| 「テーマパークワールド」 Media :Windows,Play Station Maker :Electronic Arts SQUARE/Bull Frog 種 別:遊園地経営シミュレーション 発売日:2000年 人なら誰でも恋に目覚める時期というものがある。 それとはあまり関係ないのだが、どういうわけかおいらには「遊園地を作りた くなる時期」というのが何年か一度必ずやってくるのだ。 思えば、遊園地を作るゲーム、として一時期日本でも人気が集まったテーマパ ークというゲームももう今から十年近く昔のゲームになってしまった。 このゲームはプレイヤーが遊園地のオーナーとなり、自分の好きなように遊園 地を作って利益をあげることを目的としたシミュレーションゲームである。 当時、おいらはこのゲームやりたさに3DOというゲーム機まで購入して徹夜で遊 びまくった。 その後しばらくテーマパークのことは忘れていたが、それから数年経った199 7年、ふとゲーム屋でセガサターン用の「新テーマパーク」なるソフトを見つけ て衝動買いした。 この時もかなり遊んだのだが、「新」という割には、期待していたほどの変化も なく、決して悪い作品ではなかったのだがせいぜい前作をやり込んでいたおいら にとっては少々欲求不満な作品となってしまった。 それでも、その時はひとまず「遊園地が作りたい」という欲求は満たされた ので、またしばらくの間テーマパークというものの存在を忘れたまま人生を歩 んできたのだが、一見、「テーマパーク」とは何の関係も無さそうな「SIMPLE 2000シリーズVol.33 THE ジェットコースター 〜遊園地をつくろう！〜」と いう悩ましくも長ったらしいタイトルのゲームの発売を知ったことにより、約 ５年ぶりに「遊園地作りたい病」が再発してしまったのだ。 この「THE ジェットコースター」というゲームは表向き、自分の好きなよう にデザインしたコースでジェットコースターを走らせることが出来、しかもそ れに乗ることができてしまうという点が最大のウリのゲームなのだが、実はジ ェットコースターだけではなく、遊園地そのものを作ることの出来る経営モー ドもついているのだ。 してみるとこれはテーマパークではないか、その上SIMPLEシリーズというこ とで値段も手頃だし、久しぶりにこの手のゲームを買ってしまおう！と決意し てこの前の日曜日に購入してきたのだが、結論からいうとこの選択は間違って いたのだ。 いや、このソフトに非はないのだ。 2000円という価格を考えれば実によく出来ているし、ジェットコースターに関 してテーマパークシリーズよりも遥かににスピード感があり、無茶苦茶なコー スも簡単に作成することが出来る。 何よりもジェットコースターに焦点を絞、文句をいうこと自体が筋違いなのだ が、おいらはなまじこのゲームを買ってしまった為にその後のさらなる悲劇の 幕を自らの手で開けてしまったのだ。 どういうことかというと、このゲームはジェットコースターに関してはかな り凝ったものが作れるのだが、おいらが期待した遊園地の方はかなりあっさり 風味で、テーマパークシリーズではおなじみの開園と共に押し寄せてくるお客 さんの姿が一切ゲーム上で描かれないのだ。 テーマパークというゲームは自分で遊園地をデザインできる、という楽しさ もさることながら開園後、たくさんの人が自分の作った遊園地に訪れ実際に乗 り物に乗ったりショップで買い物としたりして、楽しいだとかつまんねーだと か、腹が減っただとかトイレはどこだ！といったような感想や苦情を言ってく れるところがまことに楽しいゲームなのだが、このTHE ジェットコースター氏 にはそれが一切ないのだ。 パークを開園後も画面を見る限りでは遊園地には誰もやって来ず、ただ計算 の結果として所持金だけが増えたり減ったりしていく、そんな何らかの恐怖新 聞のようなゲームなのだ。 そこで逆においらは欲求不満になり、再びゲーム屋に訪れた。 いつもながら大変長くなってしまったが、そこで見つけたのがこの「テーマ パークワールド」というソフトである。 家庭用ゲームで発売されたテーマパークシリーズとしては、新テーマパーク に続く第三弾で、最新作となるPS2用の「テーマパークワールド2001」のオリジ ナルとなった作品である。 このゲームとそれ迄のテーマパークシリーズとの最大の違いは、他のテーマ パークが総合的な遊園地を作ることを目的としているのに対し、４種類の別の 「テーマ」に則った遊園地を作ることが出来る、という点である。 東京ディズニーランドのファンタジーランドだとかウェスタンランドだとかが それぞれ独立した遊園地として存在している、と考えて頂ければ分かり易いか もしれない。 