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WWF SUPER STARS

Media :アーケード
Maker :テクノスジャパン
種 別:プロレスゲーム
発売日:1990年


 アメリカ最大のプロレス団体WWF(現在はWWE)のオフィシャル・プロレスゲ
ーム。
ハルク・ホーガンを筆頭に、マッチョマン・ランディ・サベージ、アルティメ
ットウォリアーなど80年代を代表するアメリカンプロレスのスーパースターを
はじめ、悪徳看守ビッグ・ボスマン、ホンキートンクマン、ハクソー・ジムド
ゥガンの合計6人の選手の中から好きな選手を二人選んでタッグチームを作り
試合に勝ち抜いてボスキャラである、アンドレ・ザ・ジャイアント&テッド・
デビアス(メガバッグス)に挑戦する、という内容となっている。

 おいらがはじめてこのゲームを目にしたのは、高校生の頃。
たまたま入ったゲームセンターに新しいプロレスゲームが置いてあるのを見つ
けて興味津々で覗き込んだのが、このゲームとの出会いだったが、その時のお
いらにとってこのゲームは実に異様なプロレスゲームに映った。

 登場選手の内、おいらが満足に知っていたレスラーはハルク・ホーガンと、
ボスキャラとしてのみ登場するアンドレ・ザ・ジャイアント、テッド・デビア
スの3人だけで、あとのレスラーはそれこそ見たこともなければ聞いたことも
ないレスラーばかり。
しかも、ビッグボスマンというレスラーは、まるっきり刑務所の看守の制服を
着たままで試合をしているし、ホンキートンクマンに至っては単なるエルビス・
プレスリーのそっくりさんなのだ。

 また、プレイキャラとして選択できずボスキャラとしてのみ存在しているチ
ームも2m23cmの「大巨人」アンドレ・ザ・ジャイアントがいるのはいい
として、そのパートナーがテッド・デビアスになっているという点がいかにも
不自然に思えた。

 テッド・デビアスという人は、若い頃に次期NWAチャンピオン(当時のアメリ
カ最高峰のタイトル)と目されていた人で、洗練されたテクニックは持ってい
るものの、体も決して大きくはなかったし、どちらかというと地味目のレスラ
ーだったのだ。
ボスキャラにするなら、もうちょっとそれらしい人材がいそうなものだが、ど
うしてよりによって、デビアスなのか・・・そんな疑問を持つおいらにゲーム
筐体のインストカードはさらなる衝撃の真実をつきつけてきた。

「ミリオンダラーマン・テッド・デビアス、100万ドル男の異名を持つ金満
レスラー・・・」

 もう十年以上前なので、正確に何と書いてあったか、までは思い出せないが
要約するとこのようなことが書いてあり、そもそも「金持ちかどうか」という
こととプロレスはどこでどう繋がってくるのかが理解できないおいらにとって
は完全に分からないことだらけだったが、とにかくせっかくの新作プロレスゲ
ームということもあり、早速遊んでみることにした。


 ゲーム内容は当時のプロレスゲームとしてはごくごくオーソドックスなもの
で、CPU操作キャラに限り各キャラクター固有のパフォーマンスを披露すること
はあるが、それ以外の点ではパンチ、キック、組み技でダメージを与えていき、
相手の体力メーターがなくなったところでフォールすれば勝ち、という内容で、
何回か勝利すると、ボスであるアンドレ、デビアス組と戦うことが出来、これ
に勝利すると二周目に突入する。
二周目は防衛線と位置付けられており、これをクリアするとエンディングにな
ったと記憶しているのだが、何分古い記憶なので確かなことは分からない。

 日本ではあまり馴染みのないWWFのオフィシャルゲームであること、登場レ
スラーにイロモノ系が多いことなどから、このゲームもイロモノ的な印象を受
けるかもしれないが、プロレスゲームとしては非常によく出来ており、システ
ム的にはメーカーであるテクノスジャパンがこれ以前にアーケード用として発
売した「エキサイティングアワー」に非常に近い作りになっている。

 例えば、このゲームの場合、ゲーム開始登場は組みに行けば楽に技をかける
ことが出来るが、これは3回連続までが限界で4回目に組み技を狙うと必ず返
される仕様となっている。
その為、3回連続で組み技をかけてしまった場合は、小技のボディスラムを使
うか、もしくはロープ技などで一旦、カウントをクリアする必要があったり、
そもそもの画面の作りや、操作感などの面で両者には大きな共通性があるとお
いらは考えている。

