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『ミッドナイトクロス』
【感想】 ★★★☆ H17.12.28
 現代サスペンス映画の第一人者ブライアン・デ・パルマ監督の傑作サスペンス『ミッドナイトクロス』を観る。ヒッチコックの後継者を予感させた代表作「殺しのドレス」の次回作として製作され、ある意味一番輝いていた頃の作品ではないだろうか(笑)。どういう意味かは言えないが・・・。

 音響効果マンのジャック(ジョン・トラボルタ)は、現在製作中のB級ホラー映画に収録する風の音を録るために郊外へやってきていた。そこでジャックは偶然車の事故に遭遇してしまう。猛スピードで走ってきた車はジャックの目の前で柵を突き破り川へとダイブしていた。徐々に川の中に沈んでいく車に、ジャックはすぐさま飛び込んで、なんとか一人の女性サリー(ナンシ・アレン)を救出するが、一緒にいた男は既に死んでいた。病院で治療を受けていたジャックは、死んだ男が次期大統領候補であったことを知らされる。さらに録音していたテープに一発の銃声の音が入っていた・・・。

 見ごたえ十分のサスペンス映画である。デ・パルマ得意のスローの長回しにグルグル回るカメラワーク、ヒッチコックばりの音や小道具をうまく使った演出も冴え渡る。それから今回はところどころで使われる赤色が印象的だった。同じようなヒッチコックを想わせる作品で「殺しのドレス」や「ボディ・ダブル」なんかがあるけど、私はこの作品が一番好きだなあ。なんといってもこの切ないラストは完璧ですね。

主演のジョン・トラボルタは、「サタデー・ナイト・フィーバー」や「グリース」以降まったくのご無沙汰で、久々の主演だったはず。なんだかこの作品でタランティーノに見初められて、その後「パルプ・フィクション」に起用されて返り咲いたとか、ジャケットに書いてあった。あんまりかっこいい役じゃなかったんだけどなあ(笑)。それからヒロインのナンシー・アレンは、そんな美人ではないんだけど、このサリー役ではちょっと足りない喋り方に、コケティッシュな魅力も溢れてて、とってもいい感じでした。それからこのレビューを書いてる時に調べて知ったんだけど、この時期なんとデ・パルマ夫人だった。わずか4年で離婚するんだけど、それ以降B級作品ばかりになっちゃうんだよねえ、残念。それからジョン・リスゴーが犯人役で出てるけど、レクターばりのイキ具合はさすが。こゆ役上手いんだよねえ。

「アンタッチャブル」や「ミッション・インポッシブル」など、それまでのサスペンスのジャンルを越えてアクション大作でヒットを飛ばしたデ・パルマも、最近はすっかりご無沙汰で、トラボルタのようにまた復活して欲しい監督なのだ。