レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

SEGA MARK III,MASTER SYSTEM
      〜セガ、第三の男〜

Maker :セガ
発売日:1985年10月(MARK III)
       1987年10月(MASTER SYSTEM)
種 別:ROMカートリッジ式家庭用ゲーム機
価 格:1万5000円(MARK III)
       1万6800円(MASTER SYSTEM)


 セガがファミコンに対抗する為にリリースしたSG-1000IIに続く文字通り第
三のゲーム機。
性能的には初代機、SG-1000と同等だった2から大幅なグレードアップをはかり
グラフィック面などを強化、ついにファミコンのそれを上回る表現力を手に入
れている。
このマシンをせめて1年早く市場に投入することが出きれば、或いは後にセガ
と任天堂が歩む道は逆転していたかもしれなが、1984年暮からナムコなどの有
力サードパーティ参入により画期づいたファミコン市場に、20世紀最大のヒッ
トゲーム「スーパーマリオブラザーズ」が投入されたのは、SEGA MARKIIIの発
売と同時期のことだった。

 任天堂が意識しているのかしていないのか、とにかく任天堂の同時発売にい
つもワリを食わされるセガだったが、SEGA MARKIIIというのはその性能の高さ
があまり報われなかったという意味で、可哀想なハードだと思う。

 ファミコンが発売された1983年当時には、ファミコンゲームとそれほど遜色
の無かったアーケードゲームのグラフィックも85年暮には、明かに別物と分か
るほどそのクォリティは上昇しており、人気アーケードゲームの100%移植はフ
ァミコンではもはや不可能になっていた。

 それだけにPC-Engine登場時ではないにしろ、SEGA MARKIIIの登場はおいら
にとってインパクトのある出来事だった。
とはいえ、おいらは結局このハードを買うことはなかったし、残念なことに友
人の中にもこのハードの所有者はいなかった。
スーパーマリオの登場で決定的になったファミコンブームに、翌年はディスク
システムの登場と、ファミコンブームは一つの頂点に到達しようとしていたか
らである。

 いくらハード性能が魅力的とはいってもソフトのラインナップの面でセガは
やはり弱かった。
ファミコンではセガのアーケードゲームは発売されにくかったが、逆に言えば
セガのゲーム以外は全てファミコンで楽しめたのだ。

 ちなみにSG-1000IIの頃に、マイカードによる付加価値というよく分からない
販売戦略を見せたセガはMARKIIIでは、全てのROMカートリッジとその箱を金色
に塗る、というこれまたよく分からない販売戦略を打ち出している。
それにより、MARKIIIソフトの高級感を高め、MARK3の性能の優位性を印象づけ
たかったのかもしれないが、どうも苦し紛れの感は否めない。

 ちなみに、おいらがMARKIII専用ソフトで最も憧れたソフトはやはり、「北
斗の拳」である、ファミコンにも同名の別ゲームはあったが、クォリティの面
で大きな開きがあり、特にファミコン版の「倒した敵が出す「あべし」を集め
てパワーアップ」という、ファンを根本的にバカにしたようなシステムと、思
わず息を呑むほど「クソゲー・フェロモン」を発散しているしょぼいゲーム画
面など、良い印象のないファミコン版に対し、MARK3版の北斗の拳は、原作を
忠実に再現した良質のゲームで、一瞬、このゲームだけの為にMARK3購入を考
えたこともあった。


 さて、MARKIIIの登場からちょうど2年後の1987年10月、セガにとっては四
台目のマシンに当たる、MASTER SYSTEMがリリースされる。
性能そのものは、MARKIIIと同等だが、FM9重和音、コントローラーには連射
機能を標準装備し、バーチャルボーイの先駆けのような3Dシステムアダプ
ターまで搭載したものが、MASTER SYSTEMである。
ちなみに、MARK3用にも上記のパワーアップキットが発売され、別売りになる
がMASTER SYSTEMと同等の性能にすることは可能だったらしい。

 1987年10月というとほぼ、PC-Engineの発売と重なっているだけに、MASTER
SYSTEMのリリース自体がPC-Engineの存在を意識したものだったかもしれない
が、だとするならば性能面でMARK3と変わらないMASTER SYSTEMはやはり、中途
半端なマシンになってしまう。
セガはMASTER SYSTEM発売から約1年後にメガドライブを発売している為、ど
うしても、MASTER SYSTEMには場繋ぎ的な印象が強い。

 ちなみに、SG-1000からMASTER SYSTEMまでは日本のゲーム機としては珍しく
互換性が約束されており、多少色が変わるなどの問題はあったがMASTER SYSTEM
でも、SC-1000用のゲームが動くようになっていた。

 メガドライブ以降のセガのハードにはソフトの互換性は無くなっている。
これがセガがより「メジャー」になる為に旧来のファンとの融和よりも新規ユ
ーザー層の獲得を目指したからではないか?とおいらは勝手に思っているが、
そうだとするならば、MASTER SYSTEMは、セガファンにとって最後の「良い時代
のマシン」だったのかもしれない。

(2003.12.19追記)

 完全ではありませんが、この後に出たメガドライブにもメガアダプタという
下位互換用周辺機器があり、MARKIII用のソフトを動作させることは可能でし
た。ただし、MASTER SYSTEMのFM音源には対応せず、SGシリーズ用ソフトにも
非対応(画面が表示されないだけで動作そのもはするようですが)となってお
ります。情報を提供してくださったなごやんさんに感謝いたします(^_^)



AXL 2001

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