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「〜プロレス者達の挽歌〜人生プロレス」


Media :WINDOWS 3.1(CD-ROM一枚組)
Maker :プロフォースシステム
種 別:プロレス団体経営シミュレーションゲーム
発売日:1995年頃(?)


 ある意味、プロレスゲーム史上最もヘンなゲームかもしれないのが今回紹介
する人生プロレスというゲームである。
そもそもおいらがこのゲームの存在を知ったのはパソコンゲーム関係の雑誌で
はなく、プロレス週刊誌だったのだが、このゲームは広告段階からしてかなり
ヘンだった。

「もし四次元の虎がまだ生息していたら、四角いジャングルの食物連鎖はどう
なっていたであろうか!?」

 というような何らかの怪文書としか思えないようなキャッチコピーがデカデ
カと踊っており、ゲーム内容についてはWindows 3.1対応のパソコンゲームであ
るということ以外全く触れられていないという、デンジャラスなオーラを発散
しまくっていた謎のゲームだった。

 ちなみに、先ほどの暗号のような怪文書だが、「四次元の虎」とは80年代に
一世を風靡した初代タイガーマスクのことを指し、四角いジャングルは無論リ
ングのことだと思われる。
読み下していくと、天才的な運動神経を持ちながら全盛期にタイガーマスクで
あることを辞め、格闘家へと転身しまった、あの初代タイガーが今でもプロレ
スラーとしてリングにいたらどのようなことになっていたのであろうか(嘆息)
というような事を言わんとしている・・・ということは理解できるのだが、は
っきりいって、商品のキャッチコピーに読み下しが必要な時点で一般消費者は
完全に眼中にないと考えて間違いないだろう。
これはそんな過去に類をみないほどディープなプロレスゲームなのだ。


 ジャンルとしては当時としては珍しかったプロレス団体経営シミュレーショ
ン、しかも、第二次プロレスブームといわれ、猪木をはじめタイガーマスクや
ホーガン、ハンセンなどが大暴れしていた1980年代を舞台としている点が、他
のプロレス団体経営ゲームとは大きく異なっている。

 つまり、このゲームの主旨はプロレス団体の経営者になって自分の好きな好
きなスタイルで最強団体を目指そう!などという甘っちょろいものではなく、
プロレスが最も熱かった1980年を舞台に、プロレスに於ける歴史ifに挑戦した
超意欲作でもあるのだ。


 発売から10年も経っていない筈なのだが、このゲームに関してはやはりと
いうべきか、現在では極端に情報が少ない。
おいらは一応当時購入はしたものの、今では箱や説明書はおろかディスクまで
なくしてしまったので、かなりの部分は少々あやふやになった記憶を頼りに書
かせて頂いていることをご理解頂きたいのだが、はじめにプレイヤーが行うこ
とは自分が担当する団体を選ぶことである。

 このゲームは非実名ゲームなので、表向きは全て架空の団体、ということに
なっているが、そこはそれ言わずもがなで新日本プロレス、全日本プロレス、
それに80年当時かろうじて存在していた国際プロレスから選ぶことできる。

 全日本、国際の両団体に関しては、ほとんどプレイしなかったので(このゲ
ーム、異常にとっつきが悪くて結構早々と投げ出してしまったのだ)イベント
などに関する記憶はほとんどないが、新日本プロレスの場合、ゲームをはじめ
ると、ちょうどアントニオ猪木が異種格闘技戦の流れの中で極真会館のウイリ
ー・ウイリアムスと対戦する寸前くらいからはじまるようになっている。

 普通のゲームだったら、この試合に勝つ為に猪木を重点的にトレーニングし
てあげたりするところなのだろうが、このゲームはそんな生易しいものではな
い。

 ゲームがはじまるとすぐにウイリー戦に関しては誰がどう見ても極真の幹部
だった梶原一騎にしか見えない某劇画家が一枚噛んでおり、今のうちに対処し
ておかないと、大変なことになる・・・と社員から忠告を受けるのだ。
対処しろと言われてもこれはシミュレーションゲームなので、具体的にどう対
処すれば良いのか分からない。

コマンド?>戦争
どこを攻めますか?>梶原一騎

というようなコマンドでもあれば対処のしようもあるのだが、悲しい哉、この
ゲームは経営シミュレーションであり、そのようなコマンドは存在せず、その
せいか大抵、おいらはこの序盤のウイリー戦で猪木に土をつけてしまい、その
辺もやる気をそぐ原因にもなっていたのだが、よくも悪くもこんなプロレスゲ
ームは他には存在しないし、これからも絶対に出てこないだろう。


 イベントシーン以外は、自分の団体のレスラーの試合をマッチメイクし、各
地で興行を行う・・・という比較的正常なシステムになっているが、問題なの
は、日常的に行う興行でも最低限メインイベントやタイトルマッチは試合をス
キップすることができない、という点である。

 これがファイプロのようなアクションものならそれだけでも楽しめるが、こ
のゲームでは強いて言えば「勝手に進むマニアックプロレス(PC-エンジン)の
ようなシステムを採用しており、技ごとに一枚絵が表示されていく為、異常な
までに時間がかかる。

 全体的なクォリティを見ても決して洗練されているとは言えないゲームだが
とにもかくにも色々な意味で大変貴重な一本であるといえるだろう。



AXL 2003
(追記:2003.4.18)
サブタイトル、メーカー名等に関してはジュキアさん、近藤さん、犬橇舎さん
より情報を頂きました、貴重な情報ありがとうございます(^_^)

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