レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ドラキュラ2〜呪いの封印〜」


Media :FAMILY COMPUTER DISK SYSTEM
Maker :KONAMI
発売日:1987年
種 別:アクションRPG


 現在までリリースされ続けている名作、悪魔城ドラキュラシリーズの2作目。
特にファミコンディスクシステム屈指の名作アクションゲームと呼ばれる第一作
「悪魔城ドラキュラ」の続編だけに客観的には非常に厳しい評価の目を注がれる
ことになった作品である。
前作が名作なだけに生半可なものは許されないのが2作目の辛いところだが、残
念ながら世間一般からいうとあまり評価の高いゲームではない。
特にこのゲーム単体がどうこうというよりも、前作と比較され完成度の低さや、
前作が純然たるアクションゲームだったのに大してこの作品がリンクの冒険的な
サイドビューのアクションRPGへとジャンルを鞍替えしたことが批判の的にな
っているらしい。

 しかし、ここに一人ヘンなゲーマーが登場する。
つまり、おいらである。
おいらは、前作である「悪魔城ドラキュラ」をはじめ、ドラキュラシリーズを殆
どプレイしたことがなく、それほど興味も持たない癖に、「ドラキュラ2」だけ
を中学生当時に連日徹夜してまでやり込んだという変わり者なのだ。

 どうしてよりによって2だけを購入したのかは今となってははっきり思い出せ
ないが、当時行きつけだったおもちゃ屋が何かの都合で悪魔城のドラキュラの書
き換えをやっていなかったか、もしくは悪魔城ドラキュラというソフトそのもの
が書き換え対象外になっていたのかもしれない。

 とにかく、怖がりの癖に怖いもの好きで、前作悪魔城ドラキュラの人気を知っ
ていたおいらは、書き換え初日にドラキュラ2を購入(書き換え)し、連日遊び
まくった。

 そんな経緯でドラキュラ2を購入した為、おいらはこのゲームに対して「前作
と比較してどうこう」というような目を向けたことはない。
むしろ、おいらにとってのドラキュラとはドラキュラ2が基準になっており、純
然たるアクションゲームである他のドラキュラシリーズは、その時点で既にして
なんかもう違うのだ。


 さて、簡単にストーリーを説明すると、前作でドラキュラ伯爵を倒し、長い眠
りについた主人公だったが、ドラキュラとの戦いで受けた傷が彼の体を少しづつ
蝕んでいった。
このドラキュラの呪いの封印を説くため、主人公は再びドラキュラに戦いを挑む
・・・というような感じ。
システム的には横スクロールのサイドビューアクションRPGで、ゲーム内には
町が存在し、町から町への移動にはアクションステージを攻略する必要がある。

 この町が存在するかどうか、そしてその中に主人公に危害を加えてこない普通
の人々が存在するかどうか、というのが、純然たるアクションゲームである他の
作品と、RPGであるドラキュラ2との大きな相違点のひとつだと思うのだが、
そこはそれ、オカルトものであるドラキュラ2は他のRPGとは一味違う。
町を行き来する人々は、基本的に皆、血圧が低そうで、妙に淡々としている。
その上、このゲームには昼夜の別があり、夜になると途端にモンスター達は強く
なるのだが、この時間は常にリアルタイムで進行しており、例え町に籠もってい
ても「そして戦慄の夜がやってきた」という非常に嫌なメッセージと共に夜が訪
れ、一切の店には入れなくなり、昼間低血圧ながらも町を行き来していた普通の
人々に変わってゾンビが徘徊する百鬼夜行の町へと変貌してしまうのだ。

 この辺のシステムが非常に上手いな、という気がするのだが、例えばドラクエ
なら、どんなにボロボロになっていても一歩町に入ってしまえば、もうパーティ
が全滅するようなことは決してない。
町から一歩も外に出ない限りに置いては完璧に安全が保証されているのだが、ド
ラキュラ2においては基本的に安全である町ですらも、いつかは必ず「戦慄の夜」
が訪れるのだ。

 以前、今までやったゲームの中で一番怖かったのはスウィートホームだ、と書
いたが、スウィートホームの恐怖というのは、自分が完全に安全な状態がゲーム
中に殆どない、という追い詰められた感覚による恐怖であり、このゲームにもそ
れに近いものがある。


 余談になるが、このゲームが発売されたのは、1987年の8月末。
当時のおいらは中学3年生だった。
普通、中3の終わりというのは、受験勉強に忙しくゲームなどしている暇はない
はずなのだが、おいらの場合は、ゲームに忙しく受験勉強などしている暇はなか
った為、夏休みの終わりから2学期の頭にかけて、「勉強をする」という大義名
分の元に真夜中までこのゲームで遊びまくっていた。
今でも、高校受験の思い出というと、勉強の記憶は全くない割に、このゲームと
このゲームをやりながら聞いていたラジオの深夜放送、オールナイトニッポンを
思い出してしまうのだった。



AXL 2002

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