ピグミージェルボアの飼い方

これから飼われる方へ・・・
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飼う前の心構え・個体の選び方
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■前記・・・2002年度に入り、Pジェルボア輸入も2年目を迎えました。沢山の新しい子が輸入され、新しくご家族に迎えられた方も沢山いらっしゃると思います。ですが、不幸な出来事も沢山出てきています。それゆえに、これから飼いたいと思われる方、また飼う予定である方、すでに飼われている方も是非一度このページを読んで下さい。そうして今一度考えてみましょう。

ピグミージェルボア(バルチスタンコミミトビネズミ)
まだまだ、認知度が低かった時はジェルボアと呼ばれた時期もありました。ですが、ジェルボアと呼ぶのは他にも居るのでこの呼び名は不適切だと思います。また、ピグミージェルボアと呼ばれる種は海外では他にもいます(ペットとして認識されて無いようですが・・・)。砂浴場で言うピグミージェルボアとはバルチスタン産のピグミージェルボア Salpingotulus michaelis(1属1種)の事を指します。
またこの他に呼ばれる愛称として・・・
Pジェルボア・ジェルビー・ぴぐぼあ・Pジェル・PJ・コミミなど様々です。
本当にペットなのか?
-ピグミージェルボア、2001年初夏に初輸入され一般の方々でも飼えるようになりました、ですが、果たして現時点で定着しているペット達の様に気軽に飼えるペットと言えるのでしょうか?答えは現時点ではNoと言わざるをえません。それは何故でしょう?まず、ピグミージェルボアと言う個体は一般に入手出来る個体と認識されてから、まだ1年位しか経っていません。今日本に居る個体も総て野生種となっており、ブリーディングはもとより確実な飼育法すら確立されていません。またトビネズミと言うネーミングから一般に知られているハムスター達の様に、ネズミ系の飼い方で気軽に飼える生き物と思われがちですが、これも現時点ではハムスター等とはまったく違う生き物と認識した方が良いと思います。飼育をするにはそれ相応の予備知識と、設備が必要になります。そして、現時点ではピグミージェルボアはとても繊細で、ガラスの様に弱い生き物だと言わざるをえません。輸送するだけで状態が落ちてしまい不幸な結果になってしまう、決して脅しや誇大表現でなく、現実に抱えている問題です。また、状態が安定していて見た目にも何ら問題が無い子達でさえ、ある日突然状態を崩し始める・・・そして原因も掴めぬまま何も対処出来ず亡くなってしまう。それほど、良く分かっていない生き物であり、それほど些細な事で状態が急変してしまう生き物です。
私ども日本ピグミージェルボア愛好家友の会では、日々飼育状況を見極め、情報交換をし、現在のピグミージェルボア飼育の改善を目指しています。それにより飼育法や、個体についてなど日を重ねる事に状況が良くなって来ていると思いますが、確実に快適に自信を持ってオススメ出来る飼育法では、残念ですがありません。やはり、ピグミージェルボア飼育は難しいものだな・・・と考えさせられます。言いたいのは、それ程努力して、ピグミージェルボアを第一と考え、愛情をそそぎ、日々の世話、健康チェックなどを怠らない方々でさえ難しい、と実感してしまうペットだと言うことです。
私は、飼うな・・・と言っているのではありません、出来ることならこんなに可愛く、見ているだけでさえ癒してくれる生き物ですから多くの方に接して頂きたい。ですが、
気軽に飼育出来るペットと認識するにはまだ早すぎると言うことを改めてご理解頂きたいと思います。この事を踏まえた上で、責任と自覚を持って飼い主になられる方には、とても愛情を注ぐ事ができるペットだと言えることでしょう。
ご購入の際は慎重に・・・
