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『バトルシップ』
【感想】 ★★★☆ H249.28

 ハワイ沖で展開されていた日米合同の軍事演習の真っただ中に、突然現れた謎の宇宙艦隊との戦いを描いた『バトルシップ』を観る。ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品とのことで、予告編を観ただけでお金がかかっていそうっていうあたりがいい。そんなハリウッド作品に、浅野忠信が「マイティ・ソー」に続き出演というのも、嬉しいねえ。

 2006年、科学者達により発見された“地球によく環境が似た惑星”プラネットGとのコンタクトを図るため、NASAは強力な電波を発射する通信設備を作り、交信をするという「ビーコンプロジェクト」と呼ばれる計画をスタートする。そして2012年、ハワイ沖ではアメリカ艦隊や日本の自衛隊などが集結した、多国籍海軍の軍事演習が行われていた。その演習中、レーダーに映らない巨大な物体を発見する。さっそく偵察艇を出しすが、その物体に触れた途端二つの光が空へ打ちあがり、周りをバリアーで囲んでしまう。バリアーの中に取り残された3隻の駆逐艦とバトルシップの、壮絶な戦いが今始まる・・・。

 オープニングから、バトルシップが現れるまでの30分が、まあ驚くほど退屈で眠くなってしまった。主人公の人となりを描いているんだろうが、そのいい加減さをこれでもかと見せつけるシーンが続き、思わず早送りしたくなる衝動に駆られる。でもこのなかなかバトルシップを登場させないフリが効いて、いざバトルシップが海に着水し、地球の3隻の駆逐艦と対峙してから始まる艦隊戦が抜群に素晴らしいのだ。予告編にもあった迫力のCG映像もさることながら、最初に駆逐艦から威嚇射撃されるシーンがあるんだけど、その時の主砲の発射音が実にリアルな臨場感を伝える素晴らしい爆音で、この発射音ひとつで今までにないこだわりの艦隊戦を見せてくれるんだと確信した。これまでのエイリアンの侵略物だと、「世界侵略・ロサンゼルス決戦」みたいに、エイリアン側の圧倒的戦闘力で、無差別に破壊され、地球側の武器がほとんど通じないという展開の作品がほとんどだった。だがこの作品では、地球の武器がそこそこ通用するというところが新しく、加えて均衡する戦闘力に様々な戦略を駆使した駆け引きもあり、見応え十分で面白いのだ。通常海上での艦隊戦では、戦艦を守るように戦闘機がセットになって周りを飛んでいるんだけど、バリヤーという設定を作って、この戦闘機を一切飛行させないというところで、純粋に、かつ実にどっしりした艦隊戦を見ることができるのだ。なかでも最高に盛り上がったのが、今はただの記念艦となっていたかつてのアメリカ海軍最後の戦艦ミズーリと、エイリアンの超巨大戦艦とのラストバトルのシーン。知ってる人にはすぐにピント来たと思うんだけど、あの日露戦争でバルチック艦隊を破った日本海軍連合艦隊の、敵前大回頭を彷彿とさせるシーンには拍手喝さいだった。いやあ〜、実に面白い。

ただし、すぐに頭に血が上り冷静さを欠く主人公アレックスの魅力のなさや、突っ込みどころ満載の設定やストーリーがまるでだめで、評論家たちからはめちゃめちゃ酷評されてるんだよね。ただ私的には、戦意がない駆逐艦や人間には決して攻撃を加えない宇宙人の意外なフェア精神と、どこまでも美しく広がる青い大海原で、ガチンコの対決を見せるド迫力の艦隊戦が実に心地よく、ストーリーなど関係なくワクワクしながら見ることができた。さらに戦いのシーンがどこか「宇宙戦艦ヤマト」を連想させるんだなあ。最後ミズーリには飛んでほしかった(笑)。ほんと、取り上げたらきりがないほど、突っ込みどころがてんこ盛りなんだけどね〜、こういう気楽に観れる大作もたまにはいいわぁ。
そして本作も最後エンドロールの後に、ちょっとしたおまけシーンがあるので、最後までしっかりチェック(^^)