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『バーレスク』
【感想】 ★★★★ H23.5.4
 デビューアルバムでグラミーの最優秀新人賞を受賞して以来、全世界トータル・セールス3000万枚を誇る歌姫クリスティーナ・アギレラを主演に迎え、劇中でもさながらのサクセスストーリーを描く『バーレスク』を観る。

 歌手を夢見てロサンゼルスにやって来たアリ(クリスティーナ・アギレラ)。求人広告を片手に職探しをするがどこもダメ。そんな途方に暮れていた彼女の前に、あるクラブ「バーレスク」が目に入ってきた。何かに惹かれるように店に入って見たものは、ゴージャスなステージでセクシーに歌い踊るダンサー達の姿だった・・・。

 とにかくクリスティーナ・アギレラの、パワフルな声に圧倒的な歌唱力で魅せる、見事なステージの数々に釘付けだった。見るものの心を一瞬でわしづかみにする、その神がかり的な歌の上手さといったらない。もう凄い!の一言。よくある女優が歌手顔負けに素晴らしい歌声を聞かせる、なんていうレベルをはるかに超えた、別次元の上手さというか、身震いするほどの本物を感じさせる迫力に、すっかりしびれてしまった。女優としての演技の方も、映画初出演というのが嘘のように、器用になんなくこなしており、マルチな才能をのぞかせている。ただねえ〜、残念なことにドラマの部分は特にどうってことない展開なんで、あまり見るところがないんだなあ。まるでアギレラの長いプロモーションビデオを見ている感があるんだけど、それでもそのドラマの部分を除いてもあまりあるパフォーマンスシーンの素晴らしさは、ただそれだけで必見の価値がある。特にラストで披露する「Show Me How You Burlesque」を歌うシーンは、見終わった後も何度もリピートして見てしまうほどの素晴らしさで、すぐにiTunesでダウンロードし、大音量で今も聞いている。もう最高!
そして本作が7年ぶり映画出演となるシェールも、ちょっと薄っぺらい役だったけど、抜群の存在感と、ハスキーヴォイスで聞かせる歌も、とっても感動的だった。さらにそのシェールと息の合った掛け合いをみせるスタンリー・トゥッチの、魅力的なキャラが際立っていた。しかし近頃の映画におけるゲイの役って、誰がやってもいい人で魅力的で、笑いと感動の部分をになう重要な役というか、なんだかもう外せないキャラクターみたな存在になってるよねえ。そういうお手軽なとこってどうなのかなあ・・・。

見ている間、まるで実際に「バーレスク」の観客になり、目の前で繰り広げられる素晴らしいステージに、なにもかも忘れて酔いしれてしまう、そんな気分にさせられてしまう、エンターテイメントに溢れた素敵な作品だった。