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『ショコラ』
【感想】 ★★★★☆ H17.11.3
ショコラ 恋の味、夢の味 最高においしい幸せと感動を召し上がれ
書いててかなり恥ずかしいキャッチ・コピーだけど、『ショコラ』は私の大好きな監督ラッセ・ハルストレムの、職人芸が創り出した素晴しいお伽噺。前作『サイダーハウス・ルール』に続いて、本作は第73回アカデミー賞に主演女優賞、助演女優賞他4部門にノミネートされた。ちなみにジュリエット・ビノシュのライバルだったのは、『エリン・ブロコビッチ』のジュリア・ロバーツでした、んん〜やむなし。

 フランスのある小さな村。そこに住む村人達は古くからの伝統を重んじ、その行動は戒律によって厳しく戒められていた。断食期のある日、北風と共に赤いマントを身にまとった母娘がやって来た。母ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)はそこにチョコレート・ショップを開店する。最初は到底村にそぐわない華やかな店先に、誰一人近づかなかったが、気難しい大家のアルマンド(ジュディ・デンチ)を始め、ヴィアンヌの人柄と美味しいチョコレートによって次第に店内は賑わっていく。代々古き伝統を守り続けてきた村長のレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)は、その光景を遠くから苦々しく思い、村人達にチョコを堕落の象徴のように吹聴して回る・・・。

 ヴィアンヌの作るチョコレートによって、村人達が魔法にかかったように、閉ざされていた心を解放していく様に、観ている方もとっても楽しい気分にさせられる。周りの環境によって出来あがった人格も、ちょっとしたきっかけで変われるんだ、そんなことも感じた作品だった。
ラッセ・ハレストレム監督が本作についてこう語っている。
「楽しみを享受する大切さや、人生の誘惑について描いた物語」
ヴィアンヌの一番過去に固執していたのは自分だと知る展開や、ラストで神父の人間の価値について語る言葉も含め、チョコレートのような甘いファンタジーに留まらない、しっとりとした人生の深い味わいも残す素敵な作品に仕上がっている。

この作品はジュリエット・ビノシュをはじめ、かなり個性的な出演者の共演にワクワクさせられた。自由の象徴のように現れるジプシーの男にジョニ・デップ。カッコよすぎとの声も上がるほどカッコイイ(笑)ビノシュに比べてちょっと子供っぽく、カップルに見えないがとにかく絵になる男です。そして大家のジュディ・リンチの抜群の存在感。「マトリックス」のキアリー=アン・モスの意外な子持ちの未亡人役と、「スパイダーマン2」のドック・オクのアルフレッド・モリーナの憎めない村長。そしてメイキングで知ったんだけど夫から逃げてきたジョセフィーヌのレナ・オリンは、ハレストレム監督の奥さんでした。そしてそして、ヴィアンヌの娘アヌークを演じた少女があの「ポネット」の女の子だって。どうです?なんだか凄いでしょ。

最高においしい幸せと感動を与えてくれたラッセ・ハルストレムに感謝!