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X-box

Maker :Micro Soft
種 別:DVD式家庭用ビデオゲーム機
発売日:2002年


 X-boxは世の中で言われているほどデカくはない。
とにかく場所を取る!というイメージがあり、おいら自身も購入するまでは、
さぞやデカいんだろうな・・・と思っていたが、大きさ自体は決して特筆する
ほどではない。
おいらの部屋ではX-Boxの上にPlayStation2を横にして載せているが、重ねてみ
ると奥行きはPS2より少しあるが幅や高さはPS2のそれとほとんど同じである。
ただ、PS2のように縦置きができないため、縦置きのPS2に比べればそれなりの
面積は必要になることは確かだ。

 そして、X-boxに関してもう一つ言っておきたいのは、その体積に比べてアホ
みたいに重い、ということだ。
重さに関してはPS2など問題にもならない。
たとえば、今突然大地震がやってきて激しい横揺れのために、おいらの頭にPS2
が飛んできたとしても、ケガをすることはあっても死ぬことはないが、X-boxだ
ったらきっと死ぬ、それくらいに重いのだ。
構造的なことはよく分からないので、厳密にPS2とX-boxの何が違うためにこんな
に重量差があるのか分からないが、ちょっとしたデスクトップパソコンくらいの
重さはある。


 さて、X-boxは日本では2002年にマイクロソフトから発売された家庭用ビデオ
ゲーム機だ。
主な仕様は、CPUにパソコンでもお馴染みのPentiumIII(733MHZ)を採用し、8GB
のハードディスクを標準で内蔵している。
X-boxの特色としてグラフィック周りが特にすごいことになっているらしいのだ
が、正直なところPS2と比べて毎秒何ポリゴン多く出せて、描画速度がああで、
テクスチャがどーだ、などといわれてもまるで実感が沸かないので、とりあえず
「すごいことになっている」とおいらは理解している。

 X-boxはパソコンソフトメーカーの枠を越えて、事実上パソコンというハード
そのものを握っているといっても過言ではない巨人マイクロソフト社がゲーム
業界に参入するために発売したハードであり、そういう意味では発売前から非
常に大きな話題となっていたが、その頃のおいらは「黒船」とまで形容された
X-Boxに対して、「ふうん・・・」という実に醒めきった視線を送っていた。

 その理由は、まず、最近ではセガのドリームキャスト、任天堂の64。
古くはPC-Engineやメガドライブまで遡ってみても、既に特定のハード(PS2)
が確固たる地位を築いてしまっている状態で参入したところで、苦戦するのは
目に見えていたからだ。
第二にX-Boxはおいらがトラウマとして持っている三つの要素を全て持っていた
ハードだったことだ。
その三つは、まず本体が黒一色であること。
次に、本体がやたらとデカいということ。
最後は、ハードホルダーがマイクロソフトである以上、かなりの割合で海外産
のゲームが投入されてくることが予想できたことだ。
ゲーマーとしてのおいらの歴史の中で、「真っ黒」で「本体がデカくて」「洋
ゲーがやたらと発売され」た3DO REALという名のテレビゲーム機を定価で購入
してしまったことがあり、後で考えるとその経験はなんだかちょっぴり悲しい
ことであった、というトラウマがあるのだ。

 そのような事情もあり、おいらは全くといっていいほどX-boxというハード
に興味を示すこともなく、従ってX-box関連の情報もほとんど収集しないまま
に2002年2月の日本国内販売開始から、2003年12月までの約2年弱を過してし
まったのだ。
 その間に断片的においらが知った関連情報といえば、まず3万4800円の定価
で発売されたということ。
これは、その時点でのPS2の販売価格が2万9800円、ゲームキューブが2万5000
円であったことを思えばかなり思いきった価格設定だ。
ゲーム機に関しては、機能や原価に対して価格設定をすることはほとんど意
味がない。いくら高性能なハードであってもユーザーが満足するだけのソフ
トの数と質を揃えられなければ、それはタダの箱に過ぎないからだ。
そういう意味で約3万5000円という発売時の価格設定はおいらにとってかなり
強気に映った。

