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エレベーターアクション

Media :アーケード、Family Computer,MSX,Windows95,GAMEBOY等
Maker :TAITO
種 別:アクションゲーム
発売日:1983年


 今から約20年ほど前にアーケードでヒットしたゲーム。
ご多分に漏れず当時のおいらも随分と50円玉を投入したが、あれから20年
ふとこのゲームをレビューしてみようと思い立ち、頭の中であれこれ考えてい
る内にあることに気がついてしまった。
それは実に基本的な問題で、今の今まで一度としてそれに気付かなかった、と
いうことはとりもなおさずおいら自身が今まで「エレベーターアクションを疎
かにしてきた」ということであり、おいらの人生にはまだまだ「エレベーター
アクションが足りなかった」ということの証明でもあると思う。

 このゲームは、とあるビルの中に隠された「重要書類」を手に入れることが
目的であり、それを手に入れた後で階下に待たせてある赤い車にのって無事脱
出することが出来ればステージクリアとなる。
つまり、そのビルとはどこかの企業のオフィスビルであり、主人公は産業スパ
イなのだ・・・とこの20年間そう信じていた。

 しかし、よくよく考えてみると産業スパイなどというものは、ターゲットと
なる企業に就職などの形で潜りこみ、社員としての地位を利用して情報などを
入手し、依頼主に不正に提供することヒトのことを言うわけで、エレベーター
アクションの場合は、夜陰に乗じてターゲットとなる企業のビルの屋上から進
入し、ピストル片手に邪魔する奴を撃ちまくり、エレベーターを使って圧殺す
るなど比較的ド派手な手段を駆使しつつ機密書類のある部屋に勝手に押し入っ
て貰うものを貰って逃げていく、という姿勢を貫いている。

 これが果たして「産業スパイ」と言えるのか?単なる「強盗」とどこが違う
のか?という問題について、おいらは今の今まで一度も疑問を抱かなかったの
だ。
というわけで、設定については若干自信がなくなってきたが、「そんなゲーム」
それこそがエレベーターアクションである。


 ターゲットとなるビルは当然のことながら階層式になっており、エレベータ
ー、もしくはエスカレーターを利用して階層間を移動することが出来るように
なっている。
敵キャラには、黒ずくめのギャングのようなガードマン(?)が廊下を行き来
しており、主人公を見つけると発砲してくる為、こちらもピストルで応戦しよ
う。

 基本的にはビルのどこかにある赤いドアの部屋に隠された「重要書類」(複
数の場合もある)を手に入れてビルの一番下まで行けばステージクリアとなる
のだが、ステージが進むにつれビルの構造が複雑化していき、1フロアに複数
のエレベーターがあり、それぞれ降りられる階が制限されることもある。


 また、このゲームの凝っている点として、フロアの天井には電灯がついてお
り、これをピストルで撃つことによってしばらくの間、オフィスが暗闇になっ
たり、先ほども書いたようにうまくエレベーターを操って下にいる敵を潰して
しまうこともある。

 同じタイトーのゲームで、同時期にアーケードにあったフロントラインより
簡単なこともあって、おいらも随分とこのゲームで遊んだが、今にして思えば
子供にとってのこのゲームの楽しさの本質というのは、「エレベーター、エス
カレーター乗り放題」という魅力にあったような気がする。
おいらの世代の子供達はどういうわけかデパートなどにあるエレベーターやエ
スカレーターが例外なく大好きだった。
あれに乗車賃が設定されていてもそれほどおかしくない、と思えるくらいに惚
れていた。
別段、乗ったからといってそれほど楽しいものではないことは分かっていたが、
それでも子供にとってはあれらも立派な「動く乗り物」には違いなく、しかも
タダで乗せて貰える、という魅力も大きかった。
是非とも自分が大人になった暁には自宅に設備したいものだ、と真っ直ぐに願
っていたのだ。


 ところが、子供にとってデパートなどという場所は、公園や空き地などと違
いあくまでも非日常的な場所であり、行くとすればボーナス直後に柄にもなく
キメ狂った両親に連れられていくくらいが関の山。
大人の目がある為に、必要最低限の回数しか乗ることは出来ず、エレベーター
やエスカレーターというのは、タダなのにも関わらず思う存分乗ることのでき
ないという不思議な乗り物だったのだ。

 そこでエレベーターアクションである。
このゲームでは文字通りエレベーターを一人占めすることが出来る。
自分で好きな階に移動することが出来るし、降りたくなければずっと降りなく
ても誰も怒りはしない。
その気になれば、「エレベーターの上」にも乗ることが出来るし、エスカレー
ターも乗り放題という子供の欲求不満をこれでもか!とばかりに解消すること
の出来るゲームだったのである。

 このゲームがゲームセンターに登場したのは1983年。
おいらは小学校5年生だった。
あの頃、毎日のように遊びまくったこのエレベーターアクションがファミコン
に移植されたのは2年後の1985年。
おいらは中学一年生になっていた。
あんなにも好きだったゲームがせっかくファミコンに移植されたのに、買おう
と思わなかったのは、単に遊び飽きた、ということの他においらの中での「エ
レベーターへの想い」が既に変わってしまっていたからかもしれない。



AXL 2003

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