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Sega GT

Media :DreamCast
Maker :SEGA
種 別:3Dドライビングシミュレーター
発売日:2000年


 セガ版グランツーリスモ。
そういってしまうと身も蓋もないのだが、"Sega GT"というタイトルからは確信
犯の匂いも漂ってくる。
おいらがこのゲームを購入したのは、2002年のことだが、実はこの時まではお
いらは一度もグランツーリスモというゲームをやったことがなかった。
グランツーリスモが発売されたばかりの頃に購入した友人宅で少しだけ触らせ
てもらったことはあったのだが、元々車にはあまり縁のない人生を歩んできた
上、指先も決して器用ではないので、微妙なブレーキングや車のセッティング
といったことはまるっきりちんぷんかんぷんで、グランツーリスモというゲー
ム自体にあまり興味をもてずにいた。

 そんなおいらが衝動買いとはいえSega GTを購入した理由は、プレイヤーオリ
ジナルの車が開発設定できる"Sega GT"独自のカロッツェリア(自動車工房)モ
ードの存在がひとつ。
そしてもうひとつは、中古価格380円という、「どう転んでも大丈夫!」と
いう果てしない安心感故だった。


 そんなわけで、グランツーリスモというゲームを知らないまま、"Sega GT"を
プレイするという、なかなかに珍しい体験してしまったおいらだが、まず最初
に驚いたのは、その難しさだった。
勿論、この時点ではグランツーリスモは未体験なので、決してグランツーリス
モと比べてSega GTが難しい、というわけではない。
おいらがそれ迄に体験してきた幾多のレースゲーム・・・例えばリッジレーサ
ーだとかマリオカートだとか、Zero4Champと比べて難しい、と思ったのだ。

 "Sega GT"にはグランツーリスモ同様、ライセンス制度が取られており、この
ライセンスを取得しないことには賞金を稼ぐ為のレースに出場することすらで
きない。
また、ライセンスもひとつではなく、E,B.A.SAの四つの階級に分かれており、
全てのレースに出場する為にはSA級ライセンスを取得する必要がある。
さらに、それぞれのライセンスを取得する為にはいくつものテストに全て合格
しなければならない(テストごとにやり直しは可能)のだから道のりは遠い。

 そして、おいらはこれらのテストのあまりの難しさに序盤から涙目になって
しまった。
おいらの辞書によればレースゲームなどというものは、よっぽど高次のステー
ジに進まない限りにおいては「1回くらいぶつかっても全然OK」なものであ
り、高次なステージであっても、「ぶつからなければどう走ってもOK」なも
なのにも関わらず、このゲームの場合一番簡単なE級ライセンスであっても、一
度でもぶつかったら合格は不可能になってしまうし、たとえぶつからなくとも、
ちゃんとコース取りをして最速でカーブをクリアしないと合格できない、とい
うようなよくないステージが目白押しなのだ。


 たかが380円。
難しいゲームはとりあえずパス、を信条とするおいらは普通ならこの時点で放
り出してしまった筈だが、実はこのゲームでおいらが最も楽しみにしていたカ
ロッツェリアモードというのは一定以上のライセンスを取得していないと利用
することが出来ないようになっており、つまりはここで投げ出してしまうと本
当に何の為に買ったのか分からなくなってしまう、という台所事情があった。
そのようなわけで、無理と知りつつもゲームを続けていく内に意外なことに少
しづつ自分の腕が上達してくるのを実感できるようになった。
昨日までは絶対に合格不可能だと思われたテストを難なくクリアできるように
なり、新しいライセンスを取得する。

 そのライセンスでレースに出場し、賞金を稼いでより高性能な車を購入し、
チューンナップを施す。
現状でそれ以上いい車が手に入らなくなると、またライセンスモードに戻って
より高位のライセンスを目指して腕を磨く。
ゲームで過ごした時間が長くなればなるほど、いかにライセンス取得が難関で
あったとしても途中で辞めることが惜しくなり、粘り続ける。


 そんなことを繰り返す内に嘘のような話だが、本当に全てのライセンスを取
得することに成功してしまった。
慣れてしまえば、コースごとに車のセッティングを微調整するのも苦ではなく
なり、連続するヘアピンカーブですらも楽に曲がれてしまう。
インベーダーゲームと出会ってから実に25年。
数々のゲームと戯れてきたおいらだが、実は、この"Sega GT"と出会う迄の間は
「ゲームは練習すれば上達する」というのはウソだ!と思っていた。
というか、おいらに限っては現実にウソだったのだ。
しかし、おいらでもやれば出来るのだ・・・という、本来は小学校低学年あた
りで学んでおくべき教訓を残して"Sega GT"はおいらの前を疾走していった。


 以来、気をよくしたおいらはPS2版のグランツーリスモ3、PS版の初代グラン
ツーリスモなども積極的に購入していったのだが、こちらはいまだに国際A級の
ライセンスが取れないままだ。



AXL 2003

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