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「ダークキングダム」

Madia :SUPER FAMICOM
Maker :日本テレネット
種 別:非リアルタイムRPG
発売日:1994年


 魔王が復活して勇者達が旅立つ・・・というRPGとしては定番過ぎるスト
ーリーをまるっきり裏側から見たRPG。
主人公は故郷の村を焼き払った犯人を探す為、敢えて魔王軍に入隊する、与え
られる任務をこなして魔王軍の中での階級をあげて行き、そして最後に彼を待
ち受ける運命は・・・?といった感じ。
基本的にはよくある2DタイプのRPGなのだが、いくつか特異なシステムも
持っている、まずは、通常攻撃をする場合、画面に剣が表示され、それが左右
に揺れ続ける、なるべく中心に近いところでこれを止めることによりより大き
なダメージを与えることができる。
ただし、当然ながら止める位置が両端など悪い位置だとダメージも小さいもの
になってしまい、最大4人のパーティプレイの為、一回の攻撃ごとに全てこの
手続きを行うのは少々苦痛かもしれない。

 次にRPGとしては珍しくリアルタイムで時間が進む。
とはいっても、これはフィールドマップを歩いている時だけに限られ、街の中
などでは宿に泊まったりしない限りは時間が進まない。
このゲームには年号、日付、そして時間があり、主人公達がフィールド上にい
る時だけ時間が進んでいく、実は魔王軍から出される任務には全て期限がある
のだ。
ただ、期限を過ぎてもゲームの進行に支障をきたすことはなく、単に期限内に
任務を達成するとボーナスアイテムを貰える、という緩やかなものである。


 世界観、基本システムなどはよくあるRPGだが、主人公が魔王軍の兵士で
あるということに加え、まるで太閤立志伝のように、魔王軍の中で出世してい
く、という点がかなり新鮮である。
また、出世することにより、配下(パーティキャラ)を持つことが許され、任
務の中には勇者パーティの抹殺といったものまで含まれる。
ゲーム自体は一本道RPGだが、ストーリーもまた普通のRPGとは一味も二
味も変わっており、好き、嫌いは別れるかもしれないが、おいらとしては非常
に楽しめた。

 肝心のストーリー後半の展開に関しては是非とも自分でプレイすることで確
かめて欲しいので一切触れないが、魔王軍に入った主人公が正義に目覚め、自
ら勇者に転身する、というようなありきたりなものではないということだけは
書いておきたい。
しかし同時に、物語全体からみると、ありきたりな勇者の話でもある。
この矛盾をどういう形で消化しているのかの謎は、是非ともプレイして欲しい。


 というわけで、おいら的には非常に楽しめたRPGだが、問題もいくつかあ
る。
まず第一は時間の概念で、これがある為にどうしてもメインのシナリオのみに
縛られがちになる。
実はいくつか寄り道的な楽しみ方もできるようなゲームなのだが、任務期間中
は時間に縛られ、任務終了後は勝手に出歩くことのできないシステムの為、な
かなかそちらまで手が回らない。
これがなければもう少しじっくり楽しむことができるのだけに非常に惜しい。

 次に、魔王軍内で階級を上げていっても、配下を持てるようになる他はこれ
といった実感がない点がちょっと寂しい。
下っ端の頃は苛められても出世すると回りの態度が変わる、だとか、屋敷や特
権を与えられるといったような演出が欲しかった。


 しかし、勇者とは逆の立場にいる人間の目から見た勇者物語や、魔王の命を
受けてレジスタンスの指導者や勇者を暗殺する、といったミッションはありそ
うでなかなか無いものだけに、続編がないことが非常に残念である。



AXL 2001

参考リンク(ダークキングダム専門サイト)
dkimage.jpg (3628 バイト)

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