 おいら自信、このゲームにどっぷりとハマってしまい後追いで、WWFのビデオ
をレンタルして分かったことだが、このゲームの舞台となったのは、1988年に
行われたサマースラムというイベントで、この時、メインイベントでハルク・
ホーガンがランディ・サベージと組み、メガパワーズというタッグチームを結
成。
ゲームの通り、アンドレ、デビアス組のメガバッグスと戦っている。

 当時のおいらはこのゲームやりたさに毎日のようにゲームセンターに通い詰
めたが残念ながら今日に至るまで家庭用への移植は行われていない。
尚、続編としては、同じくアーケード用の「WWF WRESTLE FEST」がある。



AXL 2003

〜っていうか、このゲームに出てくるレスラーは何者?、という人の為の〜
【登場レスラー解説】



ハルク・ホーガン

 20世紀のアメリカンプロレスを代表するヒーロー。
 元々はロック青年だったが、プロレスに開眼。ヒロ松田門下となる。
 80年代前半は常連外人として度々日本に来日し、第一回IWGP決勝戦に於いて
 アントニオ猪木をアックスボンバーでKO、そのまま病院送りにして王座に着
 く。その後はWWF最大最強のスーパースターとして君臨、アンドレ、サベージ、
 アルティメットウォリアー、カナディアン・アースクェイク、ヨコヅナら並
 入る強豪レスラーを撃破していく。
 90年代になり突如ライバル団体のWCWに移籍にまさかのヒール転向、nWoを結
 成。WCW破綻後は、WWEに復帰して再度ベビーフェイスへ。
 日本での必殺技はアックスボンバーだったが、アメリカではギロチンドロッ
 プを必殺技にしており、ゲームでもこちらが採用されている。


マッチョマン・ランディ・サベージ

 当時のホーガンにとっての最大のライバルであると共にタッグチーム・パー
 トナーでもあったレスラー。
 必殺技はトップロープからのダイビング・エルボードロップが、相手をロー
 プに振ってからのランニングネックブリーカードロップもかなり見栄えが良
 い。

アルティメット・ウォリアー

 完全無欠のバトルサイボーグ。ロードウォリアーズのようなペインティング
 が目印で後にシングルでホーガンを破りWWF王座を射止めるが、その後一時、
 リングから姿を消し、数ヵ月後、電撃的に復活。
 さらにその後再び姿を消し、そのまた数年後にWCWマットで電撃的に復活。
 その直後にまたまた姿を消して今に至る。
 多分、そのうち電撃的に復活すると思われる。
 必殺技はリフトアップスラム。
 実際の試合ではリフトアップスラムの後、自らロープに飛んで相手の背中に
 ボディプレス、さらに裏を返してピンフォール、という一連の動きをまとめ
 て「アルティメットクラッシュ」という名で呼び、絶対のピンフォール率を
 誇っていた。
 ただし、レッスルマニア7のサベージ戦でこの必勝パターンで初めてフォー
 ルに失敗、やおら天を仰ぎ、天に向って"Why?"と問い掛けた後、試合中にも
 関わらず悲しくなって勝手に控え室に帰ろうとするなど、公私を問わない不
 思議ちゃんであった。

  レスラーとしてはかなり「下手」で特に日本での評判はかなり悪いおヒト
 なのだが、「ヒーロー」としての格好良さと説得力は超一流。
 個人的にはハルク・ホーガンに次いで大好きなプロレスラーの一人だったり
 する。プロレスというのは正義のヒーローが登場した時に子供のファンが狂
 喜するくらいカッコよくなければいけない、といういささか偏った主義を持
 つおいらにとってはプロレス史に残る最強のヒーロー。

  尚、来日経験は90年の日米レスリングサミット(対デビアス戦)と91年の
 レッスルフェスト(戦サージェント・スローター戦)の二回だがWWF入り前の
 87年の夏に旧名ディンゴ・ウォリアーとして新日本プロレスに来日予定があ
 り、興行宣伝のポスターにまで顔写真が出ていたが、彼が来日したという記
 録は残っていない。直前でキャンセルになったのかもしれないが、当時の新
 日には猪木や藤波だけでなく前田日明や藤原組長までいたので、来日してい
 れば夢のカードが目白押しだっただけにつくづく悔やまれる。

