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『要塞警察』
【感想】 ★★★☆ H22.4.11

 鬼才ジョン・カーペンター監督の初期の傑作『要塞警察』を観る。「ハロウィン」で注目される前の作品であり、未公開作品でもあるということで、この作品を見ることは、デビュー作の「ダーク・スター」に並ぶ、カーペンターファンを自称するものにとってひとつのステータスのような作品なのだ。

 ストリート・ギャングが横行するロス郊外のアンダーソン地区、警部補のビショップは初仕事として、そのアンダーソン地区から移転中の警察署の臨時署長に任命される。おおかたの引越しが終わった署内には、後片付けの女性二人の他は、警官が一人いるきりだった。その引越しも明朝には片付き、一晩だけの任務のはずだったが、そこへストリート・ギャングに追われた男が逃げ込んでくる・・・。

 オープニングからビートを刻むカーペンターのカッコイイ音楽に、早くも胸が躍る。ストリート・ギャングに囲まれた絶体絶命の警察署に、偶然護送されてきた凶悪犯という最高のシチュエーション。カーペンター作品のすべてにいえることだけど、導入部はどれもピカイチで、観ているもののハートをガッチリ掴んで離さない魅力に溢れている。そして暗闇からわらわらとあふれ出してくるストリート・ギャング達の恐怖演出に、投げ渡されたショットガンを受け取るや否やぶっ放すカッコよさ(まあ、このシーンはハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」へのオマージュらしいけど・・・)。

主人公は当然警部補のビショップなんだけど、裏主人公というんだろうか、抜群の存在感をみせる凶悪犯のナポレオンのキャラクターが最高にいい。時に激しく時に泰然とし、凶悪犯なんだけど物腰が上品であり女性にも優しいという、カッコよすぎるほどカッコイイ役なのだ。そして逆境の中でも、一番肝っ玉が据わっていたアネゴのリーの、ただの棒立ちのシーンにさえ凄みを感じさせるカッコよさもいい。そう、すべてにおいてカッコイイのだ。

評判どおりカーペンターファンには絶対に外せない作品でした。