-ピグミージェルボアを購入し飼育したいと考えた場合、個体を購入する所は慎重に選びましょう。やはりご自身の足で赴き、目で見て確かめるのが基本だと思います。ピグミージェルボアを展示し売られているショップなら、状態が悪い(明らかにひどい状態のハゲがある等の・・・)個体をお客様の目に付く場所に展示あるいは、保管されている所は避けるべきでしょう、例外としてショップの構造あるいはスペース上そう言った個体が目についてしまう場合、「この子は只今メンテナンス中です・・・」等と張り紙などで表示され、決して売られる事は無いはずです(それでも良いから、引き取って面倒を見たい方は別ですが・・・)。また、ピグミージェルボア飼育に経験が豊富な店員さんが居るところ、あるいはショップを選ぶべきです。ピグミージェルボアは弱い生き物です飼うのにはある程度の覚悟が必要ですとハッキリと言える所、また何故弱いのか?と質問してハッキリとその理由が述べられる、きっちりと現時点での飼育法が説明できるショップを選びましょう。また、理想としては質問も何もせずに購入しようとされた場合に、ピグミージェルボア飼育は大変ですよ?大丈夫ですか?と多少お節介かもしれませんが、キッチリと警告を促す事が出来るショップの方が信頼が置けると思います。逆に、簡単に飼えますよ、いかがですか?などと簡単に売りつけようとする所は避けるべきでしょう。いずれもピグミージェルボアを購入することが前提の話です。
それから、ピグミージェルボアは大変輸送に弱い個体なので、ご自身でショップへ足を運ぶことをくれぐれもオススメします。ご自身の足で連れ帰りましょう。
安ければいいのか?
-これは、これから飼われる方にとっては一番知りたい所なのかもしれません・・・・。ピグミージェルボアの現在の価格は高いと感じられるペットだと言う事は否定できません。ですが、お客様にその時点で最上の状態の個体をお出しする事を念頭に置いた場合、そんなに価格を下げられるはずがないと言うのが現状だと言えます。小売店がピグミージェルボアを入荷した際は、すぐに店頭に並ぶと言うことはせず、1週間ほどは状態を上げる作業に専念し、個々の状態の把握などをしっかりとした方がベストであり、それを怠った場合は飼う側のリスクが非常に高くなるからです。
維持費・設備費・それに伴う人件費、もちろん状態上げ中に残念な事に亡くなってしまう子も沢山いるのが現状です。そう言った初期の状態上げに伴うリスクはショップが負うべきであり、それをキッチリ考えると現時点では高いなぁ・・・と思ってしまう値段で、逆にえ?そんなに安いの?と思えるような値段はその辺の事を度外視された値段としか思えません。そうすると、飼う側に必然的にリスクが高くなる訳であって、
そのリスクを背負ってまでピグミージェルボアを安く購入するのか?と言うことです。こんな事を言ってしまうのも、ピグミージェルボアがそれだけ弱い個体であり、状態上げなどされてないと不幸な結果になってしまうのが圧倒的に多いからです。だからといって、値段が高いから大丈夫なのか?と言う事になってしまいます、完全な状態上げをされているにも関わらず残念な結果になってしまう個体だってありえます。生き物ですから・・・。ですが、今のピグミージェルボアの事情を考えると2002年5月の時点で、価格が2万円弱〜3万円以内と言うところが正直なところの相場だと思います。それより下がるとなると、上で述べている様な状態上げを本当にキッチリとなされているのか疑問が残ります。価格は常に変動的ですが、多少高くても良いショップを探し出すのが、ピグミージェルボアを購入する上では非常に重要な事だと思います。
安いに越したことはありません、ですが現状のピグミージェルボアに限っては、それが不幸を招く結果に繋がっているのが非常に多いのです。
2002年度輸入に入り、沢山の新しい飼い主様が増え、それはとても良いことだと思います。ですが、その理由が無理に価格を下げたため、結果として粗悪状態のピグミージェルボアが市場に出た事により、飼い主様が増え悲しい出来事が続出したのでは、飼い主様を含め、なによりピグミージェルボア自身が凄く不幸なのではないかと思います。ピグミージェルボアを飼うと言うことが現時点でどれほどリスクが高く、大変かと言うことを再認識していただきたいです。それでも、飼いたいと決意した場合、余計なリスクは出来るだけ避けてあげることが、ピグミージェルボアにして上げられる飼い主の出来ることではないでしょうか?
