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『バットマン』
【感想】 ★★★★ H17.4.3

 ティム・バートンがダークなイマジネーションを最大に発揮し、大人気のコミックヒーロを最高にカッコよく映画化した『バットマン』を観る。この作品の登場を機に、数々のコミックヒーロものが映画化されるが、その中で今なお一番好きな作品なのだ。

 オープニングの重厚なサウンドに乗って、バットマンのエンブレムを縦横無尽に移動するカメラワークでもう痺れてしまった(笑)。徹底的に作りこまれたダークなバットマン・ワールド。漆黒の森の中を疾走するバットモービルには、クラシック感と品格さえ漂ってる。バットマン・ワールドとバートン・ワールドが見事にシンクロしている。そしてなによりバットマンのアクションの美しさが素晴らしいのだ。ただ窓を破って降りてくるシーンにさえ目を奪われる。どういうアングルからどういう動きが一番カッコよく見えるのか、絶妙に計算されつくした映像は、どのシーンを切り取っても絵になる。日々進化するVFXはド派手だが、質感のないCGや、もはや俳優さえCGとなりありえない動きがこれでもかと展開される昨今のアクションシーンには、一種しらけさえ感じてしまう。やはり生身のアクションの迫力の方が、私は好きだなあ。

 賛否両論だったマイケル・キートンの起用については、私的には違和感がなかった。なによりマスクから覗く口元がいい。一見はまり役だと思ったジョージ・クルーニーのにやけた口元と比べたら、ぜんぜんいいでしょう(笑)。そしてこの作品をさらに高みに上らせた、ジャック・ニコルソンの起用。最初あまりのはじけぶりに目を疑ったが、ここまでやってくれると不思議と清々しさを感じてしまう。見事な怪演振りだった。ほかにもヒロインにキム・ベイシンガーと、ギャングのボスにジャック・パランスをキャスティングするなど、その贅沢も嬉しいね。

ただ最近発売されたスペシャル・エディション版は知らないけど、私の持っている廉価版のDVDは、吹き替えが酷い。バットマンに渡辺裕之はまだ許せるが、ジョーカーはなんとデーモン小暮だって。顔のペイントが似てるってだけの抜擢だと思うけど、なんだかねえ。まあ吹き替えで観なきゃいいってことだけどね(^^;)