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「テーマパーク」

Media :IBM-PC,Macintosh,PC-9821,3DO,PS,SS,Super Famicom,Windows等
Maker :(販売)エレクトリックアーツ・ビクター(現、同スクウェア)
種 別:遊園地経営SLG
発売日:1993年(?)

 一言でいうと、遊園地版シムシティ。
与えられたお金を元にテーマパークを建設する経営SLGである。
なんとなく色々考え合わせるに、日本で最も売れた経営SLGというのは、
これではないかという気がする。

 内容は一言でいうなら、遊園地を作る、これだけだ。
しかし、実際には、まず世界にいくつかある候補国の中からテーマパークを建
設する場所選びから始まり、一通りパークを作り開園した後も新しいアトラク
ションの建設の為に予算を割き、さらに従業員の雇用、コーヒーショップの価
格までチェックするという非常に忙しいゲームなのだ。

 例によって個人的な話になって恐縮なのだが、おいらは子供の頃、遊園地の
おもちゃというものを持っていた。
これは、メリーゴーラウンド、コーヒーカップなどのアトラクションがバラで
売られており、それを集めることによって遊園地を作ることができる、という
ものだったが、当時のおいらはこのおもちゃを非常に気にいっていたのだが、
どういうわけか最後まで集めることができなかった為に、このゲームの存在を
聞いた時に胸がときめいた。

 他にも、スーパーロボット大戦にはコン・バトラーVが出演していて、合体
デモシーンもある!と聞いた時にも胸がときめたいが、これも子供の頃超合金
のコン・バトラーVを全て集めることができなかった、というような点に起因
しており、結構しつこい性格なのである。


 さて、このゲーム、登場したのは1990年代前期で、プラットフォームはIBM-
PC(非Windows)もしくはMacintoshのどちらかで、いわゆる洋ゲーだった。
今でこそパソコンといえば、IBM-PCかMacintoshのどちらかしかないが、当時
の日本でパソコンといえば、PC-98と相場が決まっており、雑誌の記事などで、
どれだけ憧れてみてもそう簡単に手に入るものではなかったのだ。

 一応、PC-9821向けに移植予定はあったものの、発売はどうやら1年も先の
ようで待ってはいられない。
当時のゲーム業界は「次世代ゲーム機発売ラッシュ」の少し前だったことがお
いらの人生を僅かに狂わせた。

 このゲームは最終的には、当時存在したありとあらゆるパソコン、ゲーム機
に移植されることになるのだが、実は最初にテーマパークが移植されたゲーム
機はなんと「3DO」だったのだ。

 よりによって・・・である。
一応説明しておくと、3DOは「さん・どぅー」でもなければ、「すりー・でぃー・
ぜろ」でもなく「すりー・でぃー・おー」と読んで欲しい。
思えば、今から10年近くも前、PSやSSが発売された次世代ゲーム機戦争の一番
手として(主に)パナソニックから颯爽と登場し、やはり一番手として颯爽と
退場していた悲運のゲーム機、もとい、「次世代マルチメディア社会に於ける
家庭内フラットフォームであるところのインタラクティブ・マルチプレイヤー」
なのだ。

「定価の高きこと(発売当初の)PS2の如く
 本体の邪魔っけなこと X-BOXの如し
 キラーソフトの少ないこと PC-FXの如く
 寿命の短いことバーチャルボーイの如し」

 というイヤな風林火山であるところの"3DO"に、何故かテーマパークは一番
最初に移植されたのだ、あんなにたくさんの機種に移植されることがはじめ
から分かっていれば、そして、3DOが消えることが分かっていれば、まさかお
いらも買わなかったと思うが、当時のおいらはテーマパークの為にまんまと
3DOを購入してしまったという悲しい思い出に包まれたゲームでもあるのだ。


 さて、涙を拭いてゲームの紹介に戻ろう。
最初にシムシティの遊園地版と書いたが、開発したメーカーはまるっきり違う。
(ただし、販売メーカーは同じ)
ただ、シムシティ同様恐ろしく凝っているのだ。
プレイヤーはまず、遊園地の大体のレイアウトを考え、ゲストが歩く歩道を
作る、歩道に沿ってアトラクションを効果的に配置し、さらに順番待ちの専
用路まで作る。
勿論、人気アトラクションのスタンバイ(順番待ち)は長めに作っておかな
いと客が一杯になってしまう。

 さらにジュースやハンバーガー、射的などのギャンブルコーナーからお土
産ショップにいたるまでを効果的に配置して、最後にスイーパー(掃除夫)、
警備員、メカニックマン、スーツアクターなどを雇い、これまたそれぞれ効果
的に配置し、スイーパーなどはあらかじめ掃除ルートを設定することも出来る
ようになっている。

 スイーパーは客がちらかしたパークを清潔に保ち、警備員は迷子の世話をし
たり、時折パークを「破壊しに」やってくる不良少年達を追い出したり、メカ
ニックは、アトラクションの整備点検をし、スーツアクターは入場ゲートをく
ぐってパークにやってきたお客さんや、順番待ちでストレスの溜まっているお
客さんを和ませる。

 テーマパークでは、いわゆるフリーパスポート制をとっているので、客がど
れだけアトラクションに乗っても、個別に料金は徴収できない。
その為、収入源は入場時の入場料以外は、ショップでの収入のみだが、これら
ショップでの価格も全て好きなようにいじることが出来るし、ジュースやビー
ルに水を混ぜたり、ハンバーガーの肉を薄くしたりというあざとい商売も出来
る。

 さらに、定期的に従業員や仕入れ業者とのベースアップ交渉もしなければな
らず、時折、ジェットコースターから乗客が飛び出し、最悪柵などで囲まれた
脱出不可能な位置に着地し、その客をずっと放っておくと何故かパークの評判
が落ちる、など見た目の可愛らしさとは裏腹に意外とシビアなゲームだったり
もするのだ。


 しかし、数多くの機種に移植されただけあって、当時としてはシムシティと
人気を二分するくらいの勢いのあったゲームだ。
ただ、意外と続編の方が奮わず、この後に出た「新・テーマパーク」というマ
イナーチェンジバージョンの他は、「(株)テーマパーク」というのがあるだけ
で、両方ともあまり評判を聞かないのが個人的には寂しかったりする。



AXL 2002

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