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「ザ・モノポリーゲーム2」


Media :スーパーファミコン
Maker :TOMY
発売日:1995
種 別:ボードゲーム


 世界的に有名なボードゲームだが、日本でも「みんな知っている」かどうか
はちょっと自信がない「モノポリー」をコンピュータゲーム化した作品の第二
弾である。

 モノポリーというボードゲームは、1930年、アメリカのチャールズ・ダロウ
という人によって考案されたものだが、この人、何もおもちゃ会社の社員とか
ゲームの専門家というわけではない、当時アメリカは未曾有の大不況で、ダロ
ウ氏も職を追われ、失業中の日々を送っていた。
そのダロウ氏が自分や家族、そして友人達で楽しむ為に考案したゲームがモノ
ポリーなのだ。

 ゲームの内容は、といえば、正方形の厚紙の上の外側1周分の升目を書き込
んでいき、スタート地点を作る。
この上にコマを置き、プレイヤー達は2つのダイスを振って延々この升目の上
を何週も回り続けるのだが、勿論これでは面白くもなんともない。
それぞれ升目に実在する地名をつけ、さらにそれらの「土地」を2つから3つ
まとめて7種類のカラーグループにグループ分けしたのだ。

 ゲームをスタートし、一番最初にその「土地」に止まったプレイヤーは、そ
の「土地」を購入する権利がある。
後から他人の土地に止まったプレイヤーは逆に、土地の所有者であるプレイヤ
ーに「レンタル料」を払わなければならない。
この「レンタル料」は、ゲーム開始時の所持金が1000ドルであるのに大し
て多くても数十ドル程度なので、さして痛くはないのだが、同じ色のカラーグ
ループに属する2から3種類の土地を全て集めることにより、ガラーグループ
の所有者は、そのカラーグループに家を建てることができるようになる。
この家が4軒建つとさらにホテルを1軒建設することができる。

 もし、他のプレイヤーが、家やホテルが建っている他人の土地に止まると、
家の数、カラーグループそのものの価値などにより、莫大なレンタル料を取ら
れる。
カラーグループの所有者はそうやって得た資金で新たなカラーグループの収集
をしたり、他のカラーグループに家やホテルを建設する資金に当てる。

 レンタル料を払いきれずに「破産」したプレイヤーから抜けていき、最後に
一人残ったプレイヤーが勝利となる。
これがモノポリーの基本ルールである。

 ダロウ氏が考案、作成したモノポリーはやがて町中の話題となり、その権利
をパーカーブラザーズが取得し、ダロウ氏は一躍大金持ちになる・・・という
モノポリーを地でいくアメリカンドリームを体現することとなるが、先ほどの
ゲーム解説でお気づきの方も多いかと思うが、現在広く遊ばれているコンピュ
ータボードゲーム、つまり、桃太郎電鉄やいただきストリートも多かれ少なか
れ必ずこの「モノポリー」に似たところがある、それだけ多大な影響力を持つ
伝説ボードゲームなのである。


 その「モノポリー」をコンピュータゲームとしてプレイできるようにしたソ
フトが本作だが、勿論、「モノポリー」というゲームそのものは本作に限らず
無数に存在する。
そんなゲームの中でも最もおいらが面白いと思ったのが、この「ザ・モノポリ
ー・ゲーム2」である。

 プレイヤーは、「ボードウォーク(モノポリーの「土地」の中でも最も高価
な場所)ホテル」という宿泊客がひたすらモノポリーで遊びまくり、モノポリ
ーに強い=英雄という、ゲームセンターあらし、もしくはキン肉マン的な世界
観がまかり通ってしまうホテルに客としてチェックインする。

 最初にフロントで貰ったコインを賭けて、多くのプレイヤーとモノポリーを
プレイしながら、コインを増やし、難易度別に分かれたプレイルームを制覇し
ていき、トロフィーを集めるのが目的である。


 勿論、プレイヤー以外にもホテルの中には個性的なモノポリープレイヤー達
が宿泊しており、一人一人に強さのレベルだけでなく、個性までも設定されて
いる。
例えば、あるプレイヤーは、特定の色のカラーグループを集めることに命をか
けていたり、あるプレイヤーは何がなんでも鉄道会社を独占しないと気がすま
ない、といった具合になっており、このゲームでも実際のモノポリー同様、プ
レイヤー同士が話し合いによって、それぞれ自分の欲しいカラーグループなど
の権利書を交換したり、買ったりできるが、仮に自分がオレンジのカラーグル
ープを2枚もっていて、残りの1枚を「鉄道大好き」なプレイヤーが持ってい
たとしよう、他のプレイヤーにしてみれば、誰からカラーグループを全て集め
るということは、そこに家を建てられ、危険が増すことと同意義であるから、
例え、自分が持っていてもあまり利益のない権利書でも、そのプレイヤーには
なかなか譲りたがらない。

 もし、それを金で買おうとすれば、莫大な金額を吹っかけられるのがオチな
のだが、相手に「鉄道大好き」という嗜好があり、尚且つ自分が1枚でも鉄道
の権利書を持っていれば、それをエサにすることで普通よりかなり割安で権利
書を手にいれることが出来る。

 仮に自分自身が鉄道の権利書を持っていなくても、持っている別のプレイヤ
ーから買ってしまう、という手もある。
つまり、鉄道を欲しがっているプレイヤーがAだとして、彼は全部で4枚ある
鉄道の権利書の内既に3枚を所有しているとしよう、対してプレイヤーBは、
残りの1枚を持っているが彼自身はあまり鉄道に興味がない。

 そんな時は、Bから鉄道の権利書を買ってしまい、一番欲しがっているAに
転売するのだ、それだけでも差額での儲けが期待できたりする。


 このように、本気で書き始めると、「おいら的あの頃ゲーム」の「おいら的
文字枚数」などあっという間に突破してしまうほど奥の深いゲームなのである。

 最後にこのゲームそのものについて書いておくと、数あるモノポリーゲーム
の中で一番のお勧めに本作を選んだ理由は、ゲーム以外での演出、つまり舞台
となる、「ボードウォークホテル」やBGMなどになんともいえない、モノポ
リーっぽい雰囲気をうまく表現している、という点が挙げられる。
子供の頃、大人達に混じって人生ゲームやモノポリーなどの「ちょっと大人向
け」のゲーム(ドラキュラゲームやお化け屋敷ゲームではないけない、という
わけではないが・・・。)をプレイした時の、「大人っぽい高級感」を表現し
たらきっとこんな感じ!と思わせるセンスの良さと、コンピュータ・プレイヤ
ー達の個性や、それに合わせた「おしゃべり」の秀逸さである。

 逆に難点としては、マルチプレイの場合、プレイヤーは2名までしか参加で
きないということ(ゲームは常に5人で行われ、残りの3人はコンピュータ・
プレイヤーから選ばなければならない)という点くらいだろうか。

 これは、発売元のトミーが、当時ボードゲーム版モノポリーの国内販売権利
を持っており、全員人間でプレイできるとボードゲームが売れなくなると思っ
たのか、まあ、多かれ少なかれ「大人の事情」というものなのかもしれない。
(現在、まだトミーが国内販売権をもっているのかどうかは不明。)

 ちなみに、このゲームを監修したのは事実上、日本にモノポリーを広めた、
といわれる糸井重里氏で、「ザ・モノポリーゲーム2」というくらいなので、
前作も存在するが、基本的に2は初代のバージョンアップ版といった感じなの
で、どうせやるなら2をお勧めしてしまうのである。



AXL 2001

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