レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

ドンキーコング3

Media :アーケード、FAMILY COMPUTER,PC-88
Maker :任天堂(PC-88版はハドソン)
種 別:アクション・シューティングゲーム
発売日:1983年(FC,PC88への移植版は1984年)



 ドンキーコング、ドンキーコングJr.に続く、任天堂のアクションゲームだが
前作に比べると、人気や知名度が多少下がってしまうのも事実。
今回のコンセプトは初代と同じく、悪さをするドンキーコングとそれを阻止しよ
うとする人間の主人公による対決となっているが、主人公は初代ドンキーコング
で活躍したマリオではなく、スタンリーという青年になっている。

 スタンリーが出演したゲームはこれ一本のみで(厳密には後に最近発売された
スマッシュブラザーズDXというソフトに出演(?)しているらしいのだが)以降
彼が任天堂作品に登場したことはない。

 人気の高いマリオではなく、スタンリーという一発屋が主演してしまったこと
も前2作に比べて人気の低い理由のひとつかもしれないが、それ以上に大きな理
由として考えられるのは、この3は、前2作とは全く違ったシステムのゲームで
ある、ということが災いしているように思う。

 ドンキーコングもJr.もアスレチック的なステージをジャンプを駆使して攻略
していくタイプのアクションゲームだったのに大して3は、アクション・シュー
ティングゲームとでもいうようなジャンルで、前作までのジャンプして敵を避け
るというアクションではなく、スプレーで敵を攻撃するというのがメインアクシ
ョンになっている。
さらに、前2作までは、4ステージとはいえ、各ステージの個性が非常にはっき
り出ており、1〜4ステージでひとつのストーリーを形成していたが今作はそれ
もない、ステージによって多少画面の構成は変わるものの、基本的には大きな変
化がなく、またストーリーのようなものも存在しない。

 ゲームの内容はフラワーガーデンに現れたドンキーコングからチューリップを
守る、というもので、ドンキーはフラワーガーデンの天井から吊り下がっている
(?)ツタを両手で掴んでいる。
放っておくと、ドンキーは少しづつ下に下がってきて、最後にはフラワーガーデ
ンの床に落ちてきてしまう。
ドンキーが下に落ちてくるとミスになる為、スタンリーは殺虫剤スプレーを使っ
て下からドンキーを攻撃し、ドンキーを少しづつ上に上げていかなければならな
い。
一番上までドンキーが登ると1ステージクリアとなるが、ドンキーは隙をみてハ
チの巣を叩き、中のハチをけしかける。
このハチ達を放っておくと、地中に埋まっているチューリップ(アーケード版の
場合球根の場合もあり)を持っていってしまう。
チューリップは合計5個あり、ステージクリア時にボーナスとして換算されるの
でこちらも阻止しなければならない。

 他にもケムシなどもスタンリーの邪魔をしてくるので、これらをうまくあしら
いながらうまくドンキーを一番上まで押し上げるのがこのゲームの目的となる。


 どんなにステージを進めていってもずっとこの繰り返しになる為、遊園地的な
楽しさを持っていた前2作と比べるとどうしても地味な印象のある作品だが、個
人的には意外と好きな作品だ。


 このゲームの話題になると、「結局、あのスタンリーというのは誰なんだ?」
という話になることが多いが、おいらはあれは「誰でもない」と思っている。
スタンリーの顔をつきをみていると、おいらはゲームウォッチ世代のゲームを思
い出すのだ。
ヘルメットだとか、オクトパスだとかに出てきた、任天堂特有のオトボケ顔の液
晶キャラ、スタンリーはなんとなくああいう系統の顔つきをしている。
少ない色数と限られたドット数の中でとにかくプレイヤーに覚えて貰えるように、
と苦心して生まれた、というマリオのデザインに比べれば、それこそあっという
間に忘れられてしまうほど、彼の印象は薄いが、アーケードゲームより一世代前
の懐かしい雰囲気をスタンリーは持っている。

