レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

チャレンジャー


Media :FAMILY COMPUTER
Maker :HUDSON
種 別:リアルタイム・アクション・アドベンチャーゲーム
発売日:1985年


 どうしてもギャグのセンスというか、笑いのツボが自分とは合わない人とい
うのがいる。
おいらの場合、芸能人でいうと志村けんである。
ドリターズ自体は嫌いではないし、人間としての志村けんは決して嫌いではな
いのだが、、子供の頃から志村けんのギャグセンスにはどうしてもついていけ
ないところがある。

 いわゆる下ネタの多さが気になってしまい、本来の笑いどころで完全に引い
てしまうので、この年になる迄、ドリフの大爆笑でやったいた頃を覗いてバカ
殿を見たことが一度もない。


 志村けんの場合は芸能人なので自分の趣味に合わないと思えば見なければ良
いだけの話だが、このようにどうしても自分のセンスというか、基準の中で許
せない事をギャグだと思ってしまう人が自分の身近にいる場合はそうはいかな
い、例えばOLだったら課長のオヤジギャグがどうしても許せないとか、恋人
のとあるひとつの事に関する価値基準のセンスだけがどうしても許せないとか、
そういう事に悩む人は意外と多いのではないだろうか。


 さて、チャレンジャーである。
つまり、おいらにとっての「チャレンジャー」というのは「そういうゲーム」
なのだ。
バンゲリングベイのレビューにも書いたが、この頃のハドソンは明らかに「
はしゃぎ過ぎていた」何がそんなに嬉しかったのかわからないが、ファミコ
ンに参入直後のハドソンは俗な言い方をすれば「調子コイて」いた、上品に
書くと「少しく増長慢のきらい、これあり」という感じだった。

 バンゲリングベイのレビューのあのゲームがいまだにクソゲー呼ばわりさ
れる最大の理由は、ゲーム内容をボカして発売前の宣伝で煽り過ぎた為だ、
と書いたが、それがこの「チャレンジャー」にもぴったりと当てはまる。
このゲームまた「画面数100画面以上」を売りにし、謎に満ちた大作ゲー
ムであるかのような煽り文句を並べ立ててしまったのである。

 簡単にゲームの内容を説明しておくと主人公は主観的にインディー・ジョー
ンズをかなり意識した冒険家となり、ドン・エルドラドに誘拐されたプリンセス
を救出するのが目的。
ステージは3ステージ・プラス・1スーテージのエキストラステージで構成され
ており、ステージ1は横スクロール型のアクションゲームで、ドン・ワルドラド
がプリンセスを列車で連れ去るのを阻止するのが目的となるが、これは必ず失敗
し、ドン・ワルドラドの島でプリンセスを探索するのがステージ2.
こちらはトップビューの4方向スクロールとなり、このステージ2の広さが10
0画面分といわれている。
最終ステージのステージ3は固定画面の典型的アクション画面となり、ワルドラ
ドを倒し、プリンセスを救出する。
このステージ3に行く為に必要なアイテムを手に入れる為に、ステージ2の所々
に固定画面アクションステージである、エキストラ・ステージが存在する。


 このゲームをおいら的に一言でいうなら「大作主義に取り付かれた駄作」であ
る。1本のゲームで、3種類の異なるゲーム方式を採用していること、100画
面分の広さを擁するメインステージとなる、ステージ2、そしてプリンセスを救
出する為に壮大な冒険を繰り広げる冒険者・・・・などなど、アングラ小劇団も
真っ青の「ハッタリ」を効かせている・・・が、実際にプレイしてみるとかなり
単調なゲームであることに気づく。

 結局のところプレイヤーがこのゲームでプレイするのは殆どがステージ2であ
り、このステージ2がまた「無駄に難解」なのだ。
展開はどうにも単調で、ゲームそのものもも大味であり、その割には先に進むた
めにはかなりの苦労を強いられる。
プレイヤーが万難に立ち向かって先に進むためには、「どうしてもこの先が見て
みたい」と思うだけの根拠が必要だが、このゲームにはそれがないのだ。
強いていえば、ファミコン初の大作アクションアドベンチャーである、というこ
とと、この頃から立ち込め始めた「ファミコン・」バブル」の雰囲気が、おいら
を始めとする当時のファミコン少年達に訴えかけるものがあったくらいだ。


 しかし、それでも当時このゲームを買ってしまったのは、ステージ1の画面写
真で見た「列車のインパクト」だった。
当時、ファミコンは勿論のこと、アーケードゲームでも動く列車をあのような形
でアクションゲームに取り込んだ例はなかった。
それに、おいらは「ゲームの中にどれだけ広い世界観の広がりが練りこまれてい
るか」ということを最も重視するので、基本的に電車や列車が出てくるゲームに
非常に弱い。

 電車や列車が存在するということは最低でも、二つ以上の町(駅)がゲーム中
に存在し、さらにその二つの町が電車という交通機関で結ばれていることにより
より密接な関係が構築されているに違いない・・・と勝手に思い込んでしまう悪
い癖があり、チャレンジャーにもそれを勝手に期待してしまったのだ。

 他にも「電車が出てくるので面白そうだ」と思って買ったゲームにファミコン
の「マザー」や、SFCのファイナルファンタジー6、セガサターンのグランディア
などがある。
 しかし、おいらが期待したような方向性を多少でも見せてくれたのはグランディ
アくらいで、チャレンジャーを筆頭にことごとく裏切られてきたので、最近では
「A列車で行こう」シリーズで自分の世界を勝手に作って遊ぶ方が無難なのでは
ないかと思うようになってしまった。



AXL 2001

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