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「ドラゴンクエストV〜天空の花嫁〜」


Media :Super Famicom
Maker :ENIX
種 別:非リアルタイム 2D RPG
発売日:1992年


 個人的に最近のドラクエの中では最も印象に残っている作品だ。
というのも、この後に発売された6も7も発売当時にそれなりに時間をかけて
クリアはしたものの、終わってみると「色んな街があったなあ」ということだ
けは思い出せるものの、ストーリーの方はいまひとつ印象が薄いのだが、5の
場合は主人公の成長を描く大河ドラマ的ストーリーになっていることもあり、
今でも大まかなストーリーはよく覚えているからかもしれない。


 この作品が発売されたのは1992年のこと。
ファミコンからスーパーファミコンになって初めてのドラクエもこの作品なの
だが、当時のおいらは新宿の某グラサン屋で店員をしていた。
ドラクエ5が発売されるのは知っていたが生憎と給料日前だったこともあり、
発売日購入を諦めその日も仕事に精を出していたのた・・・。


 ・・・が、実は当時うちの店の前にはヨドバシカメラ新宿大ガード店という
ようなものがあったのだ。
確かゲーム売場は5階か6階にあった筈なのだが、わざわざ店員さんが店の前
で拡声器を持って「本日発売、ドラゴンクエスト5、まだまだ在庫がございま
す!」と延々客引きをやってくれた。
一応は、「今日は諦めよう」と思っていたおいらだが、サングラスを拭いてい
る目の前でこの攻撃は辛い。
それでも、我慢の子で唇の端を心なしか震わせながら接客をしていると、敵は
最終手段に売って出た。

「ドラクエ、在庫あと僅かです! 今なら間に合います!」

 かいしんのいちげき、である。
思えば、この作品の前、4が発売された頃、おいらは高校生で生まれて初めて
前の晩から店の前に並ぶ、ということをやってしまった。
並んだのは地元の店で、結局、夜中に店の前に子供達が列をなしはじめたのを
見た店側は整理券を発行して無事翌朝購入することができたのだが、3の時は
中学生だった為、並ばなかった為に発売日に買いそこね、結局手に入れること
が出来たのは発売から数ヶ月経ってからだった。
2の時は、数ヶ月経っても手に入らず、結局買ったのは発売から随分経ってか
ら、それも中古店で、だった為かあまりマジメにプレイしようという気も起こ
らずこの作品だけは未だにクリアしていない。


 ・・・と、いうようなドラクエに関する苦悩の歴史がまざまざと蘇り、今買
わなければ大変なことになる、と思ったおいらは昼休みを利用してパチンコ屋
に入った。
昼飯代の千円を一万円と取りかえにいったのだ。
とはいうものの、実はパチンコ屋に入ったのはこの時が生涯で二度目であり、
勝算などあろうはずもなかった。
20分後、一万円どころか「昼飯抜き!」という重い現実を背負っておいらは
パチンコ屋を出た。

 他に行くところもないので、そのままどんよりとした表情で店に戻ると、シ
ャ乱Q時代のつんくのような顔をしたうちの店長が、「どうしたの?」と声を
かけてくれたので事情を説明したところ、不憫に思って1万円を貸してくれ、
その金を持って、「在庫あと僅か!」であるところのヨドバシカメラ新宿大ガ
ード店のドラクエ5を購入した・・・という実にどうでもいい思い出がある。


 よく考えてみるとその後発売された6も7も購入するのにそれほど苦労した
覚えはないので、今のところおいらにとってはドラクエ熱狂時代の最後のドラ
クエがこの5ということになる。

 内容は、というと、主人公はゲーム開始当初、父親、そして召使のサンチョ
と三人で暮らす子供であり、その後幾多の冒険を経験し少年、そして青年へと
成長していく。
タイトルにもある通り、このゲームでは青年期の結婚が大きな特徴となってお
り、花嫁候補は2人。
システム的には、モンスターを仲間に出来るシステムがはじめて採用され、ラ
スボスを倒した後に戦うことが出来る「裏ボス」なるものが登場したのも本作
がはじめてである。


 とはいえ、1から4迄、パーティ、キャラメイク、章分け&AIと順調な進
化を続けてきたドラクエのゲームシステムが頭打ちになってしまったのも事実
で、特のこの後の6と7では既存のシステムのマイナーチェンジに終始するな
ど苦しい台所事情を伺わせるが、殊ストーリーに関して言えばシナリオライタ
ー堀井雄ニの面目躍如たる壮大な物語が語られており、個人的にはリメイクが
待たれる一本である。



AXL 2003

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