この特徴によって、今までは同じようなデザインになってしまいがちだった 自分の遊園地に多彩な差別化を計ることが出来る・・・という利点は確かにあ るのだが、それならばそれで、東京ディズニーランドのように一つの遊園地の 中にテーマの違うエリアを作らせてくれれば良さそうなものなのに、それぞれ が独立してしまうということは逆の言い方をすれば「偏った遊園地しか作るこ とができない」ということになってしまうのではないか？ 分かり易く言えば、このテーマパークワールドで作ることの出来る遊園地の中 にホラー系遊園地というのがあり、この遊園地では、全てのアトラクションか ら、トイレ、補導、ショップのデザインにいたるまで全てがホラー系のデザイ ンになっているのだが、現実にそういうものがあったとして、本当にそんな遊 園地でいいのか？という点は非常に疑問に感じるところである。 せめて、そういう遊園地も作れるけど、勿論ノーマルな遊園地も作れますよ、 ということであればあまり不満は感じないのだが、このゲームの問題点は「そ んな遊園地しか作れない」という点に集約されている。 しかも、このゲームでは４種類のテーマをもった遊園地がそれぞれ二種類の 用地が用意されており、ゲームを進めることによって入手できるゴールデンチ ケットなるものを使って新しい遊園地にチャレンジできるようになっているの だが、メモリーカードの記憶容量の関係で、３つ以上の遊園地を同時に作るこ とは出来ず、４つめを作る際には３つの内どれか一つを消さなくてはいけない のだ。 これまたＰＳのメモリーカード容量には限りがあるので致し方ない部分もある のだが、それならそれでせめて同時に作れる遊園地の数は４つにするのが筋と いうものである。 ４種類のテーマを提示しておきながら、どうしてわざわざ３つにしたのか、お いらには全く理解できない。 容量は５ブロックしか使っていないのに、だ。 そして、もっと悲しいのが肝心の「ゲーム出来」なのだ。 難易度は前作の新テーマパークよりも下がっている。 難易度が下がることは決して悪いことではないと思うのだが、どうもこのメー カーは難易度を下げる、ということと「面倒臭そうなことは省いてしまえ！」 ということを同列に考えているらしく、例えば、仕入れ業者との値段交渉やら、 従業員とのベースアップ交渉、さらには、園内での一方通行歩道などの面倒臭 そうなことの殆どを「消して」しまったのだ。 確かにそれらがなくなったことで難易度は下がったのだが同時に、ゲームの自 由度も大幅に下がってしまい、ゲームとしてもよっぽどヘンな経営をしない限 りはそこそこうまく行く代わりに、大胆なパーク作りはかなり難しくなってし まっている。 これらの点は主たる購買層であるライトユーザーの存在を考えれば企業判断 としてはまだ分からないことはないのだが、もっと驚いたのは、３Ｄ視点によ る園内散策のお粗末さで、歩いていればオブジェクトの間に挟まって出られな くなるは、アトラクションに乗れば殆どのアトラクションが全く動くことなく 本当に「ただ乗っただけ」になるなど、恐ろしいほどの手抜きぶりだったのだ。 そしてもう一つ閉口したのが、アドバイザーの存在で、テーマパークシリー ズは初代からリアルタイムにワンポイントのアドバイスをくれるアドバイザー がいるのだが、今作ではこのアドバイザーが喋るのだ。 これまた喋ること自体は決して悪いことではないのだが、メッセージは音声だ けで字幕が表示されない上に、このアドバイザー機能を切ることができないの が問題なのだ。 つまり、こ奴はセガカラに於ける自動採点機能の男の子のように終始喋り続 ける。あちらは字幕だが、こちらは音声なのでうるさいことこの上ない、。 しかもテーマパークシリーズの伝統としてある程度ゲームに慣れてしまうと殆 どの場合、このアドバイザーの助言は「ただうるさいだけ」であり、特に入場 料金に設定に関してはどういうわけかこのアドバイザーは「嘘をつく」為、敢 えて無視する必要があるなど非常に悩ましい存在なのだが、今作の場合テレビ の音声そのものを切る以外にこ奴のお喋りから逃れる術はない。 ただし、字幕が表示されないので、本当に音声を切ってしまうと「壊れそう なアトラクションがあるよ！」というおよそ５０回に一度あるかないか、とい う本当に重要な情報さえも聞くことが出来ないので、嫌々ながらもつけていな ければならない、という点も非常に腹立たしいものがあるのだ。 いつも思うことだが、テーマパーク第一作が日本で人気だった頃によく比較 されたシムシティシリーズと比べると、あちら様は２０００だの３０００だの と順調に進化を遂げているのに、テーマパークに関しては本当に続編が出れば 出るほどダメになっていくのだ。 結局おいらは、THE ジェットコースターを買ったことにより、テーマパーク ワールドを買ってしまい、テーマパークを買ったことにより、今更ながら新テ ーマパークを買いなおそうか、と悩んでしまう結果となってしまった。 AXL 2003 |