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ロイヤルプロレスリング〜実況ライブ!〜

Media :3DO
Maker :ナツメ
種 別:2Dプロレスゲーム
発売日:1996年


 3DOのプロレスゲーム。
プロレスゲーム自体、人気シリーズの続編などを除いてはあまり売れ筋のジャ
ンルとはいえないし、このソフト自体3DO対応タイトルとしては最晩年にあたる
96年の発売なので、あまり知られていないタイトルかもしれない。

 一見すると2Dの、この当時よくあった普通のプロレスゲームに過ぎない本作
だが、内容的にはなかなか特徴的なものに仕上がっている。
このゲームはゲーム中に、日本、アメリカ、メキシコをそれぞれ拠点とするス
タイルの異なる三つの団体が存在し、それぞれに各10名程度の所属レスラー
を抱えている。
プレイヤーは好きな選手一人を選択し、そのレスラーを操りまずはそのレスラ
ーが所属する団体で試合を重ねることになるのだが、ただ勝てばいい、という
ものではなく、その団体のカラーに合った試合をしなくてはならないのだ。

 いわゆる観客に魅せる試合をする、というシステムは、これより前にメサイ
アがスーパーファミコン用に発売した「全日本プロレス2 3.4武道館」など
でも採用されており、「全日本プロレス2〜」の場合は最初に一興行分のマッ
チメイクを行い、試合で単調な攻撃を続けたり一方的な試合展開で試合を進め
ると、試合数を追う毎に観客の数が減っていき、最後にジャイアント馬場から
お説教を食らう、というシステムになっていたが、ロイヤルプロレスリングの
場合はもう少し複雑になっている。

 興行モードなどはついていないので自分でマッチメイクを行うことはできな
いが、「全日本プロレス2〜」の場合は、全日本プロレス的な「いい試合」が
できるようになれば評価が上がるのに対してロイヤルプロレスの場合は、日本、
アメリカ、メキシコのそれぞれの団体によって評価の基準が全く異なるのだ。

 例えば、メキシコであれば空中殺法のようなトリッキーで派手な動きが喜ば
れ、日本ではいわゆるストロングスタイルを呼ばれる格闘技寄りのみっちりと
した試合運びが尊ばれる、一番複雑なのがアメリカで、おいらがプレイした感
覚では 事実上、「サブミッション決着禁止」「リングアウト裁定禁止」、「
秒殺禁止」の「セメント禁止」で、とどめに「丸めこみ技禁止」になっている
くらい縛りがきつい。

 禁止といってもそれをしたからといって即座にゲームオーバーになるわけで
はないが、ここに挙げたような形で試合を終わられてしまうと、例え試合に勝
っても試合後、団体のトップレスラーからお説教を食らい、評価ポイントがひ
とつ減ってしまう。
この評価ポイントがなくなってしまうと団体を解雇されるので、例え無敗であ
ってもゲームオーバーになってしまうのだ。


 また、このゲームの場合、自分の団体で上り詰めた後は、他団体に遠征して
最終的には全ての団体のタイトルを統一することが目的となるので、全ての団
体のスタイルに適応する必要があるなど、それまでのプロレスゲームとは一線
を画したスタイルになっており、慣れる迄は少々苦労するものの「闘い」の難
易度は決して高くはないので、ともすればただ勝ち続けるだけで単調になりが
ちなプロレスゲームの中では、最後の方までなかなか飽きが来ない作りになっ
ている。


 また、先程、アメリカの団体は他の団体に比べて評価が厳しい、と書いたが
どうもこのゲームの制作者はアメリカのプロレスに思い入れが強いようで、ゲ
ーム中にはアメリカンプロレス特有の演出も多く含まれている。

 例えば、このゲームには試合前に入場シーンが挿入されているが、アメリカ
の団体の場合、選手が入場する前にタイタントロンと呼ばれる巨大スクリーン
に登場する選手が登場し、試合に対する意気込み(?)を字幕ではなく声優の
声で熱く語ってから入場してくるという、それまでの(そして恐らくはこの後
も)他のプロレスゲームにはない演出がなされており、アメリカの団体の所属
レスラーの何人かにはマネージャーが設定されており、彼らはレスラーと共に
入場し、普段はリング下でうろうろしているだけだが、場外乱闘などの際には
積極的にちょっかいを出して観客を喜ばせてくれるのだ。


 知名度の低さや当時としても見た目の古臭さはいかんともしがたいが、この
ようにプロレスゲームファンにはなかなか嬉しい配慮がされている作品で、仮
にPSなどで発売されていればもっと評価されたかもしれない。

 尚、タイトルにもついている「実況」に関しては、最近のプロレスゲームの
実況などに比べるとかなり寂しいもので、どちらかというと「実況」というよ
りは、「使った技の名前を音声で教えてくれる」という要素の方が強い。



AXL 2003

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