レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ドラゴンクエストIV〜導かれし者たち〜」

Maker :ENIX
Media :FAMILY COPUTER
発売日:1990年
種 別:非リアルタイム2D・RPG


 2001年3月現在、ドラゴンクエストシリーズは計7本リリースされている。
勿論、人によって好みは様々だが、おいら的にどれが一番面白くてどれが一番
面白くないのか?というランキングをつけさせて頂ければ以下のようになる。

第一位 ドラゴンクエスト3 〜そして伝説へ〜
第二位 ドラゴンクエスト4 〜導かれし者たち〜
第三位 ドラゴンクエスト  (初代)
第四位 ドラゴンクエスト5 〜天空の花嫁〜
第五位 ドラゴンクエスト6 〜幻の大地〜
第六位 ドラゴンクエスト2 〜悪霊の神々〜
第七位 ドラゴンクエスト7 〜エデンの戦士たち〜

 一位と最下位についてはリアルタイムで全てプレイしたことのあるプレイヤ
ーなら納得して頂けるのではないかと勝手に思っているが、二位から六位まで
の順位についてはそれこそ10人が10人違うのではないかと思う。

 しかし、おいらにとっては3〜そして伝説へ〜を除けば4の〜導かれし者た
ち〜が最高傑作である。
そもそもドラゴンクエストシリーズは、初代から3までが「ロト3部作」とい
われ、ストーリー的な繋がりがある。
ところが4以降に始まった「天空シリーズ」といわれるものは、「ロト3部作」
に比べるとストーリー的な繋がりが希薄で、古くからのドラクエファンにとっ
てはやはり「ロト3部作」は、その後にリリースされたドラクエより一段上に
あるゲームである。

 それに、ロト3部作と、その後の作品ですはストーリーのみならず、ドラゴ
ンクエストというゲームの方向性そのものが別物になっている。

 RPGは大きく分けて、例えばウィザードリィのように、プレイヤーが1か
らキャラを創作して、キャラクターやストーリーに自分の想像力で「脚色」し
て遊べるゲームと、ファイナルファンタジーシリーズのように、予めプレイキ
ャラに個性や性格が設定されておりプレイヤーはそのストーリーを「見ていく」
ゲームの2種類に分類することができる。

 どちらが良いのか、ということについては、プレイヤー個人の嗜好の問題や、
シナリオの出来にもよるが、おいらとしては前者のゲームの方が「よりゲーム
らしい」と思っている。
何故なら後者のゲームは極論すれば、「ゲームである必要すらない」からだ。
プレイヤーの想像力が入り込む余地が少なく、しかも決まったストーリーをな
ぞっていくだけだとすれば、それは映画や小説、テレビドラマといった他のメ
ディアでも充分代用可能だ。

 この為、おいらは「映画的手法を用いたゲーム」というのがどうも好きにな
れない。「なら、映画で作ったら良かったんちゃうん?」といいたくしまうの
だ。

 ドラゴンクエストシリーズの場合は、ロト3部作では、明かに前者に属する
ゲームで、シナリオはあくまでアウトラインとして存在していたに過ぎず、例
えばドラクエ3では、主人公以外のパーティキャラクターは全てプレイヤーの
創作に委ねられており、個々のパーティキャラがどのような人格なのか、どの
ような生い立ちを経てきたのかという点は、プレイヤーの想像力に委ねられて
いた。
初代ドラクエの主人公も同じで、「勇者ロトの血を引く勇者」という設定以外
は彼が何者なのか、どういう人間なのか、という部分は一切語られていない。
プレイヤーは個々の思い入れで、主人公がどんな人間なのかを想像し楽しんで
いた。

 2の〜悪霊の神々〜では、主人公以外の2人のパーティキャラについては、
ある程度の個性や性格が設定されていたが、プレイヤーの「脚色」を大きく左
右するほどではなかった。

 しかし、ドラゴンクエスト5〜天空の花嫁〜を境にドラクエは、その方向性
を後者のタイプに大きくシフトしていった。
おいら個人の嗜好からいえば、これが「最近のドラクエがつまらない」原因で
ある。


 さて、ドラゴンクエストにおいて、前者から後者へとゲームの方向性がシフ
トするちょうど中間点に位置しているのが、このドラゴンクエスト4である。
3以前の作品に比べれば、あらかじめ用意された設定やストーリーが大きく幅
をきかせるようになった作品だが、5以降の作品に比べれば、個々のキャラに
それほど大きな自己主張があるわけでもなく、少なくとも主人公キャラの設定
はプレイヤーの想像力に委ねられている。

 何よりもプレイヤーが、ゲームを脚色できる余裕を残しつつ、シナリオにお
いては、ドラゴンクエスト5にも匹敵する出来の良さが、この4の魅力である。

 内容は、ドラゴンクエストシリーズ唯一の、5章構成で成り立っており、第
1章から第4章までは後に主人公である勇者と旅をすることになるサブキャラ
クター達の物語が語られる、そして第5章で主人公が登場し、それぞれのサブ
キャラ達と出会い、いよいよ本格的な冒険へと突入する。

 この構成により、プレイヤーは個々のサブキャラクター達により愛着を持て
るし、第5章で以前プレイキャラにしていたサブキャラクターと出会い、パー
ティを組む時の感激もより大きい。

 シナリオの完成度、壮大さからいえば、間違いなくファミコンゲーム史上最
も優れたゲームがこのドラゴンクエスト4だと思うのだが、反面、ロト3部作
と違って、前後の作品との繋がり希薄なため、世界観の広がりがこの1作に限
定されてしまっているのが非常に惜しい。

 そして、今日現在、何故か「唯一リメイクされていないファミコン世代のド
ラクエ」がこの4である。
これもシナリオとして前後の繋がりが薄い為に、5や6とバンドリングするこ
とに無理があるからでは・・・?と思っているが、未プレイのユーザーには是
非ともお勧めしたい、ドラクエシリーズの隠れた名作である。



AXL 2001

HOME