 次においらが感じたことといえば、「やっぱりグラフィックがすごいこと
になっているらしい」ということ。
これは後発である以上、当然といえば当然なのだが、基本的には新しいもの
好きのおいらの興味をそそったことは確かだ。
ただ、単純な見た目でいえば、ファミコンのあとにPC-Engineが発売された時、
或いはSuper FamicomのあとにPSやSSが発売されたときほどのギャップはなく
残念ながら、だから買おうという気にはなれなかった。

 そうこうしている間に、「X-boxでディスクを再生するとディスクにキズが
つくらしい」という噂が聞えてきた。
しかも、この問題が発覚したのは、日本での発売から十日も経たない3月1日の
ことだった。
この問題は、マイクロソフト側が初期不良によるものではなく、「自然な摩擦
により起こりうるもの」だと発表し、傷によってゲームのプレイに支障をきた
すことはないから、傷がついたとしても正常にゲームが動いている以上は、修
理・交換には応じないという発表をおこなったために、日本国内でのX-boxとい
うハードに対する不信感が急速に広がっていった。
実際にプレイに支障をきたすことがなく、しかもX-boxが完全なゲーム専用機(
DVDやCDを読むことができない仕様)であったならば、ここまで問題は大きくな
らなかったかもしれないが、一番の問題はX-boxで再生することによって、ゲー
ム以外のメディアにも傷がついてしまうということだ。
マイクロソフト側は5日後の3月6日になって、希望者には無償で修理・交換に応
じると姿勢を軟化させるが、現在小売店に出荷されているものに関しては、「
ディスクに傷がつく可能性がある」と告知した上で販売を続けるとした。
果たして「ディスクに傷がつく可能性」を承知で購入した人がどれくらいいた
のかは分からないが、この対応に一部の大手量販店からはX-boxの販売を拒否
され売り場からX-boxが撤去されたという。

 これがX-boxの日本国内発売から僅か2週間の間に起こった出来事で、少なく
ともおいらの知る限り、X-boxはゲーム機としては最悪の滑り出しをしてしま
ったことになる。
現実に、2004年1月に発表された、PS2、X-box,ゲームキューブのそれぞれの全
世界での累計出荷台数台数は

PlayStation2  約7,000万台(2000年3月発売)
ゲームキューブ  1,394万台(2001年9月発売)
X-box 1,370万台(2001年11月発売)(日本では2002年2月発売)

となっており、特にゲームキューブとX-boxは横並びだが、この内ゲームキュー
ブは日本国内での累計出荷台数が337万台なのに対して、X-boxはアジア全体を
含めて140万台にとどまり、日本国内の売上台数に限っては50万台未満ともいわ
れている。(尚、PS2はアジア全体で1,618万台)
時期的に一番新しいX-boxが不利なのは仕方がないが、ゲームキューブが発売
から一ヶ月で50万台の売上を達成したことを思えば、スタートダッシュをかけ
るべき大事なときに起こった一連の傷騒動の影響が日本市場での不振の一因に
なっていることは間違いないだろう。

 こういった一連の不祥事の影響もあり、なんだかんだいって、やっぱりあん
まり売れていないらしい・・・という噂がちらほらと耳に入るほかはこれとい
った情報も耳にしなくなり、おいらのX-boxに対する興味はほとんど消えうせ
てしまった。
その上、発売から僅か2ヶ月で3万4800円の販売価格を2万4800円に改めるとい
う迷走ぶりをみせ、やはり3DO REALの教訓は無駄ではなかったのだ・・・と内
心胸をなでおろしたりしていた。
ちなみにこの時、マイクロソフトは既に旧価格でX-boxを購入したユーザーに
対して6,800円のキャッシュバックキャンペーンを行った。
こういったことは、値下げ合戦がなかば当たり前に行われている日本のゲーム
ハード業界でもはじめてのことではないだろうか。

