レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

MEGA DRIVE

種  別:ROMカートリッジ式家庭用テレビゲーム専用機
メーカー:セガ・エンタープライゼス
定  価:2万1000円
発 売 日:1989年


 おいらは実はセガという会社や、セガのハードについてあまり詳しくない。
一応、メガドライブは所持していたが、詳しくないので、このハードについて
は第三者的になってしまうが、セガが何故あの時期にメガドライブをリリース
したのか、という事情を勝手に想像すると同情を禁じえない。

セガはMARK IIIの前身、SCシリーズの頃から任天堂を、つまりファミコンを追
いぬく為に果敢に挑戦し続けたメーカーである。
そのセガがメガドライブの前に発売したハード、SEGA MARKIIIは既に性能面で
ファミコンを上回っていた。
さらにそのMARKIIIのマイナーチェンジ版であるセガ・マスターシステムまで
リリースしていたセガが新たに、16bit CPUを搭載したメガドライブを投入
した背景には、任天堂が当時開発を進めていた「スーパーファミコン」への牽
制もあるだろうが、当面、最もシェアを食い合うべき競争相手は、任天堂では
なくPC-Engineを投入してきた、NECなのではなかったか。

 ファミコン全盛期、少なくともPC-Engineが登場するまで、唯一ファミコンの
対抗機としてハードとそのソフトをリリースし続けてきたセガはまさかここに
来て第三のメーカーが参入するなどとは思っていなかっただろう。

 しかし、1988年に発売されたPC-Engineはその強力なグラフィック機能と、ナ
ムコ等の有力メーカーによる人気アーケードゲームの高クォリティ移植作品のリ
リースにより、セガの立場を脅かす存在となった。
今までコツコツ頑張ってきたのに突然、トンビに油揚げをさらわれそうになっ
てしまったのだ。
「何よ!あの子!」と思ったに違いない。

 そこで、セガは8bit CPUマシンである、ファミコン、PC-Engineに対し、当時
高級パソコンにしか搭載されていなかった16bitマシンを投入する。
当時の16bitパソコンと言えば、ビジネスパソコンの代名詞だった、PC-9801シリ
ーズあたりで、価格は1台3、40万円。
しかも、メガドライブが載せたのは、モトローラ社の68000系CPUで、こちらは、
MacintoshやX68000などに搭載されていた高級CPUである。
さらに、当時の8BitクラスのパソコンがメインCPUとして使っていた、Z80という
CPUは「音源制御の為だけに搭載する」という凄まじいほどの贅沢な設計になっ
ている。

 恐らく、セガが最初に「勝負をかけた」のはメガドライブ発売時ではないかと
思う。そして、少なくともハード面では圧倒的に他のハードを引き離していた。


 ・・・が、しかし、おいらにはメガドライブに関して良い思い出がない。
おいらがメガドライブを購入したのは、発売と同時でスペースハリアー2とサ
ンダーブレードも一緒に買った。
確かに、メガドライブのスペースハリアー2は絵も綺麗でキャラも大きかった
が、おいらに言わせれば、PC-Engine用にNECから発売されたスペースハリアー
の方がずっと面白かった。

 上手くいえないが、メガドライブのゲームは「なんか重い」のである。
その為、シューティングゲームでもあまり爽快感が味わえず、メガドライブの
初期ソフトの中で最もやり込んだゲームは悲しい哉、「おそ松くん」である。
悲しいが、初期のソフトの中ではあれが一番楽しかったので泣きながら楽しん
だ記憶がある。

 メガドライブは現在でも愛好家が数多くいるように、実はこの後かなり面白
いタイトルを数多くリリースしたらしいのだが、おいらはそこまでついて行け
なかった。
おそ松くんだけでは限界があったし、初のRPGとして発売され期待して買っ
たファンタシースター2の縮尺を間違えたとしか思えない、無意味に広いダン
ジョンや、大味な難易度設定、そして、「親しくなったので私に名前を付けて」
とパーティキャラに言われ、たっぷり10分考えてやっと名前を入力した挙げ
句に「わたしは かぜのシルカ なにものにもしばられない」と言われて却下
された時は、ちょっぴり意識が遠のいた。
そんなわけでスーパー大戦略が発売されるまではおいらは泣き暮らしていたの
だ。

 メガドライブ版のスーパー大戦略はパソコン版を凌ぐ最高傑作だと思う。
メガドライブならではの美しいグラフィックスによる戦闘シーン、そして何よ
りも家庭用ゲーム機に移植されたにもかかわらずマップコントラクション機能
までついていたことで、おいらはPC-88SR版からメガドライブ版へと乗り換えて
かなり長い間遊んでいた。

 そして大戦略にも飽きた頃・・・スーパーファミコンが発売され、メガドラ
イブとは「性格の不一致」を理由に家庭内別居という事になり、セガ・サター
ン発売まで、セガのハードに再会することはなかった。

 しかし、おいらと別居した後もセガはメガドライブに次々と新ハードや周辺
機器を投入し、頑張っていたらしい。

 何といっても、PC-Engineと同じように、メガドライブにも専用CD-ROMユニ
ットが発売されている。
その名も「MEGA CD」PC-Engine CD-ROM2との最大の違いは、CD-ROMに
もCPUが搭載されている、という事である。
しかも、クロック数はメガドライブ本体よりも高く、つまり本体よりも優秀な
CPUが搭載された周辺機器、なのである。
それならば、本体はいらないではないか、という気がしないでもないが。

 残念ながら、おいらはMEGA CDを手にする機会がなかった為、MEGA CDのゲー
ムで遊んだことはないが、ショップなどでデモを見る限りは性能的には、やは
り、PC-Engine CD-ROM2よりも「上」であり、羨ましく思っていた。

 そしてセガ独自の展開を見せたのが、セガ・ネット構想である。
パソコン通信を利用してゲームを配信したり、対戦プレイができる、という事
を売りにゲーム機としてはいち早くモデムを発売している。

 そして、セガサターンが発売された後で、SUPER 32Xという強化ユニットも
発売される、これは、メガドライブに装着することよりに、メガドライブが
高性能32bitゲーム機になるという驚異の周辺機器で、こちらには、セガ・サ
ターンと同じCPUが内蔵されていた。
専用ゲームとして、バーチャファイター等がリリースされたらしいが、メガ
ドライブでバーチャファイターが動くというのはそれだけでも見る価値があ
るのではないか、という気がする。


 しかし、セガが「勝負をかけた」メガドライブというハードはセールス面
で充分な成果をあげたとは言えなかった。
確かに、メガドライブはその発売時、非常に優秀なハードだったが、任天堂
がスーパーファミコンをリリースした時にハードの優位性は失われてしまう
ことになる。
大容量のMEGA CDで対抗しようにも、有力サードパーティを数多く抱える任
天堂の牙城は揺るがず、その野望はセガ・サターンへと引き継がれることと
なる。



AXL 2001

HOME