安いから飼う、安くするから売れると言う図式は、現時点のピグミージェルボア事情では、イエローフラッグがたっていると言わざるを得ません。長く付き合えるペットとして一過性のブームとして終わらない為にも、本当にピグミージェルボアを可愛いと思って下さるのであれば、少し考えて頂きたいと思います。
これを述べることにより、気分を害される方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。なにとぞご理解とご了承の上よろしくお願い致します。
長期飼育を成功させるには、どれだけ状態が良い個体を入手できるかが最初のポイント(重要!)
-これだけ述べて行くと、ピグミージェルボアは非常に飼いにくく、弱い生物と言う感じで、飼うべきでない様な感じがしますが、一概にそうとは限りません、ポイントになるのはどれだけ状態が良い個体を入手出来るかがかなり重要になってきます。それにより飼いやすい、飼いにくいが結果として左右されて来るようです。それはどうしてでしょうか?・・・・
これだけピグミージェルボアが亡くなってしまうトラブルが多いのは、
輸入直後状態も良く把握されてない個体が市場に出回っている事が原因の一つです。
ピグミージェルボアは遠くパキスタンより空輸されてきます、
体重5gにも満たない生物が飛行機の貨物室に入れられ過酷な状況の中、はるばるこの日本にやって来ます。飛行機の貨物室と言うのは非常に過酷であり、気圧・温度ともに人間でさえ命に関わる厳しい状況です。この事により非常に多くの個体が日本に来た時点で空輸ストレスにより致命的な打撃を受けているのも事実だと思います。現在多くのピグミージェルボアを飼われた方が1ヶ月も満たない飼育期間で亡くされています。これはこの空輸ストレスから立ち直れて居ない事に起因するの場合が非常に多いのではないかと思われます。調子が良さそうに見える個体でも、空輸ストレスは受けています、受けていないと言う方がおかしいと思います。この空輸ストレスから抜けきらない内に、輸送に継ぐ輸送、環境変化・餌の変化などいくつもの高いハードルを越えて行かなければいけません。この事がピグミージェルボアの様な小さい生き物にどれだけ厳しいものかと言うのは、私たち人の考える範疇を越えていると感じます。この辺の空輸問題に関わる事は、私たち飼う側の人間だけではどうすることも出来ない問題だと思います。視野を広く持ちある程度時間を掛けて解決しなければならないでしょう。また国内で繁殖を成功させるのも一つの解決策になるはずです。
輸入時より1ヶ月以上、日本の環境にも慣れ元気にいる個体は、課題は山積みですが、
長期飼育に移行していけます。環境や餌などを整えてあげればちゃんと飼育して行けます。現在多くの飼い主様が長期飼育に挑戦しているのも事実ですし、元気な個体も沢山います。やはり飼い始めですぐに亡くしてしまうと言うトラブルをある程度軽減させるためにも、飼う側にとっては、ショップにて2〜3週間ほど状態を把握され、それでも元気にいる個体を入手するほうがリスクは少なくなると思います。もちろん野性からの捕獲個体であり、ピグミージェルボアの寿命自体も解明されていない今では、高齢の個体もいるでしょうし、もう既に成熟個体で円熟期を迎える個体だっています、元気で入手して来ても寿命などの理由で1ヶ月程で結局亡くしてしまう場合だってあると思います。ですが、少しでもリスクを排除しようと考えた場合には、どれだけ状態が良く、日本の環境に順応した個体を見つけ、入手するかが長期飼育を成功させるには非常に重要となります。
輸送の注意点
-個体の選び方や、詳しい飼育法は砂浴場のどうやって飼うの?のページ、または友の会に参加されている方々などのホームページを色々巡ってみて下さい。トップページやリンク集「お隣さんの砂浴場」から色々とべます。