 そう考えると、ドンキーコング3というゲームのシステム自体も非常にゲーム
ウォッチ的なゲームなのだというこにも気づく。
派手な演出や、大胆なステージ構成は一切なく、基本的には最初から最後まで同
じシステムの中でストイックなプレイを要求される、これをこのままゲームウォ
ッチに移植して発売したとしても誰も違和感を感じない、そんなゲームなのだ。

 ヘルメットやオクトパスの主人公に名前がないように、スタンリーにも本来名
前は必要なかったのかもしれない。
ただ、ドンキーコングという看板シリーズでマリオという偉大なキャラの代演を
任された為にまさか名前もないというわけにもいかず、とりあえずスタンリーと
いう名前だけはつけて貰ったものの、おいらは基本的に彼はゲームウォッチの世
界からちょっとビデオゲームの世界を見物にきたキャラクターだと思っている。

 だとすれば、一回限りとはいえビデオゲーム世代の任天堂を代表するドンキー
コングという作品の最新作で、あのマリオの代演をつとめたのが、もう一つの任
天堂の顔だったゲームウォッチのキャラクターだということ、ゲームそのものも
ゲームウォッチ的なシステムだったということは、ちょっとばかり意味のある事
のような気がする。



AXL 2002
(追記:・・・と書いた後で、ゲーム&ウォッチにグリーンハウスというタイト
       があり、これがどうもアーケード版のドンキー3と同じようなゲ
       ームらしいという話を聞きました。
       ただ、グリーンハウス発売はアーケード版登場の1年前の1982年。
       さらに、ゲーム&ウォッチにはこれとは別に「ドンキーコング3」
       というタイトルがあるらしいのですが、こちらは内容が不明です。
       ご存知の方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せ頂ければ幸い
       です(^^:)

追記(2002.12.13)

 実機をお持ちのFUJIさんからゲーム&ウォッチ版ドンキーコングの写真
を頂きました。
こちらの写真はFUJIさんがオークションに出品された時のものです。
ドンキーコング3.jpg (15962 バイト)


 一見して他のシリーズとは違った特徴的なフォルムですが、「ゲーム&ウォ
ッチ・マイクロVS.システム」と呼ばれるもので、発売は1984年です。
対戦を基本としたゲーム性、コントローラー×2台の実装、特徴のあるフォル
ムなどの特徴があり、このシリーズではこれ以外に「ボクシング」「ドンキー
コングホッケー」という作品がリリースされていたようです。


DESIGNER's SHOP
CAFE_HENTEKOIRN

(FUJIさんのサイトです、シルバーアクセサリーの販売をなさっていらっ
しゃいますが、他にも色々な掘り出し物アイテムがあります、是非一度覗いて
みて下さい(^_^))

(追記:2003.9.13)

 ゲーム&ウォッチ版ドンキーコング3に関してJORKER830さんから以下の情報
をいただきました。

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ドンキーコング3のゲームウオッチ版の内容が不明との
ことですが、内容はほとんどアーケード、もしくは
ゲームウオッチ版の「ドンキーコングJR」に等しいです。
まず下画面の一番下に鍵があるので、それをジャンプして
上画面に放り投げます。
そして電線の上をスパークをよけながら上画面へと向かいます。
次に上画面にある鍵の下でジャンプすることにより、コングを
捕らえている4つの鎖のどれかに投げ入れます。
後は鎖を上って差し込めばOK。
するとまた下に鍵が出てきますので、いちいち戻ってまた鍵を
上へ放り投げ・・・・・というのを4回繰り返すと1面クリア。
やや表現がわかりづらくて申し訳ないんですけどね。
初期のゲームウオッチ版のドンキーコングはフックを一本
取ると自動的にスタート地点へ戻りますが、こっちは
自分で下まで戻る必要があります。・・・・・・・って
最初からこう言った方が良かったかもしれません(笑)
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尚、JORKER830さんによるとゲーム&ウォッチ版のドンキーコング3の
数字表記はファミコン版やアーケード版「3」ではなくIII表記となるようです。
JORKER830さん、貴重な情報ありがとうございました(^_^)

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