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『ブレイブハート』
【感想】 ★★★★ H23.3.21
 メル・ギブソンがスコットランドの伝説的英雄ウィリアム・ウォレシュの生涯を、主役のみならず自ら製作・監督まで手がけ、第68回のアカデミー賞で作品賞・監督賞・撮影賞・音響効果編集賞・メーキャップ賞の5部門を受賞した傑作『ブレイブハート』を観る。監督デビュー作の「顔のない天使」も素敵な作品だったが、本作はメル・ギブソンの監督としての才能が大爆発した素晴らしい作品だった。

 13世紀のスコットランド、残虐なイングランド王エドワード1世の圧制により、父親と兄、そして愛する妻までも殺害されたウィリアム・ウォレシュは、祖国解放のために立ち上がる。ウォレシュのカリスマ性は、瞬く間に各地の反乱軍を集め、その力はついに地域を統治していた貴族までも飲み込んでいった。

 数千人の兵士達が、画面の左右からすごい勢いで交差し、激しく衝突しあう渾身の戦闘シーン。まるで骨がきしむ音が聞こえそうなほどにぶつかり合い、血みどろの中で繰り広げられる肉弾戦のリアリティは、到底CGでは感じさせることのできない生の迫力で迫る。それはあたかも見るものに、戦場の真っ只中に投げ出されたような錯覚を起こさせ、振り上げる剣の一太刀一太刀に宿る命の重さを感じさせる。この約半分ほどを占める息詰まる戦いに、自然と手に力が入り、汗がにじむ。緊張感溢れる素晴らしい合戦シーンだった。
一方でカメラはどこまでも静かに深い緑を湛え広がるスコットランドの雄大な大地を映していく。歴史の中で、自由の旗の下戦い倒れていった先人達の流した血と涙が、その土に染み込んでいることを思うと、万感胸に迫るものがある。名カメラマンの功績も大きいが、人の悲しみと何者にも奪うことのできない人間の信念と尊厳を、重厚なドラマで描きあげたメル・ギブソンの、卓越した演出力に拍手喝さいである。
ただねえ〜、史実にもない創作で加えられた、皇太子妃とのロマンスは・・・、いらなかったんじゃないかなあ(^^;)

そして目を背けたくなるようなラストシーンで上げる、ウォレシュの魂の叫びは、感動で胸が振るえ涙が溢れていた。ほんとこの作品も劇場で見たかったなあ、残念。