レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

マックスマシーン

Maker :コモドール・ジャパン
種 別:ROMカートリッジ式家庭用マイクロコンピュータ
価 格:34800円
発売日:1982年

 自分で書いておいてこんなことを言うのもなんだが、「家庭用マイクロコン
ピュータ」というのは耳慣れない言葉だ。
早い話が「家庭用マイコン」という意味で書いたのだが、なんだかTinkPadをさ
らにスモールライトで縮小したようなパソコンを連想してしまう。

 別に「家庭用パーソナルコンピュータ」と書いても間違いではないのだろうが
このマシンが市場に出た頃はまだパソコンという言葉は一般化していなかったし、
「家庭用・個人的なコンピュータ」というよく考えるとヘンな言葉である。


 さて本題に入ろう。
マックスマシーンは1980年代はじめの「マイコンブーム」の最中に主に玩具店
で販売されていた半ゲーム機的な性格を持つマイコンである。
つまり、ぴゅう太だとか、バンダイのRX-78だとか、もう少し後になるとMSX
だとかと同じコンセプトで発売されたマシンであり、恐らくは一連のそれらのマ
シンの中ではかなりマイナーな部類に入るマシンでもある。

 メーカーはその昔、コンピュータグラフィックの分野に置いて一世風靡したア
ミーガシリーズと同じコモドールであり、マックスマシーンはコモドール64と
いうマシンの下位互換マシンとなっている。

 さて、このマックスマシーンの場合、一応マイコンであるにも関わらず、BASI
CがROMカートリッジで供給されており、しかも別売りとなっていた。
これはどういうことかというと、仮にこの本体だけを購入した場合にはゲームど
ころかBASICのコンソール画面すらも表示されないということであり、その意味で
は限りなくゲーム機に近いマシンであるといえよう。

 このマシンはおいらが小学校三年生の頃に「コンピュータの勉強のために」と
いう名目で買ってもらったものだが、当時のおいらが期待していたのは、無論コ
ンピュータの勉強などではなくゲームの方である。

 マックスマシーンには10本程度の対応ゲームが存在し、発売予定ラインナッ
プとしてさらに2、3本の名前があったが、その後店頭で見た記憶はない。
対応ゲームの少なさに加えてゲームの定価が1本あたり2800円程度だったこ
ともあり、マックスマシーン対応ゲームは半分以上は持っていたが、無論有名な
ゲームなどは1本もなく、逆に「過去に有名だったゲームにそっくりなゲーム」
がやたら多かったことでも印象的なマシンなのだ。

 それら数々のゲームを1本づつ簡単に紹介してみよう。


「オメガレース」

 慣性のついた動きが印象的なシューティングアクションゲーム。
時期は左右に360度回転することが出来、移動は前進(ロケット噴射)のみ。
つまり、バック移動のないバンゲリングベイのような感じで移動する。
ただし、ロケット噴射をやめても慣性がつくのでそのまま同じ方向に移動し続け
画面端にぶるかると今度は反動で逆方向に跳ね返という、エクセリオンどころの
騒ぎではない特殊な操作性の為に慣れるまでは全然楽しくなかった。
画面内の敵エイリアンを全て破壊すればクリアとなるが最後に残った敵は突如と
して通常のエイアンの数倍のスピードで高速移動するようになるので、そこから
の攻防が熱いゲームだった。
ただし、アーケードゲームからのパクり説もある。
操作にさえ慣れればジュピターランダーと並んでマックスマシーンではかなり面
白い部類に入るゲーム。


「ジュピターランダー」

 アーケードゲームの「ルナランダー」のパクり。
ルナランダーとは、宇宙船を月面着陸させることを目的としたゲームだが、こちら
はその名の通り木星が舞台となっている。
落下スピードが速すぎると着地と同時に爆発してしまうので、垂直・左右のロケッ
ト噴射を駆使して決められたポイントに着陸することがゲームの目的となっている。
結構好きだったゲームである。


「アベンジャー」

 一見するとスペースインベーダーの完璧な移植作品だが、版権を取っていない
ので、これまたパクり。
インベーダー以上でもインベーダー以下でもないが、ファミコン版インベーダー
が発売されるまでは家庭で遊べるインベーダーとしてはかなり高いクォリティを
保っていた・・・というよりも普通は、インベーダーの形を多少変えたりして、
「オリジナルですよ!」的な面を多少は見せるものだが、そういう配慮が皆無で
どこからどうみても完璧にインベーダーだったのでユーザーにとってはなかなか
嬉しかった1本。


