レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ラプラスの魔」

Media :PC88SR,PC-98,X68,PC-Engine Super CD-ROM2,Super Famicom
Maker :Hummingbird Soft(オリジナル版)
HUMAN(PCE版移植)
VIC 東海(SFC版移植)
種 別:3DダンジョンRPG(SFC版のみ2D)
発売日:1987年(オリジナル版)


 今までにも何度か書いてきたことだが、実はおいらはウィザードリィシリー
ズをやったことがない。
全く触れたことが無いわけではないのだが、せいぜいがファミコンでウィザー
ドリィ1が流行っていた頃に友人に借りて少々触った程度なのだ。

 というのも、3Dダンジョンというシステムが大の苦手な為で、特に自分で
マッピングしなければならず、途中にトラップが仕掛けてあるような難易度の
高いものに関してはウィザードリィに限らず殆ど敬遠し続けてきた。

 そんなおいらが友人に薦められ、中学生の頃に購入したのが、このラプラス
の魔(PC88SR版)だった。
このゲームの舞台は1920年代のアメリカ。
マサチューセッツ州のニューカムという町で町外れのウェザートップ館という
廃屋で子供達が次々と行方不明になったことから始まる。
普段から地元の住民に「幽霊屋敷」として恐れられていたその館の謎を解く為
にニューカムの町には霊能者やジャーナリスト、探偵などが集まってきた。


 プレイヤーはまずキャラクターメイキングで自分のパーティを作成し、3D
ダンジョンのウェザートップ館で冒険を行うのだが、このゲームの特異な点は
ファンタジーの世界ではなく、近代を舞台にしていることから、キャラクター
の職業も戦士や魔法使いではなく、それぞれ、探偵、科学者、霊能力者、ジャ
ーナリスト、ディレッタントなどになっており、また、館の中でモンスターを
倒してもゴールドは手に入らず、ジャーナリストが持つカメラのスキルでモン
スターの写真を撮影し、それを写真屋に売ることではじめて換金することがで
きるようになっている。


 おいらは、難しいRPGは苦手なのだが、どういうわけかキャラクターメイ
キングをするのだけは大好きなヒトなので、早速当時好きだった時代劇、必殺
仕事人の面々をキャラクターとして登録し、まずは小手調べ・・とばかりウェ
ザートップ館に入ってみたが・・・・。

 結論からいうとこの初期パーティがウェザートップ館から出てくることは二
度となかった。
というのもこのウェザートップ館は、一度中に入ってしまうと入り口の扉は閉
ざされてしまい、再び外に出る為には屋敷の中の鐘を鳴らさないと鍵が外れな
いようになっているのだ。

 だから、仮に1レベルくらい上げたらすぐに逃げ帰ってこよう、などという
生半可は冒険は許されず、初心者パーティの場合最初の冒険でいきなり全滅し
てしまうことも決して珍しくはないのだ。


 さらに、武器やカメラなどにも耐久度が設定されており、戦闘中にいきなり
壊れて使えなくなってしまうことも日常茶飯事、3Dダンジョンにはトラップ
満載という高難易度RPGで、本当であれば、最も苦手なタイプのRPGの筈
なのだが、どういうわけかこのラプラスの魔だけは、簡単に投げ出すことなく
やなりやりこんだ記憶がある。

 理由としては、高難易度ながらも絶妙に設定されたゲームバランスなども勿
論だが、何よりもおいらが惚れ込んだのは、グラフィック、演出、音楽などに
よって醸し出される「ラプラスの魔」というゲームが持つ独特の雰囲気だった。
リアルなタッチで得がかれ、血圧の低そうで硬派な主人公達のグラフィック、
ウェザートップ館の絶望的なまでにプレイヤーを突き放した雰囲気、古き良き
時代のアメリカ、というよりはその時代を舞台とした古き時代のHummingbird傑
作アドベンチャーゲームの数々を彷彿とさせるニューカムの町、などなど、こ
のゲームは一度ハマったが最後、決して容易には忘れられない独特の雰囲気に
包まれているのだ。

 そんなわけで、本来ならウェザートップ館クラスですら攻略不可能なおいら
が、ウェザートップ館の先にあるラプラス城まで進み、それも結構いい所まで
は進んだ記憶があるのだが、結果から先に言うと、あまりに洒落にならない難
易度の為にさすがにその辺で挫折してしまった。


 今でもいつか再プレイしてみたいゲームの1本だが、あの頃以上に情熱と時
間がない限り決してラプラス城を抜くことはできないだろうから、今から老後
の楽しみに取っておこうかと思っている1本である。


 尚、移植版に関しては、PC-E版をHUMAN、スーパーファミコン版をVIC東海が
行っており、PC-E版はCD-ROMの特性を生かして声優による音声が入っている。
SFC版の方は、どういうわけかダンジョンが2Dに変更になっているようで、これ
がこのゲームにどういう影響を与えているのかは興味深い点ではあるのだが、
グラフィク等の点から考えれば、個人的に最も雰囲気が出ていたのはやはりパ
ソコン版ではないかと思う。



AXL 2003

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