レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

NEOGEO
 〜家庭用アーケードゲーム構想と野望〜

Maker :SNK
種 別:ROM式家庭用ゲームテレビゲーム機(NEOGEO)
CD-ROM式家庭用テレビゲーム機(NEOGEO CD,NEOGEO CDZ)
発売日:1990年7月(NEOGEO)
1994年9月(NEOGEO CD)
1995年12月(NEOGEO CDZ)
価 格:4万8800円(NEOGEO)
4万9800円(NEOGEO CD)
オープン価格(NEOGE CDZ)


 一言で「家庭用ゲーム機」と簡単に片付けられないところがネオジオの特徴
である。
一般発売の半年ほど前からレンタル用としてリリースされていたネオジオが正
式に一般向けに発売されたのは1990年。
家庭用ゲームとして言えばスーパーファミコン、PC-Engine、メガドライブあ
たりと同期生ということになる。
だが、ネオジオは他の家庭用とは何から何まで違い過ぎた。

 単純にゲームのクォリティだけでいうなら、全機種中最高だろう。
何よりもKING OF FIGHTERS 2000という2000年のアーケードゲームのフラッグ
タイトルがそのまま動いてしまうことでも分かる通り、クォリティはズバ抜け
ている、だがそれだけに値段も高く、まず本体価格が5万円近い。
今でこそそれほど珍しい値段ではないかもしれないが、ネオジオが発売された
当初、他の家庭用ゲームの価格帯は2万5千円前後が相場、つまり通常のゲー
ムの倍額である。
しかも、ネオジオの場合、本体のみならずソフト価格も異常に高い。
これは、ROMゲーム機であるネオジオが文字通りアーケードゲーム並のクォリ
ティを叩き出す為に、通常の数十倍の容量のROMを使っている為だが、ゲーム
1本の価格が2万円以上というのは、一般向け家庭用ゲームとしてはちょっ
と考えられない値段である。

 勿論、ネオジオのコンセプトは、スーパーファミコンやメガドライブのよう
な一般向けユーザー用の汎用ゲーム機ではなく、コアなアーケードゲーマーに
的を絞ったマニアックマシンである。
ゲームセンターでゲームをする者にとっては、「このゲームが家で出来たら・
・・・」というのは永遠の夢だ。
ネオジオの場合、SNKのネオジオ筐体と呼ばれるゲームセンター用の筐体の中
に、家庭用ネオジオ本体と同じ性能のものが組み込まれており、ゲームの供給
もアーケード特有のコインやコンティニュー制限など一部のシステム部分を覗
いては全く同じものが使われている。
つまり、文字通り「ゲームセンターのゲームが家庭ができる」がコンセプトな
のだ。
アーケードゲームマシンと性能も動かすゲームも全く同じなので「移植による
クォリティの劣化」という不安要素が一切無いのがネオジオの魅力である。


 当時の他の家庭用ゲーム機に比べればソフトのリリース数は非常に少なかっ
たが、メーカーのSNK自身が「飢狼伝説」や「サムライスピリッツ」シリー
ズなどの人気格闘ゲームをネオジオシステム上で多くリリースした為に、ネオ
ジオは一定のユーザーを確保することにも成功した。

 しかし、販売本数からいえば、1本のソフト価格が数万円もするネオジオよ
りもやはりスーパーファミコンを始めとする家庭用ゲーム機の方がクォリティ
こそ劣るものの有利である。
スーパーファミコン用に他者がSNKからライセンスを受けて移植、販売した
サムライスピリッツがヒットし、ネオジオでの販売本数を上回ったことを理由
にSNKは一時期、自社ソフトの移植を禁止するの、しないのというトラブル
もあった。

 そして、独自の道を歩んでいたネオジオも94年末の次世代ゲーム機戦争にお
いて、ある程度一般向けを意識したゲーム機、ネオジオCDをリリースするこ
ととなる。
ネオジオ最大のネックである、ROMカセットの値段の高さを解消する為に、CD-
ROM一体型のネオジオを発売したのだ。
媒体をCD-ROMにすることにより、それまでの1本数万円したゲームを僅か5000
円程度でリリースするとアナウンスした為、ネオジオCDは発売当初アーケー
ドゲーマーを中心に人気が集まったが、蓋をあけてみると、低速CD-ROMドライ
ブによる読み込み速度の遅さに加えて、そもそもゲーム自体が読み込み時間を
意識して作られているものではない為に、ゲーム中の待ち時間の長さがユーザ
ーの不興を買い、プレイステーション、セガサターンなどの登場により、次第
に市場を狭めていく結果となった。
1年後に、2倍速CD-ROMドライブを搭載したネオジオCDZを発売するものの
やはり待ち時間の根本的な解決にはなり得ず、また、ライバル機の躍進もあり、
鳴かず飛ばずという状態で、結局はROM版ネオジオを所有するヘビーユーザー
に引っ張れる形で、ROM版ネオジオだけが生き残った。


 ちなみに、最近では全く使っていないが、ROM版ネオジオのユーザーである、
今から5、6年前に新品の本体が僅か1万円で売られているのを見つけて、
好奇心から購入してみた。
ソフトも、全て型落ちで、中古ショップで、2、3000円のものばかりを数
本揃えて遊んでみたが、やはりゲームセンターのゲームがそのまま家庭のテレ
ビに映し出された時は正直感動してしまった。
ゲーム業界では驚異的とも言える、10年もの間第一線のアーケードゲームをそ
のまま楽しむことが出来たネオジオだが、昨年のKING OF FIGHTERS 2000のROM
版発売を持って、ソフトリリースがついに終了したらしい。

(2003.7.18追記:その後、NEOGEOブランドは、プレイモア(SNKプレイモア)に
         引き継がれ現在もアーケード用新作ソフトがリリースされ
         ているようです)


 今後はもう同じようなコンセプトのゲームが登場することは恐らく無いと思
われるが、「ゲームセンターのゲームを家庭で・・・。」というユーザーの夢
を実現したネオジオの存在はやはり大きかったと思うし、何よりもネオジオと
いうハードを10年間も「生き残らせた」SNKの努力は大変なものだったろう
と思う。



AXL 2001

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