輸送は本当に注意すべき点です。ピグミージェルボアは輸送に継ぐ輸送で、元気そうに見えても個体自身には相当なストレスが掛かっているはずです。最終的に小売店に行き着いた時に、いくら元気な個体でも最低で1週間ほどは様子を見て安定しているかチェックされているべきです。迷わずいつ頃入荷された個体ですか?と質問しましょう。
近くにショップがある場合は徒歩で迎え入れましょう。少し遠ければ、車よりは電車を使いご自身の足で輸送した方が良いと思います。電車の空いている時間帯にしましょう。ラッシュ時は完全に避けるべきです。車で行く場合は、ご自身は運転せず、輸送に専念する事をオススメします。膝の上に抱えるなどしてバランスを取るようにしましょう。輸送の際には、
ご自身で安定して運べるバッグなどを用意された方が良いと思います。冬場の寒い時期にはカイロなどを用意し、夏場の暑い時期には保冷材などを用意し、輸送ケースの横や下に貼るか置くかしておきましょう。決してケースの中には入れないようにして下さい。後は軽くタオルなどを被せて置くのも手です(通気口などは塞がない様にしましょう)。小さい個体自身が隠れられる様なものがあればケースの中に入れておくのも手です。
家に到着したら、まずは安定した台に置き様子をチェックしましょう。大丈夫そうならあらかじめ用意してある水槽などにそっと移しましょう。
凄く大げさな事を述べている様ですが、これは決して大げさでなく、それほど繊細な生き物だと言うことを認識して下さい。
細心の注意を払っても・・・
-上に書いてある事を実施し、最新の注意を払って輸送しても、連れて帰ってその日は元気だったのに、次の日になると状態が落ちていた・・・。あるいは連れ帰ってみると既に状態が落ちている・・・。そして結局元気な姿を見ることなく、あるいは飼い始めてほんの数日で亡くしてしまう・・・などと言った事態になる可能性は、ハッキリ言うと凄くあり得ます。「まぁ、そんな事はそうそうはないだろ・・・そんな弱い個体がお店でペットとして売られているわけがない・・・」などと考えておられるのであれば、厳しいことを言うようで大変申し訳ないですが、ハッキリ言って甘い考えです。その様な考え方でピグミージェルボアを飼われるのであれば、飼育をしばらく見合わせた方が良いです。凄く偉そうな事を言って、大変恐縮していますが、少しでも苦い思いをされる飼い主さまが、これを述べることにより減るのであれば、あえて言わせて頂きます。
最初にも述べているように、飼うな!と言っている訳ではありませんし、出てきたばかりのピグミージェルボア市場を掻き回し壊そうとしているのではありません。むしろその逆で、ゆっくりと時間を掛けて定着して行きたい。こんなに可愛い生き物ですから、あまり行き急いで、ピグミージェルボア市場自体が崩壊し皆さまから「あんなの飼うモノではない」とならない様に努力したいからです。これから、飼われる方、すでに飼われている方共々、少しでもご理解頂きたいと思います。そして共に歩んで行きたいと思います。
ようこそPジェルボアワールドへ!

■後記・・・・・輸入2年度になり、安定した数のピグミージェルボアが輸入されるようになりました。ピグミージェルボアの認知度も高まり、沢山の方々が新規の飼い主さまとしてピグミージェルボアを迎え入れられています。それに伴い不幸な出来事も急激に増えています。これは、ピグミージェルボアがどういった生き物で、どれほど弱い生き物なのかと言った事の認識不足が原因の一つにあると思います。また、「売れる」ため良く分からないまま入荷してしまうショップ様もあることと思います。売る側・飼う側双方の認識不足からこういった事になってしまう事と思います。砂浴場が出来ることは微力ですが、それでも何も言わないよりはマシだと思い、少し厳しくコメントを書かせて頂きました。お気にさわった方がいらっしゃいましたら、重々ここでお詫び致します。なにとぞ、ご理解とご了承の上よろしくお願い致します。・・・2002年5月9日:砂浴場管理人


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