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「天下御免」

Media :PC-98,MS-Windows 3.1以降
Maker :アートディンク
種 別:大江戸商人人生シミュレーションゲーム
発売日:1993年(?)


 江戸時代を舞台とした一風変わったシミュレーションゲーム。
プレイヤーは、まず、数種類ある卸問屋の中から好きな業種を選んでスタート
する、具体的には材木問屋、薬問屋、小間物問屋など時代劇なお馴染みの名前
が並んでいる。

 ゲームが始まるとプレイヤーに与えられるのは、江戸は日本橋に建つ店舗兼
住宅と1万両の元手だけである。
これを元手に人を雇い商売をするのがこのゲームの基本的な流れになるが、必
ずしも商人として成功するだけがこのゲームの楽しみ方ではない。

 稼いだ金を遊郭や博打場で湯水の如く使ってもいいし、抜け荷に手を染めて
阿片などのご禁制の品物の売買で裏街道を歩むのも良い、全てはプレイヤーの
自由で、ゲームオーバーになる条件は寿命が尽きて死んだ時だけ、である。
(ただし、有り金を使い果たすとどちらにしろ病気になって死んでしまうよう
である。)


 非常に自由度が高く、時代設定から少々とっつきにくい印象があるゲームか
もしれないが、おいらとしては大好きなゲームのうちの1本である。
どのくらい自由度が高いのかというと、例えば悪事に手を染めると決めて、(
金を儲ける、という意味では)一番楽なコースを歩む場合、船頭に小遣いを握
らせて、阿片やガラス器などのご禁制の品物の抜け荷(密輸)を頼めば、あと
は船頭が勝手に仕入れて戻ってくる。

 こういうものは当然ながら店先では売れないのでヤクザのツテで裏から流す
ことになるが、ヤクザに品物が渡る前、つまり蔵の中に品物が眠っている間に
運悪く蔵改めがあっても、普段から岡っ引きや同心に十分な袖の下を握らせて
おけば見逃してくれるし、それを行ったとしても南北町奉行に普段から賄賂を
贈っておけば白州(裁判)で無罪にしてもらえる。

 あとは、抜け荷で得た莫大な利益で賄賂を弾んでおけば、次の仕事の時も安
心である・・・と書くといかにも神も仏もないようで、簡単過ぎるように思え
るかもしれないが、事実、このゲームでは金が全てであり、このような手順を
踏めば誰でも簡単に百万長者になれてしまうのだ。


 先ほども書いたようにこのゲームにはシステムが定めた明確な目的というも
のが何ひとつ無い、上記のような方法で巨万の富を築くのもひとつのやり方に
過ぎず、あえて悪事に手を染めず、正道で商売に励むのも良い、ゲームに結婚
して子供を儲け、さらにその子供達も結婚することが可能なので早い段階で家
族を増やして子供達の成長を見守るのも良いかもしれない、または金に物を言
わせて、花魁を口説きまくり、お妾をとっかえひっかえ・・・という真似も出
来るし、特定の藩に入れ込んで新特産物の発掘に力を入れるのも良いかもしれ
ない。


 アートディンクという会社は他にも数多くな独創的なゲームを世に送り出し
たメーカーで、おいらも好きなメーカーのひとつだが、そんなアートディンク
の行き着いた一つの境地がこの「天下御免」なのかもしれない。

 システム的にはある意味で完璧過ぎるほど完璧なゲームだが難を言えば、せ
っかく巨万の富を築いてもそれほど派手に遊ぶことが出来ない為、中盤以降は
どうしてもワンパターンな展開になってしまうが、それを差し引いても素晴ら
しいゲームだと思う。

 中学や高校で日本史の眠くなような授業を受けるよりは、こういったゲーム
で体験で学ばせた方がよほど身につくと思うのだが、いかがだろうか?



AXL 2001

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