レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

FMW


Media:スーパーファミコン
Maker:
種 別:格闘ゲーム
発売日:


 ストリートファイター2のヒット以降、「格闘ゲーム寄りのプロレスゲーム」
というものがいくつか登場し、古くからのプロレスゲームファンを悲しませて
いる。
プロレスゲーム本流からいえば、勝負は、3カウントもしくはギブアップ、ま
たは場外リングアウト、出来ればこれに反則裁定を加えたもので決まるはずだ
が、「格闘ゲーム寄りのプロレスゲーム」というのは、これらの要素が存在せ
ず、単にどちらかの体力ゲージが0になった瞬間に勝負が決まる。
 ひどいものになるとタイムアウトになった際に、残り体力ゲージの高い方が
勝ちとなる。
そして、試合は問答無用で3本勝負ということになっている。

 おいらの知る限り、プロレスゲームを名乗りながら格闘ゲームに汚染された
「転びバテレン」的なゲームの代表格は、WWFオフィシャルゲームを多く作って
いるアクレイム、そして、このFMWである。


 このゲームは「単なるプロレスゲームに留まらず、大和魂や気合などの新機
軸を盛り込んだ新世代プロレスゲーム」というコピーがつけられていたが、言
っている意味がまるでわからない。

 実際にプレイしてみると、まず、主人公キャラを「大仁田厚」、「ターザン
後藤」、「サンボ浅子」、そして「リッキー・フジ」の4人の中から選ぶこと
が出来るか、何よりも「選びようが無い」という点が素晴らしい。

 大仁田はともかくとしても、他の3人に至っては、「健康で文化的な生活を
している人間は絶対に知るはずがない」ほどにマイナーなのだ。
そして、例えおいらのように、「サンボ浅子っていや、「あ〜〜!!」だよね!」
だとか、「リッキーって、元々新日でしょ? ライガーの後輩だっけ? 第一回
のスーパーJの時のライガー戦は泣けたよね!」というような人生に於いて全
く役に立たない知識を抱え込んでいる者からしても、この4人では大仁田くら
いしか選ぶ気がしない。

 FMWならせめてハヤブサでも入っていれば・・・と思うのだが、時代がそれを
許さないのだ。


 とにかくここでキャラを選んぶといよいよ第一回戦が始まる。
土俵型のリング・・・ではなく、「完全な土俵」を舞台に西洋人的「オリエンタ
ル・ジャパン」な世界観の背景、そして相手は「スモウ・レスラー」。
そして、土俵の外に投げ出されると、地雷が爆発する。
攻撃はパンチ・キック・ジャンプキックといった基本技の他に組み合った状態で
の連打で組み技(大仁田の場合、バックドロップ、DDO、サンダーファイアー
パワーボム)を繰り出すことが出来る。
ただし、画面上に「心」「技」「体」というメーターがあり、組み技の威力によ
ってこのメーターを消費する、メーターは時間と共に回復していくが、必要なメ
ーターまで揃っていないとその技を使うことが出来ない。
これが「新機軸」のひとつ目である。

 3本中2本を先取すると、クリア画面になり、「爆裂!技度数」というもので
戦いぶりが評価される、「気合」「根性」「大和魂」という3つの視点(?)か
ら評価してくれるが、この意味がまるでわからない。

 「爆裂!技度数」という名前から推測するにその試合中、どれだけ技を使った
か、ということだと思うのだが、ここが高かったからといって次のステージ以降
何がどうなるというものでもなく、単なる「大きなお世話」に終始している。


 ちなみに最終ステージまで勝ち進むと、最終ステージのひとつ前で撃破した敵
のボス、シャドウの正体と戦うことができる。
実はこの「シャドウ」の正体は、大仁田自身である。
ここがまた悩ましいところで、このゲームの主人公が例えば、武藤敬司で、最後
が武藤vsグレート・ムタあたりなら、それはそれで心ときめくシチュエーショ
ンなのだが、大仁田だとやっぱり・・・。

 せめてグレート・ニタというわけにはいかなかったのか?
とも思うが、まあ、たとえニタが出てきても何がどうなるというわけでもなく、
ここは義務的に戦っておこう。


 さらにこのラスボスをクリアすることにより、モードに女子対戦が加わる。
これは、今までのモードを女子レスラーの工藤めぐみでプレイできる・・・とい
うわけではなく、「工藤めぐみを使って、コンバット豊田と対戦できる」だけで
ある。

 このモードは「1試合でエンディング」になり、さらに「組み技は一切使えず」
「ジャンプすらできなくなる」という親切設計である。

 さらにエンディングでは、(かなり痛々しい)「お姫様コスプレ姿」の工藤め
ぐみの実写画面となり、工藤めぐみが一部喋るが「どういうわけか明らかに吹き
替え」なあたりも涙を誘う。
多分、本人の声が低かったのだろう。



AXL 2001

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