ビッグ・ボスマン

 元刑務所の看守というキャラクターで、試合中も看守の制服のまま戦う。
 いわゆる巨漢レスラー体型だが、その割にはフットワークが軽快なのが特徴。
 必殺技は、ロープに振った相手を自分の体重をかけてマットに叩き潰すスクラ
 ップバスターだが、ロープに振る手間がある為、ゲームではボディプレスの方
 が使える。

ハクソー・ジムドゥガン

 ブルーカラー(労働者)のヒーロー、というコンセプトのレスラー。
 どういうわけか2x4の角材をいつも抱えている、愛すべき親父。
 必殺技は失念。

ホンキートンクマン

 基本的にエルビス・プレスリーのそっくりさん。
 応用的にもエルビス・プレスリーのそっくりさん。
 WWFマットではレコードまで出していたらしいが、レスラーとしてはアルテ
 ィメット・ウォリアーに1分間でピンフォール負けとしたりとあまり語るべ
 き点がない。
 必殺技はネックブリーカードロップ・・・だったような気がする。



アンドレ・ザ・ジャイアント

 身長2m23cm、体重230kgの大巨人。
 87年のレッスルマニア3から88年のサマースラムまでホーガンと死闘を繰り
 広げていた。日本ではその強さは伝説的だが、89年以降はアルティメットウ
 ォリアーの負け役に転落した後、91年頃ベビーフェースに復帰。
 この頃のアンドレは年齢の為か精細を欠き、見ていて気の毒な感じがした。
 1993年に心不全の為逝去。
 尚、ゲームではアンドレのみサイズが違う為、基本的な組技はかけられない。
 対処方としてはロープに振ってショルダースルーか、パンチ、キック等の単
 発攻撃で対処しなければならない。
 また、正面から向っていくとチョップやキックで跳ね飛ばされる可能性が大
 きいので、上下移動で軸合わせをするのがコツ。

ミリオンダラーマン・テッド・デビアス

 次期NWA世界王者候補として将来を嘱望されたテクニシャン。
 日本ではスタン・ハンセンのパートナーとしても有名だがWWFでは、ミリオ
 ンダラーマン(億万長者)というギミック付き。
 ゲームのモデルになったサマースラム(88年)ではレフェリーを務めたジェシ
 ー・ベンチェラを札束で買収していた。
 必殺技はミリオンダラードリーム(コブラクラッチ)


おまけ ファーストレディ・エリザベス(クリア時に出てくる女性)

 マッチョマン・ランディ・サベージの当時のマネージャーにして実生活
 に於ける元妻(当時から既に離婚済だった。)
 元々サベージはヒール(悪役)で、マネージャーのエリザベスに理不尽
 な反則の片棒を担がせることをを要求する横暴男と止む無くそれに従う
 可憐な女性マネージャーという図式があったが、ゲームの舞台となった
 サマースラムの数ヶ月前にサベージがベビーフェイス転向、ホーガンと
 の合体があり、以降マネージャーはホーガン、サベージのメガパワーズ
 のマネージャーとなる。
 ゲームの舞台となったサマースラムでは、試合終盤唐突にミニスカート
 を取り、アンドレ、デビアス、レフェリーの三人が呆然としているとこ
 ろをホーガンが3カウント奪うというもはや何がなんだか分からない形
 で勝利に貢献している。
 ところがその後、ホーガンとエリザベスの関係に疑念を抱いたサベージ
 が一方的にコンビを解消した為、エリザベスはホーガンの個人マネージ
 ャーとなり、それ以降、エリザベスに未練タラタラの悪役サベージvs
 正義のマネージャー、エリザベスの対立の図式が深まっていく。
 最終的には、91年のレッスルマニア7でサベージが敗者引退を賭けた試
 合でアルティメットウォリアーに敗れた際、当時のマネージャー、シェ
 リー・マーテルに見切りをつけられたのを機会に復縁。
 ファンから拍手喝采を浴び、サベージも再度ベビーフェイスに復帰する
 こととなった。(敗者引退の件は勿論うやむやになったが何故かこの後、
 勝った方のアルティメットウォリアーが数ヶ月間WWFマットから姿を消す)


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