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ぼくの夏休み2〜海の冒険篇


Media :PlayStation2
Maker :SCE
種 別:レトロ夏休み体験ゲーム
発売日:2002年


 PS2を買ったのは2002年の初夏のことだった。
購入した動機は主としてスーパーロボット大戦impactとギレンの野望・ジオン
独立戦争記がやりたかったから、なのだが、ちょうどその頃にはかまいたちの
夜〜監獄島のわらべ唄〜など個人的に興味を惹かれるタイトルもリリースされ
はじめ、DreamCast以来、久々の新ハードをおいらは充分に堪能していた。


 そして、おいらがこのゲームと出会ったのもちょうどその頃、ゲームショッ
プのデモ映像を通じて、だった。
バックに流れる井上陽水の「少年時代」(沢田知可子のカバー)断片的に流れ
ていく子供の頃の夏休みの思い出・・・いつの間にかおいらはそれらの映像を
見つめていた。


 ぼくの夏休みはPlayStation用ゲームとして2000年にリリースされたもので
昭和50年頃のとある田舎を舞台に、夏休みの一ヶ月をそこで過ごす少年の日々
を描いたアドベンチャーゲームである。
そこで出来ることは、凧揚げであったり、虫取りであったり、またそうして捕
まえた虫同士を戦わせる虫相撲など、レトロな夏休みを彷彿とさせる遊びの数
々だが、反面、ゲームとしてこれをしなければならない、という制約は存在せ
ず、プレイヤーの思い通りに夏休みを過ごすことができる。
このゲームは当時小学生として夏休みを過ごした世代に受け入れられ、ちょっ
としたスマッシュヒットとなったが、おいら自身はこのゲームに対して「虫を
捕るゲーム」という程度の認識しか持っておらず、特に気にもしていなかった
が、「ぼくの夏休み2」のデモを見たことから興味を持ち、夏に少し遅れて手
に入れることになった。


 ゲームの主人公は小学生の「ぼく」
お母さんの出産の為、8月の一ヶ月間はおじさん夫婦さんのやっている民宿に
預けられることになる。
「ぼく」が体験する一ヶ月の夏休みを、プレイヤーは「ぼく」となって過ごし
ていくのだが、今作も前作同様、ゲーム的な制約は存在しない。
つまり、一ヶ月間何もせずにただ寝て過ごしてもゲームは終了していくし、虫
や王冠などのコレクション要素のあるアイテムを全て集めたとしても特にこれ
といったご褒美があるわけでもない。
また、このゲームには「ぼく」が町に住む人々に話し掛けることで進行してい
くストーリーが存在しているものの、「ぼく」の行動によってストーリーが分
岐したり、二周目以降新しい要素が追加されることもない。
ゲーム性という面からこのゲームを評価するとそれは非常に薄いものであり、
この点がプレイヤーを選ぶ原因になっているのかもしれない。

 では、そんなゲームの一体何が楽しいのか。
おいら個人の感想を言えば、「ただそこにいること」が楽しいのであって、具
体的な説明をすることは難しい。
おいら自身、昭和50年に夏休みを過ごした「ぼく」とは微妙に年代が違うの
だが、画面の中に広がるのは、体験したことはないけれどもイメージとしても
っている昔懐かしい田舎の夏休みの風景であり、ノスタルジアという形での魅
力を感じているのだろう。
日暮れ時の誰もいない町角、虫の鳴き声、日記帳として登場する懐かしいジャ
ポニカ学習帳・・・それらに時折ドキっとするほど心をくすぐられ、何故だか
それらが心地いい。

 このゲームを一通り遊び尽くし、いたく気にいって喜々として次作の発売を
待っているおいらは、当然今までにこのゲームを色々な人に勧めてきたのだが、
面白いのは、男性の友人はナゼか遠い目をしながら「ああ、いいかもなあ」と
呟く反面女性にはあまり受けがよくない。
別にとりたててここが気にいらない、ということは言わないのだが、ゲーム世
界そのものにあまり魅力を感じないらしいのだ。
ゲーム自体はイラストのタッチなども含めて一軒、女性向けに見えるのだが、
意外なことに「ぼくの夏休み」は「男のゲーム」なのかもしれない。


 一度のプレイでほぼやり尽くすことが出来、ゲーム性もほとんどない。
そんなゲームをおいらは手放すことができない。
通してちゃんとプレイしたのは最初の一度だけなのだが、なんとなくいつも手
の届くところに置いておきたい。
何故なら、そこにはいつでも体験することができる「もうひとつの夏休み」が
あるからだ。



AXL 2003

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