レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「レボリューションX」


Madia :スーパーファミコン、PLAYSTATION,アーケード(?)
Maker :アクレイム
種 別:本格社会派推理・ガン・シューティング
発売日:1995年(?)


 アメリカゲーム業界の寵児(?)にして、日本ゲーム界のお尋ね者、アクレ
イムが全世界のエアロスミス・ファンへの壮大なるイヤガラセとして発売した
異色のガン・シューティング・ゲーム。

 ゲーム内容は、画面内にあるターゲットを操作して次から次へと現れる敵を
撃ちまくり、ステージの最後に待ち構えるボスを倒す、ステージクリア型のガ
ン・シューティング・・・といえば、聞こえは良いがそんな甘いものではない。


 まず、順を追って説明すると、このゲームは、アメリカの「ビッグ・ダディ・
オブ・ロックンロール」といわれる、ハードロックの大御所、エアロスミスを
用いたキャラクターゲームである。
ゲームのストーリーは、"NEW ORDER"なる悪の組織に連れ去られたエアロスミス
のメンバーを救い出す為に、マシンガン片手に単身、"NEW ORDER"に戦いを挑む。
といったような単純明快なものである。

 システムも単純明快ならストーリーも単純明快、にもかかわらず、何故かこの
ゲームは非の打ち所の無い、完璧なクソゲーに仕上がっている。


 ゲームを始めるといきなり、エアロスミスの名曲、"RAG DOLL"のイントロが流
れる、ご多分に漏れず、「エアロ目当て」でゲームを購入したおいらは、思わず
「おおっ!」と唸ってしまうが、意地悪なことにこのオープニングBGMは「イ
ントロのみのリピート」である。

 とにかくゲームをスタートしてみると、最初に敵の機体と思われる戦闘ヘリが
現れる、早速狙いを定めて攻撃するが、一向にダメージを受けている様子はない。
そして一切攻撃もしてこない。
「顔見せ」としては異様なほど長い時間、画面内に居座った、戦闘ヘリはしばら
くすると、何事もなかったかのように画面から消え去る。
この時点で、おいらは少々イヤな予感がしたが、画面がスクロールするとワラワ
ラと防ガスマスクをかぶったような敵の戦闘が現れる、ここからが本当の戦闘開
始だ・・・敵戦闘員と戦いつつ、画面のそこかしこに隠されている、レコードや、
なんだか妙なアイテムを集める、しかし、アイテムの殆どは目に見えて分かる効
果など何ひとつない、ここらへんは往年のクソゲー、「頭脳戦艦ガル」へのオマ
ージュであろうか?
ちなみに、この戦闘員との戦いがまたまるで楽しくない。

 何故ならばまず、マシンガンや敵を狙撃した際に発せられるサウンドがもう、
信じられないくらいのレベルでしょぼいのだ。
従って爽快感は0である。
これはもう、制作者側の「爽快感など与えてなるものか!」という一途な思いが
感じられるほど完璧に爽快感がない。

 次に画面に出てくる戦闘員の数が不自然なくらい多い。
普通、この手のゲームは、おおよそ画面内の敵を一掃した頃に第二陣が出現して
それをまた一掃する・・・という、ゲームとプレイヤーの暗黙のルーチンのよう
なものが存在するが、このゲームに限っては、一切それがない。
ただひたすら次から次へと出て続け、息をつく暇もない。
しかもそれがほぼゲーム全編に渡って続くのだ。


 そして最後に、ターゲットの操作性の悪いさと、敵戦闘員の当たり判定の小
ささ。
ターゲットは、「遅い」のではなく「早い」のである。
大抵の場合、狙った位置より、かなり余計に動いてしまい、その上、敵の当た
り判定が小さいので、なかなか当たらない。


 想像して欲しい。
操作性の悪いターゲットで、次々と何のリズムもなく、ただひたすら延々と出
現し続ける、「当たり判定の異常に小さいザコ」と戦い続ける、という様を。
このゲームはこの時点で、完璧なまでの「ストレス増幅装置」と化しているの
だ。
普通、ガン・シューティングなどというものは、「イライラすっからいっちょ、
ぶっぱなすか」ってなノリでストレス解消の為にプレイすべきものだが、そう
いった世の常識というものを真っ向から完璧に否定するのがこのゲームなのだ。
しかもイヤな方向に。


 さらにゲームを進めていくと、ステージ上のエアロのメンバーが敵戦闘員に
わらわらと連れ去れる、というデモの後、突然、ヴォーカルのスティーヴン・
タイラーが画面に出現し、肉声で"Remember,Music is the wepon!"という熱い
メッセージをくれる。

 憧れのスティーヴン・タイラーとご対面できた喜びもつかの間、またも常識
を逸脱した長さのザコ敵との戦闘を経て、ボスキャラとのご対面となる。
ステージ1のボスは冒頭に出現した戦闘ヘリだが、この対ボス戦が何ともいっ
てもこのレボリューションXというゲームの白眉である。


 ステージ1の戦闘ヘリを例にとると、まず、最初に当たり判定があるのは、
戦闘ヘリのフロント部分のみ、それ意外のポイントを攻撃しても一切ダメージ
は与えられない、フロントを破壊したら今度は、両脇のミサイルポッド、これ
を両方破壊すると、やっとコクピット部分に当たり判定がつくようになるが、
この最後の当たり判定が、「常識なんか糞を食らえ!」といわんばかりに異常
に堅い。

 この原稿を書く為に久しぶりにプレイしてみたところ、10分以上に渡って
撃ちまくったが、ついに破壊できなかった。
ちなみにこのゲームはいくらでもコンティニューが出来るので、敵の攻撃をか
わす(敵ミサイルを撃墜する)ということなど一切しないで撃ち続けてこの結
果である。

 もしかすると、当たり判定の位置が違っていたのかもしれない。
というのは数年前に友人と二人同時プレイで、一度だけ本気になってクリアを
目指したことがあるのだが、このゲームの最大の難関は「ボスの当たり判定を
探すこと」なのである。

 例えば、あるステージのボスの場合、そのボスそのものには一切当たり判定
がない、ところがボスの上にぶら下がっている看板を支えるワイヤーに当たり
判定があり、そこを撃ち続ける(ひたすら1分以上)とワイヤーが切れ、看板
がボスの頭の上に落下してボスを倒したことになるのだ。

 なにも「こういうトリッキーなやり方でもボスが倒せるゲーム」ではない、
「こういうトリッキーなやり方でなければボスが倒せないゲーム」なのだ。
結局、おいら達は、ボスキャラに到達するたびに、とにかく画面上を無意味に
撃ちまくり「当たり判定はどこだ!?」を合言葉に当たり判定のある場所をく
まなく探すはめになってしまった。

 ガン・シューティングなのにJ.Bハロルドシリーズよりも遥かにシビアな「推
理要素」が入っているゲームなのである。


 ちなみにこのゲームでの攻撃方法はスタンダードなマシンガンの他にも画面
内に落ちている「レコード」を集めて敵に発射することも出来る。


 そう、これで分かったと思うが、スティーヴン・タイラーが口にした言葉、
"Music in the wepon!"の真の意味は・・・・これ以上は説明するのも馬鹿馬
鹿しいので、やめておこう。



AXL 2001

HOME