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『アバター』
【感想】 ★★★★☆ H22.1.16
アバター “観るのではない。そこにいるのだ。”
『タイタニック』から12年、ジェームズ・キャメロンの待望の新作にして、たぶんこれから量産される3D映画のシンボリックな作品となるであろう『
アバター』を劇場にて鑑賞。予告編でどうしてまたこんなヘンテコリンなCGの宇宙人の話を、なんて第一印象は最悪だったが、あのキャメロンのしかも3D映画なんだからと、もしかしたらとの淡い期待を膨らませて見ることに・・・。

 地球から遠く離れた未開の惑星パンドラに降り立つ車椅子の男ジェイク(サム・ワーシントン)。この惑星に眠る莫大な富をもたらす鉱物の上にある先住民ナヴィ族の村と、その採掘をめぐって一触即発の状態にある中、元海兵隊のジェイクはある使命を持って招かれた。それはアバターと呼ばれる人間とナヴィのDNAの結合体の遠隔操作を、事故で亡くなった双子の兄に代わり行い、ナヴィ族に奥深く潜入しスパイすることだった・・・。

 大地を覆う未開のジャングルに息づく凶暴な動物達に、神が宿る神秘的な木や生き物。目がくらむほど高くそびえる大木と、空に浮かぶ大陸。キャメロンの描き出す驚愕の世界が、3Dのメガネによりさらに未体験の奥行きを創り出し、まずそのあまりの臨場感と圧倒的な迫力に目を奪われる。
第一印象が最悪だった青色のアバターとナヴィ達は、時間が経つに連れどんどんと感情移入され、半分を過ぎた辺りでは、豊かな表情としなやかな体に美しささえ感じてしまった。そしてジャングルを空を縦横に躍動するアバターに、いつしか観ている自分達のアバターと錯覚するくらいの一体感と高揚感を憶える。戦士の試練として翼竜に挑んだアバターの姿にさえ心を揺さぶられ、涙が流れていた。ラストの大迫力の戦闘シーンまで、こんなに夢中になりワクワクした気分で映画を観たのはいつの頃からだろう。

ストーリーについても、先が読めると誰もが想像できるものだったけど、自分が望む方向へ次々と展開していくこの快感はなんだろう。予測不能というか、もはやなんでもありの刺激的なストーリーに慣れてしまった今、この王道のようなストーリーがかえって新鮮であり、自分が信じるもののためだけに闘う主人公の姿に、ただ夢中になっていた。確かに今現実社会で起こっている武力による侵略や、マイノリティへの迫害などのテーマも含まれているが、そんな難しいテーマや背景を考えることもなく、ただ夢中になって見ていた。
ああ、映画ってこんなに楽しいものなんだと、改めて感じさせてくれた作品だった。

 ▼公式サイト:映画『アバター』オフィシャルサイト