 それから一年半後の2003年11月にx-boxは再度値下げを行い、なんと1万6800
円になった。
これは初代ファミコンとほとんど同じ価格帯であり、現行機、それも現行最新
ハードとしては、発売時とは逆の意味で思いきった価格設定といえるだろう。
余談だが、同じ頃に任天堂のゲームキューブも1万4000円というファミコン以下
の価格に改定されている。ファミコンユーザーとしてはまさに隔世の感がある。

 そしてこの頃になって、おいらは突如としてX-boxを買おう、と思いたつ。
いや、厳密にいえば、値下げと共に発表されたプラチナパック(本体にコント
ローラが1つ余分につき、HALOとプロジェクトゴッサムレーシング2も入って、
1万9800円という期間限定のセット商品)を、しかも自腹ではなくクリスマス
プレゼントとして彼女から貰おう、と思い立ったのだ。

 なんといっても2万以下でソフト2本付きという価格設定は魅力的だったし
クレイジータクシー3やセガラリー2002など個人的に気になっているソフトも
何本かあったからだ。

 そして、ついに噂のX-boxと生で対面したおいらの率直な感想は、なかなか
面白いんではないだろうか、ということだった。
先述した通り、ハードの魅力とはすなわりソフトの魅力である。
特にPS2以降のハードでは、ハードそのものの性能の差、それもプレイヤーが
ゲームを通じて実感できる部分はさほど多くない。
だから、X-boxに対して、毎秒ウン百万ポリゴンが・・・などと言うつもりは
ないが、ひとつだけX-boxというハードにあって他のハードにないものがある。
それは、標準で装備されたハードディスクだ。
PS2にもオプションでハードディスクがつくが、PS2のそれと決定的に違うのは
X-boxのハードディスクには音楽CDを記録することができ、しかも多くのゲー
ムでハードディスク内に記録された音楽をBGMとして使えるということなのだ。

 なんだそんなことは、と思うかもしれないが、ウィンドウズの壁紙を自分好
みのものに貼りかえるように、ゲームのBGMを自分で決められるというのは
試みとしては非常に面白いものだと思うし、この機能を前提にソフトを開発す
ればいろいろと面白いものが作れそうな気がするのだ。

 ただ、惜しむらくはやはり対応ソフトが決して豊富でないということで、自
分がユーザーになるまではあまり気にもならなかったが、いざユーザーになっ
てしまうと、X-boxというのは少なくとも日本市場においては本当にソフトが出
ないハードであるということを認めないわけにはいかない。
ゲームキューブも似たような状況だが、任天堂がついているゲームキューブの
場合、マリオシリーズをはじめとして最低でも2ヶ月に1本は「これは面白そ
うだな」というソフトが発売さるが、現状でX-box市場に全力投球していると感
じられるメーカーはマイクロソフトを除けばデッド・オア・アライブシリーズ
のテクモくらいのもので基本的に格闘ものをあまり好まないおいらにとって今
現在、発売したら絶対買おう!と思っているX-boxの発売予定ソフトはたった
の1本のみで、そのFableというソフトすら今の段階では発売日は未定のままな
のだ。

 これを書く少し前に発売されたカプコンのロボットシミュレータの鉄騎大戦
というゲームはなかなかに面白そうだったのだが、専用コントローラ込で1万
9800円と言われると二の足を踏んでしまう。
コントローラがすごいのは重々承知しているものの、本体より高いのはいかが
なものか。

 既に巷ではX-box2の噂がちらほらと聞かれるようになり、さりげなくX-box
はなかったことにされてしまいそうな今日この頃ではあるが、それでもX-box
というのはソフトさえ出ればなかなかに面白いハードなだけにこのまま終らせ
るのはもったいない・・・・と思いながらも、どうせきっとこのまま終るん
だろうな・・・という予感で一杯のおいらである。



AXL 2004

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