「レーダーラットレース」

 タイトルはかなり意味不明だが、実はラリーXのパクり。
つまり、ラリーXの車が「ネズミ」でフラッグが「チーズ」なのだ。
では煙幕は何なのか?といわれると、いまだによくわからない。
しかしネズミが霧のような煙幕を吹いて敵のネズミを煙に巻くことだけは確かだ。
タイトルの「レーダー」はラリーXの画面右側のレーダーがこのゲームにも存在
することに由来しているからではないだろうか。


「スーパーエイリアン」

 スーパーというか、むしろ平安京エイリアン。
これまた版権無視。
ラリーXもそうだが、オリジナルがあまり家庭用に移植されなかったゲームで
ある為、またまたユーザーにとっては嬉しい1本だった。


「ロードレース 」

 今まで紹介したほとんどのゲームが他作品からのパクりであったことを考え
ると、これも単においらがオリジナルを知らないだけでパクりなのかもしれな
いゲーム。
いわゆる車ゲームだが、視点は何と擬似3D。
とはいっても、他の車とレースするわけではなく、ひたすら道路脇のポールに
ぶつからないように走り続けるというストイックなゲームである。
時間内にどれだけの距離を走ったがスコアの代わりになるのだが、当時の記憶
によると平均6K程度しか走ることが出来ず、なんとも地味なゲームだった。


「マネーウォーズ」

 数年後に訪れる「財テクブーム」を先取りしたようなタイトルだが、無論そ
んな大層なものではない。
というよりむしろ泥棒のゲームである。
どういうゲームかといえば、ファミコンで発売された「さんまの名探偵」とい
うゲームの中で、序盤にさんまが探偵手帳を手に入れる為に墓地で空から降っ
てくる障害物をよけながら、画面の端まで行って手帳を取り、さらに元いた地
点に戻る、というミニゲームがあったが、まさにそれ。
「さんまの名探偵」の中のミニゲームにこのゲームの存在価値が集約されてい
るというのはあまりに哀しいのだが、さんまの名探偵に5年も先かげて発売さ
れたため、「さんまの名探偵内のミニゲームのパクリ」でないことだけが救い。
何故か当時は勝手に「ルパン」と呼んでいたゲーム。


 というような感じで、改めて振り返ってみたらほとんどのゲームがパクりだ
ったという素晴らしいハードだったことに気づいてしまった。

 最後にマイコンの本分であるBASICについて紹介させて頂くが、先ほど
も書いたようにBASICは内臓ではなくROMカートリッジによる別売りで
その名も「ミニ・ベーシック1」という。
「1」という表記が非常に気になるのだが、その後2だのV3だのが発売され
ることはなかった。

 内容はどうってことのないBASICなのだが、おいらにとって初めて出合
ったBASIC言語がこれだ。
最近ではパソコンを持っていてもベタ打ちBASICのコンソール画面など見
たことのない人が殆どだが、この頃はパソコン=BASICだった。
自分がコンピュータにさせたいことは家計簿であれ、宿題の算数であれ、自分
でプログラムするという自給自足の世界だったのだ。

 当時のおいらには、BASICプログラムの組み方などは皆目分からなかっ
たがマニュアルにレーシングゲームのサンプルプログラムが載っており、購入
した時におもちゃ屋のにーちゃんに聞いた「このプログラムを打てば、このゲ
ームができるようになるんだよ」という言葉と、「プログラムは一行書くごと
にリターンキーを押さないといけないよ」という助言だけを頼り、に30行程
度のそのプログラムを打ち込んでみた。

 当時BASICに触った人なら分かると思うが、BASICのプロラグムを
動かす為には"RUN"という命令が必要なのだが、残念ながら当時のおいらはそん
なことを知るよしもなく、とにかく書いてある通りに打ち込めば最後の一行を
打ち込んだ時点で勝手にゲームがはじまるものだと堅く信じていた。

 勿論、最後のリターンを押しても何もはじまるはじもなく、おいらは「今日も
失敗だった・・・明日こそは・・・」などと言いつつ、力なく電源を落とす毎日
を繰り返していたのだが、今にして思えば少なくともタイピングの練習にはなっ
ていたのかもしれない。


AXL 2002

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