レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ロードファイター」

Media :アーケード、FAMILY COMPUTER
Maker :KONAMI
種 別 :縦スクロールレーシングゲーム
発売日:1985年


 今やレーシングゲームといえば、ドライバー視点の3Dポリゴンものが当た
り前だが、namcoのポールポジションが登場するまでのレーシングゲームは、
そのほとんどが車や道路を上から見下ろしたトップビュータイプのものだった。

 車を走らせることにより、画面が上から下にスクロールすることで「走り」
を演出していたのだが、当然ながらこの方法ではヘアピンなどの極端なカーブ
は表現できない。
その為、上からゆっくりと降りてくる、不規則な動きをするライバル車を設定
し、プレイヤーはそれらの車に接触しないようにハンドルを切る、というのが
レースゲームの王道だった。

 このタイプで最もポピュラーなのは恐らく、タイトーのT.Tスピードレーシ
ングと呼ばれるタイトルで、レーシングゲームで初めて乗り込み型筐体を採用
したのはこのタイトルではないかと思われる。

 このゲームは何種類かマイナーチェンジ版が出ており、凍結した路面の上を
走るステージや、真っ暗なトンネルの中をヘッドライトの明かりだけを頼りに
進むステージなどもあって、なかなか楽しかった。


 とにかく当時のレーシングゲームというのは、避けることにゲーム性を置き、
全ての障害物を避け切ればOK、だったのだ。

 そんな「避けゲーム」全盛の頃に発売されたのが本作、ロードファイターで
ある、画面はオーソドックスなトップビューレーシングゲームだが、旧来のゲ
ームとの最大の違いは、例え敵車に接触してもスリップ中に「逆ハン」という
テクニックを使うことにより、体勢を立て直すことができる、という点にある。


 どういうことかというと、仮に車の右前方部分が敵車と接触したとすると、
車体は前方を左に、後方を右に偏らせた状態でしばらくの間、スリップする。
ここで何もしないと、そのまま車が回転してガードレールに激突してしまうが
すかさずここで、ハンドルを車が傾いている方向と逆(この場合は右)に入れ
ることにより、体勢を立て直すことができるのだ。

 この操作はなれてしまえば反射的に行うことができるので、意図的に邪魔な
敵車をはじき飛ばすこともできる。
さらにガードレール付近で敵をはじくことにより、敵をガードレールにぶつけ
ると得点が入る、というダークサイドなシステムも取り入れられている為、わ
ざと車をぶつけて点数を稼ぐ、という当たり屋(?)的なテクニックを使うこ
ともできる。


 ルールは単純で、4ステージを燃料がなくなる迄の間にゴールまで走る、と
いうだけもので、上記システム以外はオーソドックスなレーシングゲームに仕
上がっている。
しかし、ただひたすら敵を避けまくらなければならなかった旧来のゲームと違
い意図的に「攻撃」できたり、敵車と接触してもテクニックがあればミスには
ならない、という点が、基本的にストレスを溜めるだけであまり爽快感のなか
ったレーシングゲームの方向性を大きく変えたのは確かである。


 ちょっと話は変わるが、アーケードゲームは、1985年頃からハード性能の進
歩に伴い、多くの色を同時発色できるようになり、その為か自然界には絶対に
あり得ないような色でやたらめたったら輝いてしまうのが流行になり、1987年
頃には、もうそれこそどんなゲームであっても、みんな不気味に輝いていた時
期があったのだが、このロードファイターは、そんな「輝きゲー」のはしりで
もある、まだそれほど不自然な色使いではないのだが、木々の緑や、海の青が
目にまぶしく、当時小学生だったおいらは「おおっ、何らかのニューウェイブ
だ!」と意味不明な感嘆の声をあげてしまった。

 ちなみに移植版であるファミコン版は、コナミファミコン参入初期の作品と
して移植されており、アーケード版と比べると少々見劣りはするものの、当時
のファミコンソフトとしてはかなり美麗なグラフィックだった。

 また、隠れキャラなるものが流行りはじめた頃に発売されたゲームでもある
ので、ノーミスで走っていると画面脇をスーパーマンモドキのコナミマン(!)
が飛んでいく、といった隠しフューチャーも入っている。

 このゲーム、難易度は低めで、決してこの1本のみをやり込むようなゲーム
ではないのだが、独特の爽快感と美麗なグラフィック、そして数は少ないなが
らも美しいBGM(ファンファーレ)のお陰で、当時のおいらのお気に入りゲ
ームの1本だった。



AXL 2001

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