レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

No・Ri・Ko


Media :PC-Engine CD-ROM2
Maker :HUDSON
発売日:1988年
種 別:アイドル環境ソフト(?)


 日本初、いや、世界初(?)のCD-ROM媒体による家庭用ゲームソフトである。
このような書き方をすると、とてつもなく凄いもののような気がするが、同時
発売の姉妹タイトルは「ビックリマン大辞典」だったりする。

 このソフトを説明する前に、簡単にメディアであるPC-Engine CD-ROM2のこと
を説明しておこう、NECの家庭用ゲーム機、PC-Engine専用のCD-ROMユニットとし
て発売されたのものだが、当時、テレビゲームは愚か、高価なビジネス用パソコ
ンにもCD-ROMドライブは装備されておらず、パソコン用CD-ROMドライブの定価は
何と20万円以上もしていたのだ。(勿論、パソコン本体とは別売りである)

 そんな時代にCD-ROMというメディアが持つ大容量に着目し、5万6千円程度で(
PC-Engine本体は別売り)ゲーム機用のCD-ROMドライブを発売したのがNECである。
PC-Engine本体と込みで購入すると8万円以上にとなってしまう為、テレビゲーム
機として考えると非常に高価なものだが、後にテレビゲーム界だけでなくマルチ
メディアコンピュータ世代のパソコンから標準装備されるようになったCD-ROMド
ライブを始めて一般向けの価格で販売したという意味はとてつもなく大きい。


 元々ROMカードマシンだったPC-EngineがCD-ROMマシンになることとの利点は大
きく分けて3つ。
一つ目は、640Mバイトの大容量による長大なゲームが楽しめる、ということ。
当時の標準的ROMカード(2Mbit)と比較するとその容量たるや実に2000倍にもなる。
次に、CDをメディアに使うことにより、音声や音楽がデジタル録音されたものを
そのまま使える、という利点。
最後に、グラフィックのクォリティが格段にアップする、ということ。
当時のおいらは、CD-ROMユニットがグラフィックボードを積んでいるわけでも
ないのに何故絵が綺麗になるのかまるで理解できなかったが、これは、CD-ROM
2のシステムカード上に増設RAMを置くことで、より大きなグラフィックデータ
が扱える、ということと、総容量そのものが大きくなったことで気軽に大容量
の一枚絵やアニメーションを利用することができるようになった為である。


 さて、前置きが果てしなく長くなってしまったが、そんな驚天動地のCD-ROM2
ユニットと本体同時発売でリリースされたのが本作「No・Ri・Ko」である。
さて肝心の内容を・・・と思ったが、その前に本作にヒロインである「小川範子」
のことを説明しておいた方がいいような気がしてきたので簡単に説明しておこ
う。

 小川範子は当時のマイナーアイドルで、アイドルというからには歌も出して
たわけだが、彼女のヒット曲とされる「涙をたばねて」だとか「こわれる」や
「夏色の天使」がどの程度世間で通用していたのかは微妙なところだったりも
する。

 そんなわけで、一番分かり易い言い方でいうなら藤田まこと主演の「はぐれ
刑事純情派」に安浦刑事(藤田)の次女リカ役で出演しているのが彼女なわけ
であり、約10年前の放映開始当初は中学生もしくは高校生という役どころだ
ったが、それから10年以上も経ってしまい、今の設定年齢はおいらにもよく
分からなかったりする。
 と、いうか、藤田まことが必殺をやらないのは、本人がいたく「はぐれ刑事」
を気にいっているせいだという説があるが、おいら的には一刻も早くあのドラ
マを終わらせて必殺を再開して欲しいものだ、とこの10年ずっと思っている
わけで、藤田まことや菅井きんあたりはいいかもしれないが、おいらの好きな
筆頭同心田中様(山内としお)あたりになると、必殺があるのとないのでは、
経済生活に大きな違いがあるのではないか、というお節介な心配までしている
わけである。


 さて、そんなメジャーマイナー(?)なアイドル、小川範子をヒロインとし
た日本初のアイドルソフト(?)が本作である。
内容は、偶然小川範子の定期券を拾ったことが縁となり、一日だけ小川範子と
デートができる、という、なんとも80年代的躁状態なストーリーとなっている。

 ゲームとはいっても、いわゆるゲーム的な要素は希薄で、なんとなく90年代
初頭のマルチメディア景気に踊らされた、スカ屁インタラクティブゲームの魁
的な内容となっている。
要はデート先を選択したり、ブティックで好きな服に小川範子を着替えさせた
り(!)、写真をとったり、彼女のコンサートで歌を聴いたり、で大体1ゲー
ム30分で終わり、殆ど分岐もマルチエンディングも存在しないので、環境ソ
フトというより他に形容の仕様がない。

 ただ、最初に入力したプレイヤーの名前を最後のシーンで小川範子が「呼ん
でくれる」という、ときめきメモリアル2を10年先取りした演出があるが、
勿論、「アクセント」という要素は存在せず、そのアクセントは、初期の読み
上げソフトよりも無理がある。

 しかし、それにしてもときめきメモリアル2の最大のウリが「名前を呼んで
くれる」ことだと聞いた時は正直眩暈がしてしまった覚えがある。
どうも、えっちシーンのないギャルゲーというのは不健康でいけないような気
がするのだが、そんなことはどうでもいいのだ。


 で、つまり、このゲームはゲームとして面白いとかつまらないとかそういう
次元にあるものではなく、どちらかというとCD-ROM2のデモンストレーション的
な意味合いの強いソフトである。
ただ、それならばそれで当時のトップアイドルを使うのが定石だと思うのだが、
当時の小川範子というのは「ファン以外は誰も知らない」という物凄い存在だ
ったわけで、露出情報も極めて少なく、逆にいうとファンだった場合は絶対に
買わなければいけないソフトでもあった。

 しかし、「小川範子ファンに(本体ごと)全員買わせる」という戦略と、「
トップアイドルを使って世間的な話題を集める」という戦略のどちらが有効だ
ったのかはいまだに疑問である。

 そして、おいらは、完全に前者のヒトなわけで、つまりこのソフトを買う為
にCD-ROM2ユニットを買ってしまったクチである。
はっきりいって、「天外魔境」が出るまでは何もやるものがなかったが、それ
でも当時のおいらは幸せだった。
今だと、はっきりいって、田中麗奈の方が好きだが、それでも当時のおいらは
幸せだった。


 そもそも小川範子といえば、TBS系の長渕剛の「家族ゲーム」シリーズの後釜
番組として制作された、「気まぐれ白書」としてデビューしたわけで、主演は一
応志穂美悦子ということにってはいたが、おいらはやっぱり音さん(伊藤四郎)
の方が好きだったわけで、1本だけで制作されたシリーズ番組「気まぐれ天使」
のヒロイン役の高橋かおりも好きだったが、三田村邦彦と不倫しやがるし、その
挙句に阿波踊りをして誤魔化すたぁ、何を考えてるんだ、簪屋め・・・と、以上、
「おいら的あの頃ゲーム」でした(^^:;



AXL 2001

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