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ポートピア連続殺人事件

Madia :PC88,FM7,MSX等,FAMILY COMPUTER
Maker :エニックス
種 別:テキスト入力式アドベンチャーゲーム
    (ファミコン版のみコマンド選択式)
発売日:1983年(?)(パソコン版)
       1985年11月(ファミコン版)


 ファミコンで初めて発売されたアドベンチャーゲーム。
内容は主人公が刑事となり、部下と共に殺人事件の真犯人を逮捕する、という
1980年代のアドベンチャーゲームの定番ストーリー。
原作はドラゴンクエストの堀井雄二。

 ところで、この「ポートピア」は、オリジナルのパソコン版とファミコンで
かなりテイストの違う作品になっている。
ストーリーこそ違いはないが、まず、オリジナル版がテキスト入力式(キーボ
ードからプレイヤーが直接コマンドを入力して進めていく形式)なのに対して、
ファミコン版では、コマンド選択式に変更されているのが最も大きい。

 これは当然ながらファミコンには標準ではキーボードがついてこない為、「
コントローラーパッドで操作できるアドベンチャー」ということで、同じ堀井
雄二が過去に作った「オホーツクに消ゆ」のコマンド選択式をもってきた、と
いうわけだが、当時ファミコン専門誌には、「ポートピアはファミリーベーシ
ック必須になるかも・・・」などという記事がまことしやかに掲載されていた
為、他の可能性もあったのかもしれない。

 次に3Dダンジョンの存在。
ファミコン版には被害者の屋敷の地下に迷路が存在し、ウィザードリィのよう
な3D迷路を攻略する必要があった。
これは賛否の別れるところで、方向感覚欠如には絶対の自信を持つ、おいらか
らするとかなり悩まされた記憶がある。

 変更点はおそらく上記のような感じではないかと思うが、実はパソコン版に
関しては未クリアなのでよく分からない部分もあったりする。
コマンドを自分で打ち込めるパソコン版の場合、ゲーム開始直後に「すみれそ
う いけ」などと入力すると、本当に行ってしまい、なまじストーリーを知っ
ている方が混乱したりするのである。


 ストーリーについて簡単に説明しておくと、ゲーム導入部で「ローン・やま
きん」社長「こうぞう」が自宅で何者かに殺害されている。
第一発見者は、使用人の老人、「こうぞう」
被疑者としては、「こうぞう」の秘書、「ふみえ」や、「こうぞう」の甥、「
としゆき」、忽然と姿を消した「ひらた」などがいる。


 当時、ファミコンにはアドベンチャーゲームというジャンルが存在せず、「
ポートピア連続殺人事件」は「大人向け」のゲームとして発売され、大ヒット
を飛ばしている。
ファミコンでのエニックス作品としては2本目に当たる。
3本目があのドラゴンクエストなのだから、つくづくミリオンヒットに恵まれ
たメーカーである。
ただし、参入第1作は、チュンソフトの中村光一氏の出世作「ドアドア」であ
り、こちらはファミコン版に関してはあまり売れたという話は聞いたことがな
い・・・というか、おいらは定価で買ってしまったのでいわせて貰うが、1985
年当時にリリースするゲームとしてはあまりにも単純すぎて面白くもなんとも
なかった記憶がある。


 おいらにとってパソコン版ポートピア連続殺人事件という作品は、近所の電
気屋で生まれて初めて目にしたパソコン用ゲームの一本であり、当時、ゲーム
といえばアクションかシューティングしか知らなかったおいらにとって、タイ
トルだけでも充分なカルチャーショックを受け、ゲームの内容を想像するだけ
でも、十分に楽しめた。
ポートピア連続殺人事件と同じ頃においらがインパクトを受けたパソコンゲー
ムソフトのタイトルは、他に、光栄(現コーエー)の「信長の野望」や「団地
妻の誘惑」がある。
(「団地妻の誘惑」というゲームが存在したという事実をコーエーは表向きに
は抹殺しているが、おいら的にはパソコンを買うきっかけになったソフトなの
でしつこく言い続けてしまうのだ。)


 次にタイトルになっている「ポートピア」について。
おいらは生まれてこの方東京以外の土地に住んだことがないので、最近まで詳
しいことを知らなかったが、もちろん神戸の「ポートアイランド」に関係があ
る、「ポートピア」という名称は、神戸の人口島「ポートアイランド」内にあ
るテーマパークの名前(ポートピアランド)に由来しており、ゲーム中だと、
「みなと」で海の向こうに見える観覧車はおそらく「ポートピアランド」のも
のだと思われる。

 このゲームがリリースされた当時、「ポートアイランド」、「ポートピアラ
ンド」はニュースや新聞を賑わせていた。
このゲームも堀井雄二の「旅情アドベンチャー」の1本で、従って、ゲーム中
に出てくる地名も全て実在している。

 おいら自身は一度も訪れたことはないが、仮に神戸の三宮を起点とした場合、
ゲーム中に登場する操作地点への移動時間は以下のようになる。

----------------------------------------------------------------------
起点=三宮
----------------------------------------------------------------------
花隈      (約2分) (神戸高速東西線)
ポートターミナル(約5分) (神戸新交通ポートアイランド線)
新開地     (約6分) (神戸高速東西線)
京都      (約35分)(神戸市営地下鉄で新神戸まで、新神戸で新幹
               線に乗り換え)
----------------------------------------------------------------------
●ポートターミナルはゲーム中には登場しないが、ポートアイランド内に存在
 するポートアイランド線の駅である為、参考の為に挿入した。


 意外なことに(?)全ての操作地点まで40分以内で移動が可能である、一
度くらい「ポートピア連続殺人事件ツアー」などというのも良いかもしれない、
と思いつつ、いまだ実現させていない。


 最後に、このゲームは堀井雄二アドベンチャー三部作の中ではおそらく一番
難易度が高いと思われる。
逆にクリア方法さえわかっていれば30分程度で終わってしまうので、そうし
ないと、商品価値が問題になる為だとは思うが、特にひどいのが最後の最後で
使うコマンドで、あれがノーヒントで分かるのは、山下章くらいのものではな
いだろうか?



AXL 2001

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