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ときめきメモリアル

Media :PC-Engine SUPER CD-ROM2,PlayStation,SEGA SATURN,Super Famicom
Maker :KONAMI
種 別:恋愛シミュレーションゲーム
発売日:1994年


 ギャルゲー、恋愛ゲームと呼ばれるジャンルの元祖的存在。
実のところ、おいらはあまりこのジャンルのゲームをやっていないので、詳し
いことは分からないのだが、このゲームと、エルフがPC-98シリーズ用に発売し、
後に各コンシューマ機に移植されることになる「同級生」シリーズが現在の恋
愛ゲームの原型になっているのではないかと思っている。

 勿論、これらの作品の登場以前にも恋愛をテーマにしたゲームが存在しなか
ったわけではない。
たとえば、ENIXが1985年にPC88等で発売した"TokyoNAMPA STREET"はナンパを
題材としたいわゆるアダルトゲームだが、リアルタイムで交わす会話を通して
相手の女の子の感情が変化するあたりは恋愛ゲームといっても差し支えないも
のだったし、こちらは全年齢向けのアドベンチャーゲームだが、やはりパソコ
ン用で「神戸純愛物語」という作品も存在している。

 しかし、やはりゲームの世界で「恋愛」を主軸に据えたものは今にして思え
ば意外なほど少なく、パソコンゲームでは主にアダルトゲームとして、コンシ
ューマーでは、女の子がプレイキャラとなるギャルゲーがほとんどで、恋愛そ
のものをメインテーマとしたジャンルが確立されるのは、本作や「同級生」発
売以降のこととなる。


 それでは、本作の内容を紹介しよう。
プレイヤーは男子高校生となり、入学から卒業までの三年間を過ごし、その間
に何人ものヒロイン達と出会い、デートを重ね、卒業時に意中の女の子から告
白して貰うことが最終目標となる。

 また、実際のゲームの進め方は、育成ゲームで採用されているスケジュール
方式で、あらかじめ一週間分のスケジュールを先に入力しておき、その行動に
よってプレイキャラクターの能力が変化するという手法を取っている。

 実はプレイキャラクター自身にパラメータが設定されている、という点がア
ドベンチャーゲームを基本とする同級生シリーズとの最大の違いで、たとえ意
中の女の子が目の前にいたとしても、彼女の気に入るようなパラメータの条件
(容姿、学力、運動能力等)をプレイキャラが持っていないと彼女に好意を持
ってもらうことができないのだ。

 好意を持って貰う為に必要となるパラメーターは当然のことながら各ヒロイ
ンごとに違いがあり、プレイヤーはあらかじめどのヒロインと恋愛するか、と
いうことを考えてプレイキャラクターの育成を行う必要がある。

 また、これらのパラメーターは単にヒロインと仲良くなる為にだけ存在して
いるわけではなく、テストの結果や運動会での成績やミニゲームにちゃんと反
映され、ゲームが単調化するのを防いでくれる。


 また、クライマックスとなる卒業時の告白シーンは、あくまでもプレイヤー
は受身であり、告白をしてくるかこないかは相手の女の子の好感度にかかって
いるところが特徴的である。
その為、自分が告白して欲しいと思っている女の子より、高感度の高い女の子
が存在する場合、プレイヤーの思惑に関係なく別の女の子が告白してくるとい
う番狂わせが発生することもある。
この点については後に移植されたサターン版のみ、プレイヤーの方から告白す
ることが可能になっているようだが、こちらは未プレイの為、具体的なことは
分からない。


 おいらがこのゲームをプレイしたのは、オリジナルのPC-Engine版ではなく、
PlayStation版の方だが、プレイ中どうしても納得のいかないことがひとつだ
けあった。
それは、ゲーム中に登場する女の子全員と一定期間内にデートをしなければな
らないことだ。
このゲームでは、本命の女の子でなくともあまり長い間放っておくと、彼女の
不満が爆発し、結果として主人公の悪い噂が女の子の間で流され、全ての女の
子の主人公に対する好感度が下がってしまう、というシステムがあるのだ。

 その不満を抑える為に本命以外の女の子とも、一定の期間内にデートをする
のだが、現実に置き換えてみると、本命の女の子にとっては「自分以外の女の
子とデートしないなんて許せない!」と怒っていることになり、実に不可思議
なシステムだと感じたのだ。

 ただ、ゲーム的に考えてみると、このシステムがなければ、プレイヤーは単
に目標とする一人の女の子とのデートを繰り返せば簡単にハッピーエンドを迎
えられることになり、これを人数分繰り返すのはかなり作業的になってしまう
ことも確かだ。

 こういった、ゲーム内に複数の女の子がいて、プレイヤーが好きな相手との
恋愛を楽しめるというシステムを持つ恋愛ゲームでは、これはひとつのジレン
マで、自由度がある反面、一人分のシナリオはゲーム中にプレイヤーが飽きず
にやり込めるほど多くはない為、どうしても繰り返しプレイが作業的になって
しまう、これを避けプレイ毎の緊張感を増す為の試みが上記のシステムだった
とおいらは考えているのだが、だとすれば元祖でありながら実によく考えられ
たシステムだといえよう。

 ちなみに、おいらは本作をプレイして以降、続編をプレイしておらず、その
後、このシリーズがどのような道を歩んでいったのか、という点について語る
ことはできない。
ただ、「ときめきメモリアル3」発売時に店頭ポスターでヒロイン達のイラス
トを見た時に全員が同じ顔をしているようにしか見えず、なんだか怖くなった
という実にどうでもいい思い出話があるのみである。



AXL 2005

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