がやっぱり「ナイトメアー・・・」には及ばないって感想が多いのかな。けど私はこの『コープスブライド』の方に惹かれる。それは今回はラブ・ストーリーということでドラマチックだったこともあるんだけど、なによりラストシーンの美しさと切なさが抜群に良く、エンディングの音楽をずっと聴いていたくなるほどの余韻を感じさせてくれたから。実写やCGでは出せないパペット独特の温かみのあるぎこちない動きと、微妙な感情をセリフなしで表現するパペット達の表情の、なんと魅力的なことか。ただひとつ、エミリーのペリカンのような口元だけが残念でならない^^;もうちょっと綺麗にして欲しかったなあ。

このDVDの特典がまた良かった。そのひとつにジョニー・デップをはじめとする、声優に挑戦する俳優たちの舞台裏やインタビューの映像が入っているんだけど、改めてその豪華さににんまり。やっぱり一流の俳優は、声優をやらしても上手い。最近よくある、日本のアニメを有名俳優が吹きかえるんだけど、あまりにもヘタッピで、やめて欲しいと思うことがしばしば。ここら辺がちょと違うね(笑)。ただエミリー・ワトソンが声をあててるメイキングシーンで、そのあまりのおばさん顔の変わり様に、ショックでしばし絶句・・・^^;いくら顔が出ない作品だといっても、気を抜き過ぎ!