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『コララインとボタンの魔女』
【感想】 ★★★☆ H23.7.10

 イギリスのSF・ファンタジー作家ニール・ゲイマンの同名児童小説を、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック監督が、ストップモーションアニメで描く『コララインとボタンの魔女』を観る。この作品のことはまったく知らなかったんだけど、偶然見た公式サイトの予告編がとっても素晴らしくて、すぐにレンタルしてしまった。

 ある古びた屋敷に引っ越してきたコララインは面白くなかった。友達もおらず、仕事に追われて忙しい両親は相手にもしてくれない。地下や上の階に住む住人もヘンテコリンな人達ばかり。退屈しのぎに屋敷の中を探検していると、鍵のかかった小さな扉を発見する。ママに鍵を開けてもらうが、扉の後ろはレンガで塞がれていた。その夜ベッドで寝ていたコララインは、何かの鳴き声に目を醒ます。ベッドの下をのぞくとネズミが一匹いた。逃げていくネズミを追いかけていくと、なんとネズミは昼間見つけたあの扉の隙間の中に入っていく。あわてて開いた扉の奥には、別の世界へと続く洞窟が出来ていた・・・。

 とにかく全編を通して醸し出される、薄気味の悪さが最高に素晴らしい!このダークな雰囲気、好きだなあ。子供のように、怖いけど覗いてみたいという好奇心が掻き立てられ、始まってすぐにこのダークで奇妙な世界にどっぷりと入り込んでしまった。人形やセットをちょっとづつ動かして一コマずつ撮影していくというストップモーションアニメの、CGでは出せない独特の手作り感の温かさ。凝りに凝ったアングルで映し出される、まるで生きているように、滑らかに動く人形の姿は、まるで夢の中の住人のようにキュートで、そしてちょっと気味が悪い。なんか好きだなあ、この感じ(笑)
まったく普通で顔もなぜか平面的なコララインを囲む、個性的なキャラクターたちのアートさえ感じさせる造形もまたいい。特に昔、舞台の女優だったらしい犬好きの姉妹や、ネズミを調教してサーカスを開こうとしている男の、毒々しいいでたちと奇人ぶりは、見るものを強烈に引き付ける。もう気持ち悪いやら可笑しいやら。そこに目がボタンになった同じ人達がいる、パラレルワールドが出てくるんだから。
こじんまりとした世界で繰り広げられる不思議な物語は、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」程のイマジネーションは感じられないが、不気味でいてキュートな世界観で、大人も十分楽しめる作品に仕上がっている。私はもう3回も観てしまった(^^)

自分のことばっかりで、なんでも外見だけ判断しちゃう、本質が見えない節穴な目だったら、ボタンにしちゃえばいいじゃん。こんな過激なメッセージも聞こえてきそうだけど、児童小説らしく何気にコミュニケーションの大切さを教えてくれる。さんざん薄気味悪いといってきたが、ラストはちょっぴり成長したコララインの姿も微笑ましく、とっても可愛らしい作品だった。